名探偵コナン540-541「毛利小五郎探偵廃業の日」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File540-541 毛利小五郎探偵廃業の日
英題
The Day Kogoro Mouri Discontinues His Detective Business
放映日
2009/7/11・7/18(前編・後編)
原題
TVオリジナル
ジャンル
本格
事件現場
蒲生良造の家から車で1時間の所にある林の中~新井京介の住むマンション
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
目暮警部
高木刑事
千葉刑事
トメさん
妃英理
沖野ヨーコ
床前小百合(40)
蒲生良造(70)
新井京介(42)
久本完吾(50)
山根康(30)
竹岡勲(40)
土田令二(43)
衣笠栄(56)
記者
記者
ふぐ料理店店主
ふぐ料理店従業員
由紀
竹岡奈津子
中年の男
ホステス
消費者担当係
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
捜査一課刑事、目暮の部下
鑑識員
蘭の母親、腕利きの弁護士
人気アイドル
依頼人
金融会社オーナー
蒲生の甥
城西署刑事
東陽スポーツ記者
元刑事、小五郎の警察学校時代の同期
はらいそ金融社長
古美術商
記者
記者
ふぐ大将の店主
ふぐ大将の従業員
新井のマンションの隣人
竹岡勲の妻
中年の男
ホステス
ニコニコパン株式会社 消費者担当係
高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
茶風林
高木渉
千葉一伸
声の出演なし
高島雅羅
声の出演なし
くじら
石森達幸
遊佐浩二
広瀬正志
長嶝高士
沢木郁也
加門良
声の出演なし
鳥海勝美
幸田昌明
小関一
幸田昌明
百々麻子
麻美順子
長嶝高士
百々麻子
鳥海勝美
あらすじ
「警部殿…毛利です。今日限り…私看板を下ろします…」

 その日、俺は悪夢にうなされて目を覚ました。思えば、それは不吉な事が起きる前触れだったのかもしれない…。

 まず探偵事務所を訪れたのは床前小百合という化粧の濃い中年の女だった。化粧以外にも派手なイヤリングやらネックレスやら、そして彼女の依頼というのは毎日1時間肥満解消のジョギングに付き合うという訳の分からないものだった。何でも亡くなった彼女の主人に俺が似ているからだというのだが、そのレスラーのようなパワフルな体格のいったいどこにボディーガードの必要があるというのか。

 しかしそこへタイミングよく一本の電話がかかってきて俺は救われる。電話の主は蒲生良造という老人で、アリバイ証人を探しているということだった。こういうのが探偵の仕事だと嬉しい気持ちを抑えつつ明日の午後7時にふぐ大将という店で会う約束を取り付けた。

 次の日の夕方、俺は約束どおりふぐ大将という店に向かった。すると蒲生氏から店の主人に連絡があり、急用で遅れるから先に一杯やっていてくれという事だった。そこで遠慮なくふぐ料理のフルコースを堪能し、酒もたんまり飲んでいたのだが、しばらくするとようやく蒲生氏が到着して依頼の話になった。

 蒲生氏の依頼というのは半月ほど前に月見町の古美術店で店主の衣笠栄氏が何者かに刺殺された事件で警察が自分を疑っているため、そのアリバイ証人を探し出すというものだった。

 蒲生氏には5年前に大金を騙し取られたという衣笠氏に対する殺害動機があった。それもあり警察がアリバイ確認に来たらしいのだが、つい犯行時刻に自宅にいたと嘘の証言をしてしまったらしい。本当はTR線曙町の駅前をうろついており、独りだったため証人もいないというのだ。
 嘘がバレれば尚更警察は自分を疑うに違いない…そこで事件の日に曙町で自分を見た人物を探し出して欲しい、それが老人の依頼の内容だった。蒲生氏は気遣いのできる人物で町を歩けば声をかける人気者…俺も何とかしてやりたかったのは山々だったんだが……

 アリバイ証人探しなど容易い事…その時はそう考えていたのだが、翌朝から早速調査を開始してみると、意外とこれが難航し、しまいには蒲生氏から催促の電話が毎晩のようにかかってくるようになる。そして6日目の金曜日の夜、夜8時からの沖野ヨーコ嬢の番組を楽しみにしているとまたしても蒲生氏からの電話がかかってきたのだが、一日当たってみたものの成果がないのだから仕方がない。ところが蒲生氏は名探偵の俺だけが頼りだった…もう絶望だ…そう言うと電話を一方的に切ってしまった。

 何を大袈裟な…電話を切られた直後はそう思っていたんだが、翌日俺は目暮警部に呼び出される。場所はどこかの林の中で、誰かが首を吊って自殺し遺体のそばに握りつぶされたメモ用紙が残っていたんだが、そこに俺の探偵事務所の番号が書かれていたので呼び出されたらしい。不可解に思った俺が仏さんの顔を見てみると……その遺体は何と蒲生氏のものだった!

