(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 小和田道武(47) 小和田葵(22) 中嶺徳郎(28) 垂水修一郎(26) 柏達馬(26) 鳴滝壮市(59) まゆ 達馬の母 |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 宮司、阿笠博士の友人 道武の娘 村長の息子、青年団のリーダー 中嶺の仲間 旧家の長男 地元の刑事 灰原哀によく似た鳴滝の孫娘 柏達馬の母親 |
高山みなみ 緒方賢一 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 山野井仁 田口宏子 梅津秀行 陶山章央 日野聡 大林隆介 ??? 佐久間なつみ |
「楽しみだね」「早く来ねーかな」「ええ…」─笹橋の橋の上で村人たちとまだ見ぬホタルの登場を心待ちにしていた阿笠博士と少年探偵団たち。
そこへ阿笠博士の隣にいた村の宮司・小和田道武のもとに携帯電話で連絡が入ります。電話の主はトラックの助手席の乗っていた中嶺という若い男で、金髪にピアスをした柄の悪そうな人物でしたが、実は彼はこの村の村長の息子だったのです。
電話の向こうからホタルの歌なのか何かの曲が流れてきていましたが、中嶺は小和田に対し慎重に運転しているので予定より少し遅れるが、今赤沢橋を渡った所なのであと15分ぐらいで到着できると連絡をしてきたのでした。
それに対しくれぐれも安全運転で来るようにという宮司の言葉に、分かっているといって電話を切る中嶺。どうやら足をケガしているらしく、傍らには松葉杖も見えたのです。ところが電話を切った中嶺は突然ニヤリと不敵な笑みを浮かべ…
宮司からあと15分ぐらいで目的のものが到着すると聞かされ、期待に胸を膨らませていた村人や探偵団たちのボルテージは最高潮に達します。実は中嶺がトラックで運ぼうとしていたのはホタル…それこそ村人たちや探偵団が心待ちにしていたもので、この山奥の村の観光そして村中が期待する町おこしの切り札でもありました。
以前は洞窟の中に本殿があることで珍しがられたという神社が集客に一役買っていたらしいのですが、最近はさっぱり…。そこで宮司の小和田がホタルの養殖をすることを思いつき、資金集めに苦労はしたものの村長の息子である中嶺の協力で何とか今回のイベントにこぎつけたのです。
ところがそこに一つ問題が……協力の条件として中嶺は小和田の娘・葵との結婚を要求したらしいのですが、それに対する葵の返事はにべもないものでした。なぜなら中嶺は村長の息子であることをいいことに暴力は振るう上女グセも悪かったからなのです。それでも中嶺は村の青年団のリーダーということで一応村人たちの役には立ってくれているらしいのですが…
ほどなくしてホタルを乗せたトラックが到着し、探偵団たちも思わずそちらに駆け寄ります。するとトラックから聞こえてきた街灯を消してくれという中嶺の声に従い周囲の街灯が一斉に落とされたのでした。
それからトラックは笹橋の川べりに停車し、運転席から降りてきた中嶺の仲間・垂水修一郎が、中嶺のもう開けていいぞという指示に従ってホタルの入った箱を次々に開いていきます。
すると箱の中からは淡い緑の光が無数に飛び出し……街灯が消されて真っ暗になっていた辺り一面がホタルの光で一斉に照らし出されたのです。そのあまりに幻想的な光景に思わず見とれる村人や探偵団たち。都会と違って暗いからよく見えると、この光景には普段はどちらかというとクールなコナンや灰原も感心せざるを得ませんでした。
一方あまりの美しさに感動した元太はやんちゃぶりを発揮してホタルを捕まえようと緑の光を追いかけていきます。ところが元太が追いかけたホタルはさんざん周囲を飛び回ったかと思うと、ホタルを乗せてきたトラックの運転席に窓の隙間を通って入り込んでしまったのです。
それでも元太は諦めずにトラックの扉を開けて中の様子を探りますが、助手席に落ちていた懐中電灯で中を調べても結局見つけることができませんでした。
ホタルは口が発達していないため水を飲むだけ、幼虫の時に摂った養分を使い果たすと死んでしまう。そんな儚い生き物だからこそあんなにも美しい光を放つ─一方歩美と光彦は灰原のうんちくに感心しながら川べりでホタルを眺めていました。
ところがそんな灰原たちの様子を見て寂しそうにしている人物がいたのです。その初老の男性の名前は鳴滝壮市といい地元の刑事で、宮司の小和田が阿笠博士にした話によれば気の毒なことに昨年土石流によって可愛い孫も含めた家族を失ってしまったというのでした。
