(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 沖矢昴 和田六郎(55) 獅子倉安夫(31) 八神圭一(50) 林薫(25) 江口美奈(24) 高遠小恵子(71) 作業員A 作業員B 作業員C |
本編の主人公、正体は工藤新一 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 工藤邸に居候する謎の大学院生 洋画家 米花不動産社員 画商 八神の秘書 介護士 和田の叔母 建設作業員 建設作業員 建設作業員 |
高山みなみ 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 声の出演なし 小山武宏 沼田祐介 飯塚昭三 寺田はるひ 皆口裕子 麻生美代子 宇垣秀成 三戸耕三 後藤史彦 |
昼下りの帝丹小学校で掃除中の少年探偵団たちの話題にのぼったのは、3丁目にあるという薄気味悪い古びた洋館。元太が母親に聞いた所によると、ずっと誰も住んでおらず荒れ放題で放置されていたはずのその洋館にいつの間にか妙な中年男性が住みついているというのでした。幽霊屋敷のようで誰も近づきたがらなかったはずの洋館にいったいなぜ!? そんな思いでコナンがいると、やはりいつものように少年探偵団は偵察に行くと言い出し…
あんな家にわざわざ引っ越してくるなんて絶対怪しい…そんな話をしながら探偵団たちが問題の洋館に来て中をのぞいてみると、何と荒れ放題だった洋館の庭はきれいに手入れされていて探偵団は拍子抜け。そうこうしていると庭の向こうの方から男が二人現れて何かを話している様子。どうやらスーツに小太りの男がメガネをかけた男に何かを急かしているようなのですが、メガネの男はあと二、三日ぐらいは待てといって聞かない様子。それでも食い下がる小太りの男だったのですが、ついには「約束は必ず守ってもらうから」と言い残して車に乗って洋館を後にしたのでした。見ると車には「米花不動産」の文字が…
小太りの男が去るとメガネの男は探偵団たちに何か用かと訪ねますが、すかさずコナンは門に表札がないことに気づきその理由を訊ねます。すると男は表札はない、「出せないんだよ、まだね」と不敵な笑みを浮かべながらコナンたちの下を立ち去っていったのです。男は何か企んでいるのでしょうか!?
ところがその翌日、何とメガネの男は亡くなったというのです。元々体が悪かったらしく、昨晩洋館の中で倒れ自分で救急車を呼んだというのですが、怪しいと思われた人物のあっけない最後にまたしても拍子抜けの探偵団たち。しかしまだあの男が何のために洋館に引っ越してきたのかという謎は残されており、このまま謎を解かないと気持ち悪いと感じたコナンは洋館を調べることにしたのです。
調査を開始してみると男は引っ越してきてから3カ月の間に近所付き合いはないばかりか、外出もほとんどせずいつも家の修理や庭の手入ればかりしていたというのでした。
仕事もしていなかったのか…探偵団たちがそんな話をしていると、サングラスに口ひげ、頭を丸めた小豆色のスーツの男が一人の女性を伴って屋敷の前にやってきます。男は名前を八神圭一といい画商でした。そして八神は洋館に住んでいた男が和田六郎という名前の日本を代表する洋画家で、新作を書くたびにこの洋館をアトリエとして借りていたことを明かしてくれたのです。
しかし八神が連れていた女性─彼の秘書の林薫にうながされると、八神は急いで洋館の中に入っていきます。和田の絵が誰かに盗まれでもしたら大変だと絵の無事を確認するためだったのです。
あっさりと謎が解けてしまい物足りなさそうなコナンでしたが、今度は探偵団たちが和田がどんな絵を描いていたのかに興味を持ち、促される形で洋館の中に入っていきます。中はアトリエとして借りていただけに物はほとんどありませんでしたが、暖炉の上には写真立てが置いてありメガネをかけた少年が写っていました。
そしてその少年が和田の小さい頃なのかと歩美が話をしていると八神たちがコナンたちの前に現れて、和田の絵がどこにも見当たらないと言うのです。それどころか絵を描く道具も見当たらずイーゼルもキャンバスも絵具も筆すらもないらしく……本当にこの洋館をアトリエに使っていたのかという疑問が当然沸くコナンでしたが、八神は和田がやっと理想的な建物を見つけた、そこで一世一代の絵を製作するつもりだと話していた事を明かします。