 俺は素直に目暮警部にこれまでの経緯を話した。すると警部は古美術商の衣笠氏殺害の容疑をかけられた蒲生氏は、昨夜8時に俺に電話をし進展しない調査に絶望して車を走らせて遺体発見現場に到着、自殺を図った。死亡推定時刻は昨夜の7時から9時の間で、遺体には死後に移動された形跡もなく、蒲生邸から遺体発見現場までは車で約1時間。 9時に自殺を図ったとすればすべてが合致する…そのように推理した。

 確かに本当に無実ならアリバイ証人が見つからないからといって絶望する必要はなさそうだったが、蒲生氏は5年前にも衣笠氏が何者かに襲われたという事件があった際、アリバイがあり無実にも関わらず誤認逮捕された辛い経験があり、また同じ目に遭わされるのではないかと不安にかられて自殺したとしても不思議ではなかった。

 俺がそんな話を目暮警部としていると、しばらくして一緒に捜査に当たっていた城西署の久本完吾刑事に電話がかかってきて、皮肉にも衣笠氏殺害の犯人が逮捕されたという連絡が入ってくる。一方俺は自宅ですればいいものをわざわざ車で1時間も出向き明かりもないもの寂しい林の中で自殺するのは不自然だと感じ、何者かが蒲生氏を自殺に見せかけてその場所で殺害したと推理。蒲生氏の自宅を調べるとともに、取材に来たマスコミ連中にもこの事件が他殺であり必ず犯人は捕まえてみせると宣言し、蒲生氏に殺害動機を持つ人物の洗い出しをはじめることになった。

 それから俺は競馬場で警察学校時代の同期の竹岡勲と偶然再会し、二人で協力して捜査を進めることになる。竹岡は5年前に蒲生氏を誤認逮捕した刑事で、その責任を取って刑事を辞めていたが、本庁と所轄と所属は違ったもののかつては何度もコンビを組んで捜査に当たった仲だった。

 竹岡と俺はまずはらいそ金融社長の土田令二に話を聞きに行き、蒲生氏が業務をほぼすべて土田氏に任せって切りだったことを知る。仕事での怨恨の線は薄いと感じると、今度はプライベートで蒲生氏を恨んでいた人物がいなかったどうかを調査した。

 すると捜査線上に浮かんできたのは蒲生氏の甥の新井京介だった。最近蒲生氏に借金を申し込んだがにべもなく断られていたことが警察の調べで分かり、あちこちで借金を重ねて金には相当困っていたことも判明。そして近所のバーでは叔父が死ねば遺産が入るのにと酔って管を巻いていたという証言も取れていたのだ。

 俺と竹岡は新井京介のマンションに出向きそのことを伝える。そして蒲生氏が亡くなったおとといの夜のアリバイについて尋ねると、週刊誌の連載小説の挿絵を描いていたが、独り暮らしのためアリバイ証人もいないというのだ。この名探偵毛利小五郎の目から逃れた犯罪者はただの一人もいない…そう宣言して俺たちは新井京介のマンションを後にした。

 それから俺は竹岡の推理で、新井京介が東陽スポーツ記者の山根康に俺が依頼人である蒲生氏を自殺に追い込んだという根も葉もないタレコミをした事実を掴む。遺産がそっくり転がり込む状況にアリバイ証人はゼロ、その上マスコミを使った妨害工作…何としても奴に泥を吐かせてやると意気込んで新井京介のマンションを訪れたんだが……

今回の見どころ
小五郎が探偵を辞める!?

 古美術商の衣笠栄氏殺害の容疑者として疑われており、その濡れ衣を晴らすために自分のアリバイ証人を探し出して欲しい…そう消費者金融社長の蒲生良造氏から依頼された小五郎。ところが蒲生氏が事件当日いたという曙町でのアリバイ証人探しは難航し、毎晩のように催促の電話が毛利探偵事務所にかかってきていました。そして捜査開始から6日後の夜8時、蒲生氏は捜査が進展しないことに「絶望した」と言い残して一方的に電話を切り、翌朝自宅から車で1時間あまりの林の中で首を吊って亡くなっているのが発見されます。

 蒲生氏は5年前にも衣笠氏を襲撃したとして警察に誤認逮捕された経験があり、小五郎の調査に進展がないことと誤認逮捕された時の恐怖も重なっての自殺とも思えましたが、本当にシロなら自殺する必要もなく、またわざわざ1時間も車を飛ばして街灯もない真っ暗な林の中で自殺するのは不自然と推理した小五郎は他殺説を主張し、マスコミにも真犯人逮捕を堂々と宣言します。

