名探偵コナン501-504「赤と黒のクラッシュ 嫌疑・潔白・決死・殉職」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File501-504 赤と黒のクラッシュ 嫌疑・潔白・決死・殉職
英題
Clash of Red and Black ! : Suspicion
Clash of Red and Black ! : Innocence
Clash of Red and Black ! : Desperation
Clash of Red and Black ! : Killed in the Line of Duty
放映日
2008/4/14・4/28・5/12・5/19
原題
第58巻
File8「意外な容疑者」
File9「13日の金曜日」
File10「キャメルの過去」
File11「魔法の呪文」
第59巻
File1「鋼の楔」
ジャンル
本格
事件現場
ニュー米花ホテル39階 須内外国人タレントプロダクション事務所内
~来葉峠
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
工藤新一
毛利蘭
阿笠博士
灰原哀
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
目暮警部
高木刑事
千葉刑事
本堂瑛祐
須内廉治(51)
イリーナ・パーマー(24)
ハル・バックナー(28)
トビー・ケインズ(27)
アンドレ・キャメル(27)
タクシー運転手
警官
警官
引田有美
水無怜奈1234
イーサン・本堂
宮野明美123
ジン
ウオッカ
ベルモット
ジョディ先生
赤井秀一
ジェイムズ
本編の主人公、正体は工藤新一
本編の主人公、高校生探偵
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
新一の家の近所に住む自称天才科学者
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
捜査一課刑事、目暮の部下
蘭のクラスに来た水無怜奈似の転校生
被害者、外国人タレント事務所社長
タレント事務所秘書
外国人タレントの卵で英語教師、屋上トイレに潜伏
外国人タレントの卵でモデル、屋上レストラン街に潜伏
FBI捜査官で筋トレマニア、階段に潜伏1234
ニューヨークのタクシー運転手
現場近くにいた警察官
現場近くにいた警察官
現場を中継するTVアナウンサー(テレビ記者)
日売テレビ アナウンサー
瑛祐の父親
灰原哀の姉
黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物
黒の組織の男、ジンの手下
黒の組織の女、映画女優クリス・ヴィンヤード
FBI捜査官
FBI捜査官
FBI捜査官、ジョディと赤井の上司
高山みなみ
声の出演なし
山崎和佳奈
緒方賢一
林原めぐみ
岩居由希子
高木渉
大谷育江
茶風林
高木渉
千葉一伸
野田順子
声の出演なし
金月真美
渡辺穣
矢尾一樹
梁田清之
福山廉士
古澤徹
三戸耕三
引田有美
三石琴乃
小山力也
玉川紗己子
堀之紀
立木文彦
小山茉美
一城みゆ希
池田秀一
家弓家正
あらすじ
「ああ13日の金曜日だからでしょ? 私、そういうの気にしないから…」

 杯戸中央病院に極秘入院中の水無怜奈をめぐるFBIと黒の組織との対決の一日から程なく、組織を潰すメドが立った…うまくボスに辿りつけばそれこそ一網打尽だ…とこれまでの経緯を灰原哀に報告しつつも、コナンは再びサッカーボールと戯れながら少年探偵団たちと過ごすいつもの日常を取り戻していました。
 そしてその日阿笠博士に連れられてコナンと灰原、それに探偵団たちが向かった先というのがニュー米花ホテル。何とまたしても阿笠博士がバイキングのタダ券を当てたため、ホテルの豪華な料理が食べ放題という夢のようなお昼の時間を過ごすこととなっていたのです。

 ところが探偵団たちが山盛りに料理を乗せた皿を手に大満足の表情をしていたちょうどその時でした。突然ホテルの外でパトカーのサイレンが聞こえてきて、他でもないホテルの前で停車。そして車の中から出てきた高木刑事の話で、そのホテルでたった今殺人事件が発生したことをコナンたちは知ることとなったのです。