それから宮司の小和田はホタルを苦労して運んできた中嶺に対してねぎらいの言葉をかけようと、仲間たちとおしゃべりをしていた垂水修一郎に声をかけます。ところが中嶺はどこにも見当たらず、垂水は携帯電話で中嶺を呼び出そうとします。
すると垂水の表情が一変、「どうしたんです」「そこにいるのは誰だ」と緊迫した声で電話の相手に呼びかけるのでしたが、苦しそうにしながら「烏帽子岩だ」「助けて」と言ったきり応答がなくなってしまったらしく…
それを聞いた小和田と阿笠博士は垂水の運転で川の上流にあるという烏帽子岩にトラックで向かおうとしますが、中嶺が持ち去ったためか車のキーがどこにも見当たらず、仕方なしに博士のビートルを使って現地に向かうことになります。
そしてやっとの事で一行が烏帽子岩に到着すると、岩のすぐ下には赤い車が停車していました。そして到着した垂水が慌てて駆け寄り車のドアを開けてみると、中にはぐったりとして身動きしない中嶺の姿が。そして車の中からは一匹のホタルが淡い緑の光を放ちながら飛び出していき……。
都会ではすっかり見られなくなったホタルを鑑賞するために山梨県の山奥の村にやってきた阿笠博士と少年探偵団たち。
その村は元々は洞窟の中に本殿を持つ神社を目玉に観光をしていたのですが、それも今は昔の話、最近になって阿笠博士の友人で村の宮司の小和田の発案でホタルの養殖をはじめ、それを観光の目玉にすることで村おこしをしようとしていたのでした。もっともその資金集めをめぐって村長の息子の中嶺が小和田の娘・葵を嫁に欲しいと言い出すなど、ひと悶着あったらしく…。
しかしそれはそれ、中嶺が仲間の垂水とともにトラックで運んできたホタルが箱から人々の待つ笹橋の川べりに放たれると、周囲は淡い緑に光で照らし出され、その幻想的な光景に村人たちも観光客も大興奮。
計画が見事に成功した小和田は礼を言おうと中嶺を探しますが、ところが中嶺の姿はどこにも見当たらず…垂水のかけた携帯電話に中嶺が残したという「烏帽子岩」という言葉を頼りに川の上流にある岩に向かうのでしたが…
作中で流れていた音楽、そした歩美が歌っていた歌です。
ほー ほー ほーたるこい
あっちの水は にーがいぞ
こっちの水は あーまいぞ
ほー ほー ほーたるこい
基本的には上記のような歌詞ですが、全国各地に伝承されているので微妙に歌詞が違ったりするのだとか。
冒頭少年探偵団たちが村人たちと一緒に立って待っていた、ホタルの放たれた川べり近くにあった橋の名前。阿笠博士の推理の最中の地図に名前がありました。
宮司の小和田と村長の息子の中嶺が電話で話をしていた際に、中嶺は「今赤沢橋を通った所だ」と言っていました。
被害者が発見された川の上流にあるという岩。この岩に向かう途中の道には駄菓子屋があります。
被害者が発見された車の中で発見されたドリンク剤のビンの名前。被害者の大好物だったそうです。
ホタルを見ることのできる山奥の村で起きた今回の事件。作中では場所ははっきり明記されていませんが、笹橋に到着したトラックに「甲府 430 ほ78-90」というナンバープレートが見えたので、山梨県の甲府が舞台だと思います。
しかし残念ながらこのナンバープレートが見えた直後に、あまりにも意味深に被害者が姿を見せずにトラックから声だけが聞こえた所でもうトリックが分かってしまいました(苦笑) そして次に被害者と一緒に車に乗っていた垂水が車を降りた瞬間に、この人が犯人なんだろうなというのも分かってしまいました。それぐらい今回はちょっと簡単でしたかね。
まだ事件すらはっきり視聴者の前に明らかにされていない段階でしたが、それもあって元太が助手席の扉を開けて誰もいなかったのを見てもう確信に変わりましたし、ミステリーとしては難易度が低すぎて正直このままただ謎解きだけされて終わりだったら退屈だったかもしれません。
ただ最後に犯人が悪あがきをしてくれて、灰原を人質に取って逃げようとします。それでもまあこれも予想の範囲内かなと思いました。ところがその後に来た土石流には正直度肝を抜かれましたね。これは予想外の演出でした。
そして恋人を守ろうとする柏達馬や自分の亡くなった孫娘に似た灰原哀を必死で助けようとする鳴滝刑事には正直感動しました。そして助かった後の灰原哀の「私まゆちゃんじゃないわよ、でもありがとう」というセリフは心打たれましたね。最後のエピソードが感動的でとてもいいものを見させてもらったと思います。
それからラストのネクストコナンズヒントの老眼鏡のイラストが(苦笑) 日売新聞を読んでいる人のあまりの老けぶりがちょっと衝撃的でしたね。