名探偵コナン515「怪盗キッドの瞬間移動魔術」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File515 怪盗キッドの瞬間移動魔術(テレポーテーションマジック)
英題
Kid's Teleportation Magic
放映日
2008/10/20(「アニメ7」内放映の1時間スペシャル)
原題
第61巻
File1「紫紅の爪(パープル・ネイル)」
File2「瞬間移動」
File3「3つのタブー」
File4「Zero(ゼロ)」
ジャンル
怪盗
事件現場
東京都内 錦座4丁目の歩行者天国
管轄
東京警視庁捜査二課(中森警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
灰原哀
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
鈴木園子
鈴木次郎吉(72)
ルパン
次郎吉の部下
次郎吉の部下
レポーター
レポーター
警備員
スタッフ
女性
男性
男性
阿笠博士
沖矢昴
目暮警部
高木刑事
佐藤刑事
白鳥警部
千葉刑事
宮本由美
トメさん
妃英理
服部平次
遠山和葉
大滝警部
中森警部(41)
怪盗キッド
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
鈴木財閥相談役、鈴木史郎会長のいとこ
鈴木次郎吉の愛犬
鈴木次郎吉の部下
鈴木次郎吉の部下
日売テレビ リポーター
日売テレビ リポーター
展示台に配備されていた警備員
現場スタッフ
野次馬の女性
野次馬の男性
野次馬の男性
新一の家の近所に住む自称天才科学者
工藤邸に居候する謎の大学院生
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
警部補、目暮の部下
警視庁捜査一課警部
捜査一課刑事、目暮の部下
交通課の婦警、佐藤刑事の親友
鑑識員
蘭の母親、腕利きの弁護士
西の高校生探偵、新一のライヴァル
平次の幼なじみ
大阪府警警部
東京警視庁 捜査二課警部
神出鬼没の大怪盗、通称怪盗1412号
高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
林原めぐみ
岩居由希子
高木渉
大谷育江
松井菜桜子
永井一郎
声の出演なし
依田英助
掛川裕彦
三戸耕三
小野涼子
古澤徹
田中伸幸
増田ゆき
柳沢栄治
鳥海勝美
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
堀川りょう
声の出演なし
声の出演なし
石塚運昇
山口勝平
あらすじ
「瞬間移動で…逃げるだとォ!?」

 殺しても死にそうにないほど元気な鈴木財閥の相談役で園子の叔父の鈴木次郎吉。
 ところが最近になって食事も喉を通らないほど具合が悪いらしく、毎晩うなされて汗びっしょりで跳ね起きるというのでした。そしてその夢の中で笑顔で出てくるというのが、神出鬼没で大胆不敵なあの大泥棒の……

 そんな話を学校帰りの蘭とともにコナンが園子から聞かされている頃、当の次郎吉は彼の屋敷で怪盗キッドを捕えるための作戦会議を部下とともに行なっている最中でした。
 しかし次郎吉の下に出された計画はどれも生ぬるいものばかり…彼は部下たちを激しい口調で叱責していたのです。

 それほどまでに怪盗キッドを負かすことに執念を燃やす次郎吉が今回用意したのは、爪先に100カラットのアメジストが光り輝く神聖ローマ帝国の君主マリア・テレジアも目を奪われたと伝わる伝説のミュール”紫紅の爪(パープル・ネイル)”…しかしそんな高価な宝石も今の次郎吉には興味はなく、キッドの気を惹き、捕えるための餌にすぎなかったのです。

 「巨大な氷の真ん中にミュールを入れる」「東都タワーのてっぺんにミュールを展示し、まわりを鈴木財閥のヘリで固める」……その後も様々な作戦が提案されますが、相変わらず次郎吉を納得させることができずにすぐに却下。ところがその時次郎吉はふとあることに気づいたのです。