もっと徹底的に探してみようと八神たちが話していると、玄関の方から声が。そして声の主は何と昨日和田と揉めていた例の小太りの男で、名前を獅子倉安夫といい米花不動産の社員でした。獅子倉によると彼の勤務する米花不動産が3カ月前に洋館のある土地を購入したらしく、すぐに建物を取り壊して更地にするはずが、その時和田が現れて3カ月でいいから洋館を貸して欲しいと頼まれたため、3カ月だけならと貸すことを承諾したというのです。ところが和田は予定が狂ったからあと2、3日居させてもらうと言い出し、獅子倉と揉めたというのが昨日の顛末だというのです。
しかし和田が亡くなった以上はもう待つ必要もないと、獅子倉はさっそく一緒に連れてきた建設作業員たちに取り壊しの作業に入るように指示をしますが……それに待ったをかけたのが八神でした。和田の遺作だからどれだけの芸術的価値があるか計り知れない…そう考えた八神は和田の描いた絵をすぐに探し出すからと言って再び洋館の中を調べはじめたのです。そして探偵団たちも宝探しみたいで面白そうと絵を探しはじめたのですが、コナンは屋敷のどこからも絵の具の匂いがしないことから和田は絵を描いていなかったのではないかと推理したのです。
それではいったい何のために和田はこの洋館を……そう思っているとそこへ若い女性が老女を伴って洋館に姿を見せます。彼女の話によると先日和田から連絡をもらい、今日あたり完成するから見に来るようにと言われていたというのです。
絵を見に来てくれ─確かに和田はそう言ったらしく、彼女宛てにハガキも送ってきていました。女性は江口美奈といい華風苑という老人ホームで介護士をしているらしく、一緒に連れて来た老女は高遠小恵子といい彼女が介護している相手でした。そして高遠小恵子は何と和田の叔母で、和田が子供の頃に自宅にお邪魔してよく可愛がってもらっていたというのでした。
その小恵子は1年前にケガをして以来記憶が曖昧になっており、自分が誰なのかも分かっていないというのですが、和田は頻繁に老人ホームを訪れ小恵子のための作品を製作中なのだと言っていたというのです。やはり和田はこの洋館で新作を描いていた……ではその作品はいったいどこに!?
3丁目の古びた洋館に突如住み始めた男の調査にやってきた少年探偵団たち。ところが荒れ放題だった洋館の庭はきれいに手入れされ、男はコナンの質問に対しても不敵な態度でいました。しかし翌日その男が突然亡くなったとの連絡が入り…。
怪しいと思われた人物の突然の死に驚く探偵団たちの前に現れたのは、画商の八神とその秘書の林薫。ところが二人の話によると男の正体は和田六郎という名前の高名な洋画家らしく、洋館は新作を描く際にアトリエとして借りたものだったのでした。しかし洋館の中には絵の具の匂いがせず、彼がここで絵を描いていたとは到底考えられないとコナンは結論づけます。
ところが和田に三カ月の約束で洋館を貸し、前日和田と揉めていた不動産屋が洋館を取り壊そうとしたまさにその時、二人の女性が現われて和田が自分の叔母のために作品を製作しようとしていた事を知ります。一体和田の作品はどこに隠されているのでしょうか?
獅子倉安夫の勤める不動産会社。
162-1851 東都米花市米花町15-7にある老人ホーム。ここで介護士として働いている江口美奈宛てに和田はハガキを送ってきました。
光彦に連れられて探偵団たちがやってきた銀行。
コナンが江口美奈と高遠小恵子に写真を見せたのはこの駅前でした。
洋館の土地の新たな所有者のようです。
荒れ放題の古びた洋館に突然人が住み始めた事から調査に乗り出した探偵団が紆余曲折を経て洋館の中に隠された著名な画家の遺作を探すことになるという今回の事件でしたが、なかなかいい作品でしたね。
最初は怪しい人物が何か悪いことをしていてそれを突き止めるという光彦とまったく同じ発想で見ていたのですが、介護士と老女の登場で話を聞いた後は何て心洗われる美しい話なんだと、あとは感動しっ放しでした。怪しそうに見えた男が実は子供の時にお世話になった叔母の記憶を蘇らせるために3カ月もかけて作品を作るというのは、何ともいい話ですね。しかしそれを目前にして突然の病に倒れさぞかし無念だったと思いますが、何とか思いは伝わり叔母の記憶を取り戻すことができて本当に良かったです。何とも後味のよい作品でした。
ところで今回はサザエさんのフネ役の麻生美代子さんやYAWARAの主人公を担当していた皆口裕子さんなどゲスト声優陣も豪華でしたし、製作陣も映画監督の山本泰一郎氏やキャラクターデザインの須藤昌朋氏など豪華でした。久しぶりに安定安心して見られるオリジナル作品だったと思います。4点か5点満点か迷いましたが満点にしておきました。
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