 その殺人事件の事件現場はホテルの39階で、被害者はその39階に外国人タレントプロダクションを構える社長。発見したのはその秘書で、事務所に戻ると社長が拳銃で上半身の数ヶ所を撃たれ血まみれの状態でイスに座っていたというのです。
 通報があったのは高木が現場にかけつけるほんの2・3分前のことで、犯行時刻はさらにその1・2分前。ちょうどその近くで高木は聞き込みをしていたため、すぐに現場に駆けつけることができたというのでした。

 この点その日社長は自分が街で見かけてスカウトした外国人タレントの卵と会う約束をしており、その中の誰かが殺害したという線が濃厚でした。そして幸いなことに事件から現時点まで3基あるホテルのエレベーターのうち2基が故障と点検で使えなかったため、残りのエレベーター1基が大変な混雑。
 そして拳銃を撃った後に火薬の臭いをさせて満員のエレベーターに乗ることは考えにくいため、犯人はまだこのホテル内にいて、5階上の屋上のレストランかフロアのトイレ、あるいは階段あたりをくまなく探せば……日本語が話せる外国人タレントの卵という特徴からしても、非常に見つけやすい状態にあったのです。

 それからすぐに目暮警部以下、捜査陣の本体も到着して捜査を開始し、目暮が手始めに第一発見者となった被害者の秘書のイリーナ・パーマーから話を聞いていると、すぐに日本語ペラペラの怪しい外国人が2人連れてこられます。
 その2人というのは名前をハル・バックナーとトビー・ケインズといい、2人はコナンが指摘した屋上のレストラン街とトイレにそれぞれいたというのでした。

 あまりの手際のよさに目暮は驚きますが、それがコナンに指摘されたこと、そしてそのコナンに高木刑事が勝手に事件の話をしたことを知ると、怒りの目を高木に向け呆れた表情に。しかし容疑者が連れてこられたのだから文句を言うなと探偵団たちに言われると、目暮は何も言い返すことができず…

 とそうこうしているうちに、今度は残りの階段を調べていた千葉刑事が戻ってきて、汗だくで階段を降りていたかなり怪しい外国人を連れてきたと報告してきたのです。ところがその千葉刑事に引っ張られてやってきた外国人というのが何とコナンもよく知っているあの……

 一方捜査を進めていった目暮警部たちは、やがて被害者が死ぬ間際にペンを取り、英語で何かを書き残そうとしていたことを突き止めます。そしてそれを犯人が持ち去っていったのではと推理し、書かれていた文字の特定を急いだのですが…

 Bring my tux...

 私のタキシードを取って来てくれ?

 そこに書かれていたという文字というのはとてもダイイングメッセージと思えるような代物ではなく……

今回の見どころ
コナンがニュー米花ホテルで殺人事件に巻き込まれている頃、赤井秀一は水無怜奈に呼び出され…

 黒の組織とFBIのバトルからほどなくした頃、コナンは阿笠博士と灰原、それに少年探偵団の3人ともにニュー米花ホテルのバイキングを楽しんでいました。ところがほどなくして今度は同ホテルに事務所を構える外国人タレント事務所の社長の殺害事件に巻き込まれることになってしまったのです。

 一方同じ頃、赤井秀一は黒の組織に戻った水無怜奈ことキールに呼び出され、来葉峠へと一人向かったのですが……。衝撃の結末を迎える、赤と黒のクラッシュ・シリーズの完結編です。

原作との相違点

 第1話目については、まず冒頭のコナンとFBIたちの会話部分が若干セリフのカットが目立ちます。それから目暮の「たかぎー」とコナンたちに事件についてペラペラしゃべる高木刑事に怒りの気持ちを露にする部分や、キャメルの年齢が27歳と表記がある部分などは原作にはありません。

 第2話目については、ジョディと目暮警部とのやり取りと千葉刑事が登場する間にジョディがコナンに話しかけるシーンが数秒追加されています。
 それから各容疑者と目暮警部たち刑事とのやり取りの最中ですが、原作ではスペースの都合もあって文字でのやりとり中心ですが、アニメでは黒犯人も含め事件の再現VTRのような形で詳しく振り返る回想シーンを中心に構成されていて、視聴者にとってはかなり分かり易くなっています。このあたりはいい工夫だと思います。
 そして後半に入り赤井と水無怜奈が電話を終えた後に、ジンが「今日は13日の金曜日、そんなものはハナっから信じちゃいねーが…奴が死ぬにはふさわしい日だ…」とつぶやくシーンが追加されています。