 怪盗キッドはなぜかいつも月を背にしている…それに対し部下たちは泥棒は夜の仕事だから…キッドの獲物は大抵ビルや博物館の最上階で高い所、月ぐらいはあると意に介さない様子でしたが、次郎吉はそれをきっかけにキッド捕縛のための秘策を思いついたらしく……

 そんな次郎吉が紫紅の爪を展示するように指示した場所というのが、何と錦座4丁目の歩行者天国のど真ん中。しかも宝を守る警備員の数はわずかに4名…。
 アレでは盗ってくれと言っているようなものだと、コナンと見物に訪れた蘭や小五郎、それに現場の指揮を執る中森警部も釈然としない様子でいましたが、次郎吉は地上であれば逆にハンググライダーを使うことができずキッドの翼をもぐことができると自信たっぷりに語るのです。

 しかし周りには次郎吉が今朝の朝刊で告知したキッドへの挑戦状を受けて大勢の群集が集まっており、その中に紛れ込んでしまえばひとたまりもない…
 キッドからの予告状もなく機動隊を動かせない中森警部はそのことを大いに心配しますが、次郎吉は自分の立てた計画によほど自信があるらしく、スタッフとの最終調整があると言い残して中森警部の前から姿を消してしまったのでした。

 中森警部がそんな次郎吉を追いかけようとして地面にある何かにつまずいた時でした。ハンググライダーを操り錦座4丁目の上空に怪盗キッドが姿を見せたのです。

 しかしこれはキッドの作ったまやかしでした。コナンがグライダーの尻にプロペラのようなものを確認した途端、グライダーは煙に包まれ、群集がそれに気を取られている隙に、地上のどこかに潜んでいたキッドはいつの間にか4人の警備員が守る展示台の上に姿を現していたのです。

 神出鬼没、大胆不敵なキッドはそれから報道陣を前にあまりに寝耳に水な次郎吉の挑戦状だったために予告状が出せなかったことを詫びますが、作戦本部の車の中からモニターでその一部始終を確認していた次郎吉は次の瞬間、部下たちに大号令を発します。

 すると先ほど中森警部がつまずいた場所から巨大な網が現われ、網は20メールの高さまでせり上がり、錦座4丁目の交差点はあっという間に外部から遮断された状態になってしまったのです…!!

 たとえ気球を使おうにも上空のヘリが邪魔…群集に紛れて逃げようとしても外に出る際に次郎吉の部下たちの入念なチェックが入る…その時ミュールを所持していればアウトだし、手離していたら犯行失敗…どのみち自分の勝ち…次郎吉は喜びを隠そうとせず、得意満面でキッドにそう勝利宣言したのです。ところが…

 次郎吉の勝利宣言を聞きキッドの肩を持つ群集たちが心配するのをよそに、キッドはこうなることは想定済み、仕事も終わったので家に帰ると宣言。そしてどうやって帰るのかとレポーターがたずねると、テレポーテーションを使うと自信たっぷりに宣言し……

 四方八方を網で囲まれ自慢のハンググライダーで飛び立つこともできない地上に釘付けの怪盗キッド…果たして本当に宣言どおりにテレポーテーションなどできるのでしょうか?

今回の見どころ
高さ約20メートルの網に囲まれた交差点の中からキッドが瞬間移動!?

 夢の中のキッドの笑顔でうなされ夜も眠れない次郎吉が編み出した秘策…それは交差点の真ん中に宝石を使ってキッドを誘い出し、高さ20メートルの網で四方を囲むという何とも大胆なものでした。

 キッドはいつもハンググライダーを使って空を飛び逃げており、空の上では圧倒的に分が悪い…そのため彼の翼をもいでやればと考え出した策でしたが、いざ実行に移してみると何とキッドはテレポーテーション(瞬間移動)で家に帰ると宣言したのです。そしてその通りにキッドは皆の前から消え失せ、次に現れた時には何と……

 鈴木財閥の相談役次郎吉と怪盗キッドの対決再び…果たしてコナンはキッドの魔術を見破り、100カラットのアメジストのついた紫紅の爪(パープル・ネイル)を守り切ることができるのでしょうか!?

