名探偵コナン582「ゾンビが死んだ夜」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File582 ゾンビが死んだ夜
英題
The Night the Zombie Died
放映日
2010/7/24
原題
TVオリジナル
ジャンル
本格
事件現場
人気お笑い芸人ストローベリーの藤森朝子の住むアパート 301号室
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
目暮警部
高木刑事
千葉刑事
トメさん
今岡次郎(28)
藤森朝子(37)
久松実(60)
沼田ケイスケ
子供
子供
子供
子供
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
捜査一課刑事、目暮の部下
鑑識員
ストローベリーを結成するお笑い芸人
ストローベリーを結成するお笑い芸人
ストローベリーのマネージャー
朝子の元恋人
朝子のアパートの近所に住む子供
朝子のアパートの近所に住む子供
朝子のアパートの近所に住む子供
朝子のアパートの近所に住む子供
高山みなみ
山崎和佳奈
小山力也
茶風林
高木渉
千葉一伸
声の出演なし
小野坂昌也
斉藤貴美子
土方優人
???
金元寿子
小寺麻未
冨樫かずみ
天神林ともみ
あらすじ
「そりゃなんたって、今売り出し中のお笑いコンビだからよぉ」

 依頼された仕事の目途もついてないのに依頼主の誕生日に招待された小五郎と蘭、それにコナンの三人。何か気まずいとはいうものの今売り出し中のお笑いコンビであるストローベリーの藤森朝子からの招待ということもあってはしゃぐ小五郎。ところが玄関のベルを鳴らした小五郎を出迎えたのは何と……

 小五郎たちの前に現れたのは服を血まみれにした藤森朝子の姿。男が急にベランダから入ってきたらしく…そこまで言うと苦しそうに倒れ込む藤森朝子。コナンが慌てて部屋の中に駆け込んでみると…部屋の中は争った形跡とそのすぐそばで仰向けに倒れて身動き一つしない人の姿、そしてその傍らには血のついた果物ナイフ、そして拳銃が転がっていたのです。

 更にコナンを驚かせたのは倒れている人物の顔……目の血走ったゾンビのような何ともおどろおどろしい、異様な形相をした被り物をしており…

 事の始まりは1週間前のこと、人気お笑いコンビ「ストローベリー」の藤森朝子が毛利探偵事務所を訪れたことから始まったのでした。差し出された写真に朝子と一緒に映っていたのは沼田ケイスケという男で、15年ほど前東京に出て来たばかりの頃に付き合い始めたもののタチの悪い男ですぐに別れたというのでした。

 ところがストローベリーが春のMANZAIグランプリで優勝して人気が出始めた途端、金を貸してくれと何度も電話がかかってくるようになったというのです。そして断るといろいろと嫌がらせをしてきたらしく、困り果てて毛利探偵事務所に相談に来たという訳だったのです。

 郵便受けが荒らされていたり、夜道では誰かにつけられているような気がしたり、先日は玄関のカギをこじ開けようとした跡まで残っていたというのです。そこで小五郎は沼田を探し出すように依頼されたという訳だったのですが、いろいろと調べたものの沼田の所在はなかなか掴めず、仕方なく部屋のカギをピッキングしづらいものに変更させたのですが、沼田はそのことを知り強硬手段に出たものと思われたのです。

 そこまで目暮警部に事情を説明すると、ストローベリーのマネージャーである久松実が事件現場となった朝子の部屋に駆けつけ彼女を気遣います。一方目暮警部は高木刑事に部屋の中で倒れて息絶えた侵入者のゾンビのゴムマスクを取るように指示するのでしたが、マスクを取ってみるとその下から現れたのは何と……沼田ではなく朝子の相方の今岡次郎だったのです!!!

 その日は朝子の誕生日で、世話になっている小五郎たちを19時の約束で招待していたのでした。ハンバーグにフルーツポンチといったメニューで、フルーツポンチのイチゴを切っている時にガラスの割れる音がして、音のした窓の方へ様子を見に行くと、鍵を開けて中に入ってくるゾンビのゴムマスクの男と遭遇したというのです。ゾンビの男は「ぶっ殺してやる」と言いながらモデルガンを構え、反対の手で朝子の左腕を掴み…揉み合っているうちに持っていた果物ナイフが男の胸を刺してしまったというのですが…。

 そして被害者は部屋に押し入る前の18時45分にどこかに携帯で電話をしていました。発信履歴には「K」とだけあったのですが、これはいったい!?

 一方現場をうろついていたコナンは、朝子に相方の今岡次郎を今日の席に呼ばなかったのかと尋ねます。すると今日は誰かと会う約束があるからと言っていたというのですが、更に詳しく二人のマネージャーの久松に聞き始めると、久松は今岡次郎が朝子とのコンビを解消しようとしていたことを告白し始めます。

 今岡は高校を卒業してすぐお笑いの世界に入ったものの舞台度胸がなく最初は上手くいかなかったというのでした。しかし朝子は今岡には才能があると言い半ば強引にコンビを組み、10年苦労したもののやっとその苦労が報われ売れてきた所でした。

 ところが売れ出し忙しくなると朝子の持病の心臓が悪くなった影響もあり、舞台やテレビを休んだり漫才中のリアクションが遅れたりして、今岡はそれが我慢ならなかったというのです。

 しかもここ最近は女子アナと合コンやアイドルとのデートを週刊誌にすっぱ抜かれるなど女性関係も好き放題派手にしていたらしいのですが、今岡と朝子は漫才のコンビというだけでなく恋人同士でもあったらしく……

 今岡を一人前に育てたのは朝子なのに…苦々しげにそのことを語るマネージャーの久松。一方その話を聞いていた小五郎は、今岡のズボンの裾にくっついていたオナモミをコナンが見つけたちょうどその時、何かを閃いたらしく……