 それから小五郎は競馬場で偶然再会した刑事時代の旧友の竹岡勲と二人で蒲生氏の死の真相を追いかけ、蒲生氏の甥の新井京介が借金まみれで遺産を狙い蒲生氏を殺害したのだという結論に至り彼を追い詰めていくのですが、そこには思わぬ落とし穴が……。

4週連続サマープレゼント

 この前の週から始まった企画の第2週目と3週目。ネクストコナンズヒントを書いて送ると、2週目は500円のマックカードが抽選で30名に、3週目はBREAKERZのCD「光」が抽選で20名に当たるという企画をやっていました。

豆知識
ふぐ大将

 小五郎が蒲生氏と待ち合わせの約束をした店

月見町

 刺殺された古美術商の衣笠栄が経営していた店はこの町にありました。

曙町

 蒲生氏が衣笠氏の刺殺事件があった際にうろついていたと証言したのはこの駅前でした。

ニコニコあんぱん

 蒲生氏がクレームをつけていたニコニコパン株式会社のパン。愛されて40年。

どうぶつクッキー

 竹岡勲が持ってきたお土産。

米花中央病院

 小五郎に投げ飛ばされた相手が運ばれた病院先。

NEXTコナンズヒント
File540 声
File541 魚の名前
コント
File540
高木「毛利さんが探偵を辞める? これから事件は誰が解決するんだい?」
コナン「おいおい」

File541
元太「うなぎ、うな重、うなぎパイ、蒲焼き、肝吸い、ひつまぶし」
コナン「それは料理」
OP
Everlasting Luv」(BREAKERZ)
ED
」(BREAKERZ)
監督
於地紘仁
脚本
扇澤延男
絵コンテ
大宙征基
演出
File540 戸澤稔
File541 黒田晃一郎
作画監督
File540 増永麗
File541 山本道隆、長谷川真史
ビデオ
-
DVD
PART18-4
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★

 今回はミステリーツアーを除くと久しぶりのTVオリジナルの前後編となりました。出来栄えはというとかなり完成度の高い本格ミステリーだったと思います。小五郎が会っていた蒲生氏が実は真犯人の変装で、電話も含めて全部ホンモノの蒲生ではないというのは上手い入れ替わりトリックでしたね。そして事件を甥の新井京介の犯行によるものとして、自殺に見せかけて殺害する所まではプロットとしても完璧だったと思います。

 ただよく分からなかったのは新井京介が東陽スポーツの記者に小五郎が蒲生氏を自殺に追い込んだとタレ込んだ点、なぜ新井京介はそんな事をしたのかが明解でない所がひっかかっています。新井京介にしてみれば蒲生氏が自殺しようと他殺であろうと遺産が転がり込んでくる訳ですからタレ込みする必要がそもそもないですからね。犯人に誘導されてそうしたというような事もないみたいですし、消化不良で残っています。

 上記のひっかかりは細かいことかもしれませんが、私がどうしても納得できないのが、犯人の心理ですね。元々犯人は小五郎を自分の犯罪の道具として利用しようとして近づいた訳ですが、本来の計画では小五郎には一切迷惑もかからず新井京介に罪を被せてめでたしめでたしのはずでした。
 ところがたまたま新井京介の隣人による目撃証言があってアリバイができてしまい、新井京介犯人説が崩れてしまいます。そしてここで小五郎は無実の人間を追い詰めて自殺させたという、マスコミからも袋叩きにされる一気にまずい立場になった訳です。

 ここでどうして自首しなかったのか、そして自首までいかなくてもその後小五郎とコナンが真犯人捜査を開始した時に何故はらいそ金融社長から借りたビデオテープを積極的に奪い取り証拠を隠滅しようとしたのか、この点が結局は自分を守るために旧友を裏切る形になっていて、最後の感動物語としっくり結びついてこないのが甚だ残念でした。感動のラストのままならあのビデオテープを奪うのは余計でしたし、ビデオテープを奪うのであればもっと厳しく断罪されるべきでしたね。

 それだけ小五郎が寛大なのかもしれませんが、トリックが非常に良い出来だけにラストもすっきりしてくれたら完璧だったと思います。

 一方小五郎の人物描写は今回は最高にいい感じで描かれていましたね。看板を下ろすのオチはまあ賛否両論あるかと思いますが、個人的には結構笑いました。キャラクターの特性を十分に活かし切った脚本だったと思います。そしてそれを見事に演じ切っている神谷明氏の演技力の凄さを改めて思い知らされます。

TOPへ

名探偵コナンカレンダー

×