この放映分から「アニメ7」と題して月曜夜7時からの放送に

 この回からの放送で名探偵コナンは「アニメ7」という1時間枠の放送の中に組み込まれ、放映時間も夜7時からに変更となりました。

 正直1996年の放映からずっと月曜夜7時30分からだっただけに、少子化…子供も若い世代も塾やら残業やらで帰宅時間がどんどんと遅くなっているなどの時代の流れで視聴率が取りにくくなっている…、夜7時からのコナンの前のアニメ番組の不振…といろいろな理由があるとは思いますが、それにコナンが巻き込まれるというのはちょっと納得できない部分も多い変更点でした。

 かく言う私も夜7時からだと帰宅して放映に間に合う事は稀になってしまい、リアルタイムで見るのが非常に厳しくなりましたし、そういう方がかえって多くなっただけかもしれないですね。

 それから放送開始時間よりももっと不満な変更点が実はこの「アニメ7」ではあったのですが、今回は1時間スペシャルのためまだそれが表面化していない状態でした。この件についてはこの後の回の事件ファイルで触れたいと思います。

原作との相違点

 まず冒頭の蘭と園子の会話シーンで鈴木次郎吉が具合いが悪いという話で次郎吉のことを「殺しても」という部分が「人類が滅亡しても」と更に大げさになっています(笑) そして次郎吉が実際にうなされて汗びっしょりで跳ね起きるシーンも追加されています。

 それから原作ではキッドが瞬間移動を宣言した後に、小五郎が「んな訳ねーだろ? 絶対可憐チルドレンの薫ちゃんじゃあるまいし」とサンデーのマンガの一つを持ち出すのですが、アニメではさすがにこの部分はカットされています。ちなみにこれは雑誌内でよく見かける作品同士のコラボで、コナンがコラボされる事は結構多いのですが、コナンの中で他の作品が出てくるのは珍しいのではないかと思います。

 そして解決編部分に突入する直前に大きな追加があります。テレビでもう一度怪盗キッドの瞬間移動のシーンがVTRで流されようとしている時、場面は阿笠邸、工藤邸、警視庁、車に移動中の妃弁護士、大阪と切り替わり、皆がそのVTRを注視している姿が出てきます。

 その結果、原作では登場しない阿笠博士(少年探偵団と哀と一緒)、沖矢昴(バーボン片手に)、目暮・高木(食事中)・佐藤・千葉(食事中)・白鳥・由美、そしてなぜかトメさん(笑)、妃英理、平次と和葉が登場します。これはファンにとっては何とも嬉しい追加ですね。私も個人的には嬉しいのは間違いないですが、これだけたくさんだとキャラクターファイルを更新するのがちょっと大変でした(苦笑)

 その中でも平次だけはセリフつきで、アニメでは次の放映となる風林火山のムカデの事件を大滝警部から電話で捜査依頼をされるシーンが追加されていて、風林火山のプロローグ的な役割も果たしています。

 それ以外については細かいセリフ回しの違いや変更はありますが、概ね原作に忠実に作られています。

豆知識

 紫色の水晶で、宝石の一つとして有名な石。2月の誕生石でもあるそうです。

 神聖ローマ帝国の時代、18世紀のヨーロッパという動乱の時代に統合ヨーロッパの先駆け、多民族国家ハプスブルクにあって国民に敬愛される君主として、妻として、そして16人の子供の母として人生を送った女性。

 またフランス国王ルイ16世の王妃にして、フランス革命において断頭台の露と消えたあのマリー・アントワネットの母親としても知られています。

 お洒落で装飾性の高い女性用のサンダルの一つでオードリー・ヘップバーンが映画「ローマの休日」で履いていたことから、日本ではヘップサンダル(ヘップ)とも呼ばれるそうです。

錦座(きんざ)