今回の見どころ
人気お笑いコンビ「ストローベリー」を襲った悲劇

 15年ほど前、東京に出てきたばかりの頃に付き合っていた沼田という男からストーカーまがいの嫌がらせを受けている…春のMANZAIグランプリで優勝し一躍人気者となったお笑いコンビストローベリーの藤森朝子から問題の沼田の所在を突き止めるという依頼を受けた小五郎でしたが、その調査はまだ完了していないものの朝子の誕生日に招待されたこともあり花束を持って蘭とコナンと3人で彼女のアパートへと向かいます。

 ところが部屋の前に到着すると、中から出てきたのは服を血まみれにした朝子の姿…そして部屋の中ではゾンビのゴムマスクをした何者かが朝子の持っていた果物ナイフで刺されて胸の辺りから血を流し絶命していたのです。

 捜査を始めた目暮警部たち捜査一課はさっそく侵入者のゴムマスクを取り顔を検めようとしますが、すると絶命していたのは沼田ではなく、朝子の相方のお笑い芸人・今岡次郎だったのです。

 いったいなぜ今岡が朝子の部屋にゴムマスクをつけて侵入したのか…困惑する小五郎たちでしたが、するとストローベリーのマネージャーを務める久松実は、今岡が朝子とのコンビを解消しようとしていた事を告白しはじめ…

豆知識
MANZAIグランプリ

 「ストローベリーは恋の味」で売り出し中のお笑い漫才コンビのストローベリーはこのグランプリの春の大会に優勝して一躍人気者になったそうです。

週刊フレッシュ

 「ストローベリー次郎、女子アナと連夜の合コン」の文字が踊っていた週刊誌。

 いわゆるひっつき虫と呼ばれるトゲのある一年草の名前。冒頭の子供たちのように子供の頃いたずらで服にくっつけたりして遊んだ方も多いはずです。

NEXTコナンズヒント
心霊写真(放映分は直後に「6月の花嫁殺人事件」の再放映のため)
(本来のNEXTヒント)
コント
「ゾンビが死んだ夜」放映分
コナン「蘭姉ちゃん、変な人影が…」
蘭「来ないでー、うりゃーっ」
小五郎「痛い、痛い、オレだオレ…ぶはっ」

「園子のアブない夏物語(後編)」放映分
OP
As the Dew」(GARNET CROW)
ED
Hello Mr. my yesterday」(Hundred Percent Free)
監督
於地紘仁
脚本
大野武雄
絵コンテ
影山楙倫
演出
山崎茂
作画監督
かわむらあきお
ビデオ
-
DVD
PART19-5
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

 今年7作目(「怪盗キッド誕生の秘密」を除く)のTVオリジナル30分作品でしたが、今回は率直にとてもよくできたミステリーだったと思います。

 トリックについては非常にシンプルですが、犯人が自分の心臓が良くないことを利用し、鍵を交換したことで工事用の足場を登って3階の窓を割って入らないといけない状況を作るという実に人間心理を突いた見事なものだったと思いますね。

 また手型の方向の矛盾とフルーツポンチのイチゴ、それにマスクの内側についたイチゴと証拠もふんだんに用意されていて、実に楽しい謎解きでしたね。手型は自分も気づきましたが、イチゴはさすがに分からなかったです。

 正直謎解きミステリーとしては今回はかなり楽しめたのですが、エンディング後のラストがちょっと賛否両論分かれそうで、私はどちらかというと否だったため星一つ減点になってしまいました。

 率直に言うと被害者の犯人を思う気持ちというのはとても理解できるのですが、それとは真逆の週刊誌にスッパ抜かれた女性関係などを見ていると首を傾げざるを得ません。殺されて当然とはまったく思いませんが、やっぱりその点で被害者にも脇が甘かったというか、落ち度があったことは否定できませんよね。

 一方で犯人の方も理解できないですし同情もできません。自分が一人前に育てたと言いますが、決してそれだけでなく被害者の努力もあったと思いますし、自分が心臓の調子が悪いこともあり被害者に漫才の途中で迷惑をかけた事も事実ですからね。それにやはりどんな理由があれそれが殺していい理由にはならないと思います。小五郎も巻き込んでの用意周到な計画殺人ですし同情の余地まったくなしです。

 ただこういう作品を見ているとすれ違いというのは怖いなと改めて思います。犯人ももっと率直に被害者に気持ちをぶつける勇気があれば、こんな事にはならなかったんじゃないでしょうか。

 最後に2点、まず小五郎の声についてですが最近の眠りの小五郎は初代をあまり意識することなく自分の色を出して演じておられているようで、だいぶ違和感がなくなってきました。本当に人間の慣れというのは怖いですが、やはり元々実力ある方ですしまあこうなった以上は頑張ってもらうしかないのかもしれませんね。ただ自分が知っている限りの交代の経緯については未だに納得できていませんが。

 そして2点目はアニメの公式サイトのあらすじについて、一応こちらもチェックしていますが、たまに間違っている部分があって苦笑いしています。今回は「小五郎が7階にある朝子の部屋のインターホンを押すと」になっていますが、朝子の部屋は301号室でエレベーターも3階に止まっていますので7階ではないと思いますし、また「2階の主婦は6時51分に工事の足場を登る次郎を見た」となっていますが、映像を見た限りでは2階の住人は男性のように見えますから主婦ではないですし、高木刑事は6時51分ではなく6時50分頃と言っています。まあこの記事を関係者が読んだら速攻で直されるとは思いますが、公式サイトなのですからちょっと間違い過ぎですよね。

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