(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 毛利小五郎 山村刑事 佐藤刑事 宮本由美 沖野ヨーコ 山村ミサエ(85) 江頭頼人(25) 間船昭(26) 半頭留実(23) 川相晴華(24) 遠田陣也(31) 平良靖枝(28) 警官 コンビニ店員 銀白の魔女 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 群馬県警のヘッポコ刑事 警部補、目暮の部下 交通課の婦警、佐藤刑事の親友 人気アイドル 山村刑事の祖母 白のFDの男、冬名湖の釣り客 白のFDの男、冬名湖の釣り客 白のFDの女、ゴルフ客 白のFDの女、ゴルフ客 白のFDの男、海水浴客 白のFDの女、海水浴客 群馬県警の警察官 コンビニの店員 4年前に冬名峠を荒らし回った伝説のドライバー |
高山みなみ 声の出演なし 山崎和佳奈 神谷明 古川登志夫 湯屋敦子 杉本ゆう 声の出演なし 堀絢子 杉山紀彰 天田益男 渡辺明乃 星野千寿子 川津泰彦 岡村明美 小田敏充 坂戸こまつな ??? |
その日の早朝、小五郎はレンタカーを駆り群馬県の冬名山の山道を走っていました。前日依頼人の家で夕食をご馳走になり、小五郎が不覚にも酒を飲み過ぎて酔いつぶれてしまったことから更に一晩泊めてもらうことになり、蘭たちの学校のこともあり朝早くから車を飛ばしていたのです。
ところが冬名山やこの季節になると気温と湿度の関係で霧が出ることが多く、小五郎たちの車の周りも遠くは何も見えずかろうじて近くのガードレールが見えるぐらいの深い霧に包まれていて車を飛ばすことは難しい状況でした。更に前方に見えてきたのは何と警察の検問。免許証の提示を求められた小五郎が何かあったのかと訊ねると…小五郎たちの目の前に現れたのは顔見知りの群馬県警のヘッポコ刑事山村ミサオだったのです。
冬名峠の銀白の魔女─それは4年ぐらい前に冬名山を荒らし回った伝説の女性ドライバー。走り屋の聖地としても知られているこの峠で白いFDを駆りバトルを終えて帰る走り屋たちの車をとつぜん霧の中から現れてはゴボウ抜きしていき、独特の排気音と甲高いタイヤの摩擦音が相まって本当に女性が悲鳴を上げながら迫ってくるような印象を与えるためそう名付けられたというのです。
そしてその銀白の魔女が最近になってまた出没するようになり、魔女に勝負を挑んで事故を起こす走り屋が続出、いわゆる「魔女狩り」よろしく警察が取り締まりに乗り出したというのでした。
捜査一課の山村刑事がそこにいたのには訳がありました。彼が張込み先に置いてきたGT-Rを取りに行った帰り、たまたま田舎から出てきていた車好きの彼の祖母に運転を代わってもらったらしいのですが、その時彼の祖母が魔女を見たというのです。しかもその車はまるで仙人のように道のない霧の上を駆け抜けていったらしく、不思議に思って車を降りて手を振ると相手も振り返してくれたというのでした。そして山村はそれが事実か確かめるために一課の仕事が終わってから検問の手伝いをしているというのです。
山村の話に興味を持った小五郎は魔女狩りを手伝うことにし、友人やらはたまた警視庁交通課の宮本由美婦警などから情報を集めて土曜の早朝、再び冬名山を訪れたのです。
魔女を釣るために小五郎はGT-RやFDよりも速いと言われるランサーエボリューション、通称ランエボをわざわざ借りてきていました。しかし張り切って来てはみたものの2往復目にも関わらず何も起こらず、諦めて帰ろうかと思ったその矢先……
キャアアアというまるで女の悲鳴のようなスキール音に高回転まで一気に吹き上がるレスポンス、それにまるでモーターのように甲高いロータリー独特のエンジン音……まさかと思い蘭が後ろを見てみますが何もなく、今度は小五郎が横を向いてみると…FD-RX7…ついに魔女が現われたのです。しかも問題の車は窓から手を振り上げたかと思うとバトルのサインを出して小五郎たちを挑発、売られたケンカは買わずにはいられるかと、猛スピードで追いかけます。
しかしバトルの真っ只中、左に曲がったFDに続けとばかりに左へ曲がろうとした小五郎に対しコナンが急ブレーキと叫んだかと思うと、サイドブレーキを上げて車を急停車させてしまいます。なぜなら左には道はなく、ガードレールの向こうは険しい崖になっていたからでした。
白いFDは左に曲がって雲の上を走っていった!? 山村刑事の祖母が言っていた事を実際に目の当たりにした小五郎たちは驚きを隠せませんでしたが、コナンはこの世で魔女や呪いが存在できるのはファンタジーの世界の中だけだと、また検問をやっていると言っていた山村刑事に2人以上が乗っている白いFDを止めるように連絡し……
小五郎が依頼人の家で酔いつぶれたため、翌日の早朝に車を運転して急ぎ探偵事務所へ帰ることになった小五郎たちは、霧の深い冬名山で山村刑事が手伝う警察の検問に遭遇し、最近この辺りを荒らし回っている「銀白の魔女」の話を耳にします。
「銀白の魔女」は4年前に走り屋の聖地である冬名峠で名を馳せた白いFDを駆る伝説の女性ドライバーでしたが、山村刑事の話によると彼の祖母も先日車を運転している最中に白いFDを目撃、しかもまるで仙人のように道のない霧の上を駆け抜けていったというのです。