 説明するまでもなく、東京の銀座(ぎんざ)がモデルだと思われます(笑) ちなみにアニメでは「ぎんざ」と言っているように聞こえました。

 この点下記のGoogle Mapのストリートビューで見る(拡大地図を表示をクリック)と、道はアニメの上空からの映像ほど広くはありませんが、銀座4丁目の交差点と看板の位置や雰囲気がそっくりですね。

日売新聞

 鈴木次郎吉が今回挑戦状を叩き付けたのは、この新聞の紙上でした。原作では小さくて判別できませんが、アニメでははっきり「日売」と表記されています。ちなみにラストの新聞記事もアニメでは日売でした。

日売テレビ

 お馴染みのテレビ局。今回の怪盗キッドの錦座での登場劇を一部始終放映していました。

MITUHASHI

 アニメのみの表記で、怪盗キッドが上ったビルのAUTUMNと書かれた看板のすぐ下に表記がありました。

 ちなみに実際の銀座四丁目の交差点には三越がありますので、三越のもじりではないかと思われます。

サーストンの3原則

 20世紀始めに活躍したアメリカの奇術師ハワード・サーストンの名前を冠して名づけられたマジック界における3つのタブーの事。

 ・マジックを演じる前に現象を説明してはならない
 ・同じマジックを2度繰り返して見せてはならない
 ・種明かしをしてはならない

 いずれも意外性がなくなり驚きが減るのを防ぐために定められたもので、マジシャンになる人なら最初に学んでおきたい事の一つです。

NEXTコナンズヒント
鏡(放映分は直後に「工藤新一NYの事件」の1時間SPが放送のため)
ムカデ(本来のNEXTヒント)
コント
「瞬間移動魔術」放映分
コナン「来週は新一兄ちゃん登場!」
新一「ようっ! 久しぶり」
コナン「って、これオレだよね?」

「工藤新一NYの事件」放映分
平次「次回はオレの出番や」
和葉「平次! ワタシもおるで」
コナン「おるおる」
OP
Mysterious」(Naifu)
ED
GO YOUR OWN WAY」(滴草由実)
監督
於地紘仁
構成
青木雄三
絵コンテ
青木雄三
演出
山崎茂
作画監督
谷圭司、森田実、西山忍、柳瀬譲二、清水勝祐
ビデオ
-
DVD
PART17-7
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

 356「怪盗キッドの驚異空中歩行」以来となる鈴木次郎吉と怪盗キッドの対決でしたが、今回も息詰まる攻防とはいえキッドの圧勝…中森警部も次郎吉もキッドに手玉に取られ、コナンの活躍でかろうじて引き分けに持ち込むことができました。

 そして前回も空中を歩くという物凄いマジックでしたが、今回も瞬間移動という離れ業を成功しています。トリック自体は分かってしまえば大したものではないのかもしれませんが、現場の地形を利用した実に素晴らしいトリックだったと思いますし、白から黒へ変わり目立たなくするというのも盲点ですよね。いつもキッドが絡むととんでもないトリックになるのですが、ちゃんとそれを論理的に解き明かしているので感服してしまいます。

 この点おそらく最後のヒントで皆さん文字ニュースの電光掲示板の所で滑車を使って上まで昇ったというのは分かったと思いますが、その左横の垂れ幕も上手く使って協力者を隠していたり、コナンが「大好きな」という部分でそれに気づいたというのはなかなか面白いヒントだったと思います。気づいた方は思わず笑ってしまったんじゃないでしょうかね。私も今回キッドの事件では初めてトリックをほぼ当てる事ができました。

 そして最後に目当ての宝石ではなかったので返すというキッドのカードを見てコナンが「アンニャロ~(あの野郎)」と言うシーンがアニメのみあるのですが、これは怪盗キッドのページでも書いているのですが、キッドが8年前マジックの途中で亡くなった初代キッドである父・黒羽盗一の死の真相を探るために、不老不死の隠された力があるという伝説の宝石ビッグ・ジュエルを探して宝石専門に盗みを続けている事に薄々感づいているからかもしれませんね。

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