 第3話については、冒頭に目暮警部がジョディにメモの謎は解けたかと聞かれ、それはまだ調査中だと目を点にして話した直後に少年探偵団たちが会話するシーンが挿入され、また元太が「ダイニングメッセージ」と笑わせてくれています(笑)

 後半は、原作ではホテルの事件と来葉峠のシーンが交互に繰り返されるのですが、アニメではホテルでの事件が先に片がつき、その後舞台は毛利探偵事務所へと変わり、蘭が登場します。そして雑誌に載っていたFBIの記事から286-288「工藤新一NYの事件」、そして309-311「黒の組織との接触」で出会った赤井秀一の事を思い出すというシーンが追加されています。このシーンの追加のおかげで、以前赤井が言っていた「平静を装って影で泣いていたバカな女」というのは誰のことだったかすぐに分かるかと思います(このあたりの脚本の丁寧さは見事ですね)

 ちなみに故意か偶然か、この2作品のうち「黒の組織との接触」はこの赤と黒のクラッシュのシリーズが始まる直前の2007年12月に、NYの事件はシリーズが終わって数ヵ月後のこの年の10月に再放送されていますね。

 最終4話目は、まず赤井と水無怜奈が約束の場所で落ち合うまでの間に若干の時間があり、その間に水無怜奈が過去の出来事を思い出す回想シーンが挿入(ここで瑛祐などが登場)されています。

 それから次にコナンたちが事件がホテルの事件が一件落着し外に出た所でジョディが携帯で赤井に連絡を取ろうとしますが、そこで原作では阿笠博士、哀、少年探偵団の姿も確認できるのですが、アニメでは阿笠博士だけは姿が見られませんでした。多分探偵団たちの横にいると思うんですけどね(苦笑)

 また、中継の女性アナウンサーに名前がつけられ日売テレビの引田有美となっている(これについてはネタバレ感想で後述)他、鑑識の結果が出た後、345「黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー」の回想シーンが挿入されています。

豆知識

 アサリやハマグリなどと並ぶ食用の貝で、青柳という別名は寿司のネタとしても有名です。バカ貝と変った名前がつけられた由来については諸説あるらしく、詳しくはウィキペディアを参照下さい。

アンノン

 トビー・ケインズがたまに載っているというファッション誌。名前の由来はマガジンハウス刊のananと集英社刊のnon-no(ノンノ)からでしょうか。

 と思って調べてみた所、1970年代中盤から1980年代にかけて創刊された上記二大女性ファッション誌片手に一人旅を旅行する若い女性を指す言葉として「アンノン族」という言葉があったのだそうです。詳しくはウィキペディアのこちらで。

須内外国人タレントプロダクション

 ニュー米花ホテル39階に事務所を構える芸能プロダクションで、外国人タレントを多数起用することで有名でした。ただとても日本人とは思えない人が日本語を話すから面白いという社長・須内廉治の方針で、アジア系の人は採用しませんでした。また正式に採用されるまでは、社長はその芸能人の卵を誰にも会わせることはしなかったそうです。

来葉峠

 13日の金曜日夜19時、赤井秀一は水無怜奈にメールで呼び出され、愛車のシボレー・C/Kを駆りこの峠の7つ目の左カーブを抜けた先に向かうことになります。ちなみにこの峠の名前の由来については、ネタバレ感想で触れさせて頂きたいと思います。

NEXTコナンズヒント
File501 英語の発音
File502 魔法の呪文
File503 弾丸
File504 髪の毛
コント
File501
歩美「映画は今週土曜日公開!」
哀「タイトルは…」
元太&光彦「戦慄の楽譜(フルスコア)!!」