その突拍子もない話に興味を持った小五郎とコナンは数日経った土曜の早朝に再びランサーエボリューションを借りて冬名山へ繰り出し魔女狩りを始めたのですが、しばらくすると銀白の魔女と思われる白いFDからバトルを挑まれて応戦します。ところが小五郎とコナンは白いFDが山村の祖母の言っていたように道のない霧の上を駆け抜けていくのを目撃することとなったのでした。
しかし魔女や呪いはファンタジーの世界の話とコナンは冷静に推理をめぐらし、検問をやっているはずの山村刑事に2人以上が乗る白いFDを足止めするように連絡して、白いFDの正体を突き止めることにしたのでした。
まず冒頭ですが、小五郎の車が検問にかかり山村刑事と出会ってからの山村刑事がかなりノリノリで笑わせてくれます(笑) そして魔女狩りですと小五郎たちに告げるまでの、警察手帳を出して今は「警部」だから警部と呼んで欲しいとお願いし、コナンが「大丈夫か? 群馬県警」と呆れるあたりのシーンは皆アニメにしかないオリジナルです。ちなみに「警部」になったいきさつについてはこの年に公開された映画第13弾「漆黒の追跡者」を見れば分かります。本作でのこの変更は映画放映後にこの作品がアニメ化されたためだと思います。
オープニング後、まず前半については原作に忠実に話が進んでいくのですが、小五郎たちが山村刑事と銀白の魔女について話をしている時に原作では車に乗ったままで話をしているのですが、アニメでは3人とも車を降りて山村刑事と話をしています。
後半に入るとこちらも本当に原作に忠実になっていますが、3番目のFDの2人が原作では海水浴場に行くと言っているのですが、アニメではレイクサイドパークに変更されています。レイクサイドとはもちろん湖畔のことですから冬名湖のことだと思います。
その後山村刑事の祖母が登場しますが、原作では名前がないのですが、アニメでは「ミサエ」と名前がつき85歳と年齢の設定もあります。そしてエンディング前にはもう一度事件をおさらいするシーンが結構長めに追加されています。
まずオープニング後の前半の最初には前編の3組の容疑者たちの事情聴取のシーンがダイジェストでもう一度追加されています。
それから毛利探偵事務所に舞台を移し、小五郎が8時からの新ドラを見ようとした時に蘭が掃除をしているのですが、アニメでは掃除機を使うためにコンセントを抜いてしまっていて小五郎とひと悶着ある部分がオリジナルで追加されています。その後もラストのカーチェイスのシーンが演出が派手になっているなどしていますが、構成自体は原作に忠実に進んでいきます。
今回はカーチェイスのシーンなどが原作でありセリフの少ないコマが多かったせいか、アニメでは全体的にオリジナルのセリフやシーンの追加が目立ちました。
群馬県にある山の名前。そして4年前に山を荒らし回った伝説の女性ドライバーがいたらしく、「冬名峠の銀白の魔女」と呼ばれているそうです。
1台目の白いFDの男たちはこの湖でブラックバスを釣るのが目的でした。
今回銀白の魔女が乗っていたという車の名前。マツダのスポーツカーでFDというのは型式名の一つです。よって佐藤刑事は「外車かなあ」と言っていましたが外車ではなく日本車です。
小五郎が魔女狩りのため2度目に冬名峠に繰り出した時にレンタルした車。三菱自動車製の車です。
8時からの新ドラのエンディングソングとして起用された人気アイドル沖野ヨーコの歌。アニメでは前編のNEXTコナンズヒントの際にCDのジャケットのイラストを見ることができますので興味のある方はどうぞ。
その8時からの新ドラでスポンサーを務めていた企業の名前。アニメのみ登場します。
今回は銀白の魔女が道のない霧の上を走る謎という実に魅力的な題材でしたね。まあ正直こちらのトリックは道具を使って人間の目をごまかすという極めて単純なもので大したものではなかったのですが、それでも評価が満点になっているのは今回完全に意外な所を突かれたからです。
山村刑事の祖母の後光が差す中で手を振り返すというのも、正体はブロッケン現象でこれも2004年のコナンの作品でも一度出ていますし私もすぐに分かりました。ただ…「銀白の魔女」の正体が実は佐藤刑事だったというのは完全に盲点でしてやられたという、まさに脱帽のオチでした。一見何の関係もない単なる脇役かと思われた佐藤刑事と宮本由美婦警の会話が実は伏線になっていてこんな形で最後一番美味しい所を持っていくとは想像できなかったので、意外性は抜群でしたね。今回はこれだけでもう十分といった感じです。久しぶりにダマされてニヤリとしてしまいました。
それ以外では山村刑事の祖母というのが今回登場していますが、コミックスを集めていらっしゃる方ならご存知のように実は第52巻の鍵穴キャラとして登場しているんですよね。青山先生もいずれ登場させるといっていましたがようやくちゃんとした形での登場になりました(ちなみに375「星と煙草の暗号」、458「園子の赤いハンカチ」でチラッと登場していて、鳥取県の八頭に住んでいると書かれています)
周囲の開けた山頂に霧があり、太陽光線が水平に近い角度で入射するとき、太陽を背にして頂上に立つと、その人の影が前面の霧の壁に映り、影の回りに光の輪が現れる現象。霧粒にさしこんだ光が回折して起こる。御光。後光。
ドイツのハルツ山脈のブロッケン(Brocken)山でよく観測されるところからこの名があり、「ブロッケンの妖怪」とも呼ばれる。日本では御来迎(ごらいごう)、仏の御光(ごこう)と称して尊ぶ(gooの国語辞典検索─三省堂提供「大辞林 第二版」より)