File502
阿笠「来週はこどもの日」
光彦「ヤッター!」
歩美「ヤッター!」
元太「ヤッターマン!!」 コナン「限定版」

File503
赤井「みんな、FBIの赤井秀一を忘れないで欲しい」
コナン「どういう事?」
赤井「フン」

File504
コナン「はいスタート」
高木「次回は美容院で事件」
コナン「はいカット」
高木「上手く切ったねー」
コナン「でしょ?」
OP
愛は暗闇の中で」(ZARD)
ED
雪どけのあの川の流れのように」(三枝夕夏 IN db)
監督
佐藤真人
脚本
古内一成
絵コンテ
File501 松本佳久、佐藤真人
File502 青木雄三
File503 佐藤真人
File504 佐藤真人
演出
File501 細田雅弘
File502 山崎茂
File503 鎌仲史陽
File504 佐藤真人
作画監督
File501 山崎展義/サブキャラクターデザイン・総作画監督 佐々木恵子
File502 アベ正己、岩井伸之/サブキャラクターデザイン・総作画監督 佐々木恵子
File503 斎藤新明/サブキャラクターデザイン・総作画監督 佐々木恵子
File504 佐々木恵子/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
ビデオ
-
DVD
PART17-3
PART17-4
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

 赤と黒のクラッシュ・シリーズの最後を飾る作品ということですが、その衝撃の結末からさぞ驚かれた方も多かったのではないでしょうか。

 というよりもしこの結末で言われている通りに、危ないと分かっていて現場に出向き、何も抵抗すらできずに黒の組織の連中の思い通りに赤井秀一が始末されてしまったとすると、このシリーズは何ともお粗末な結末というか、あまりに納得できない終わり方だと言わざるを得ませんよね。

 私もこの作品に目を通した時、最初はとても驚きましたが、よくよく冷静に考えてみるとこのまま死んでいるはずがなく、それを裏付けるというか示唆する点が作品中にあることに気付かされ、すっかり安心しています。

 一番の裏付けは赤井秀一が呼び出された場所の名前が「来葉峠」でその名前の由来に気付いた時でした。ホームズファンならご存知の通り、ホームズは聖典の中で「最後の事件」で宿敵モリアーティ教授と格闘中に滝壺に落ちて行方不明となりますが、その後「空家事件」で見事に復活します。その滝の名前が「ライヘンバッハ」であり、おそらく今回の来葉峠の名前の由来になっているのでしょうね。

 また状況的に言っても不可解というかあまりに不自然な点があります。それは車が爆発する直前にパトカーが「偶然」通りかかったため、ジンとウォッカは現場からさっさとズラかラざるを得なくなりましたし、また早く消火できたため「かろうじて」右手の指紋が照合できましたが、あまりにタイミングよく通りかかり過ぎですし、すべてが上手く出来過ぎです。これは赤井秀一が前もって手を回しておき、あらかじめシボレーに乗せておいた別の遺体(これはたぶん自害した楠田陸道)を残して脱出したと考えて差し支えないと思います。携帯に残された指紋の一致が決め手となっていますが、指紋というのはいくらでも偽装できるものだということは、ソーンダイク博士の時代から有名な話です。

 ちなみにアニメではこれをさらに裏付けるように、爆発現場を中継する女性リポーターの名前に「引田有美」という名前がついていました。引田有美さんというのは実在の声優さんで、コナンでは第1回の「ジェットコースター殺人事件」の他、何回も作品で声を担当されている方ですが、彼女の父親は初代の引田天功なのだそうです。そして引田天功といえば「脱出王」の異名をとった脱出マジックの名手…これは非常に意味深ですよね。

 今回のこの結末、あまりに衝撃過ぎたため、納得できずに勘違いしてファンを辞めてしまったという方がいるかもしれないです。まあそういう方には正義は最後には勝つと信じて読み続けてくれとしか言いようがありませんが、実際ある知り合いの家に行った所、コナンのコミックスがあったのですが、それがなぜか59巻でストップしていたという光景に遭遇したこともありましたし、まあ子供には正直ちょっと刺激が強すぎたかもしれません。

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