名探偵コナン583-585
「小林先生の恋・白鳥警部の失恋・時を超える桜の恋(前半)」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File583 小林先生の恋
File584 白鳥警部の失恋
File585 時を超える桜の恋(前半)
英題
Teacher Kobayashi's Love
Inspector Shiratori's Unrequited Love
Cherry Blossom Love That Transcends Time
放映日
2010/8/14・8/21・8/28
原題
第67巻
File9「小林先生の恋」
File10「小林先生の誤解」
File11「桜の少女は?」
第68巻
File1「桜、満開」
ジャンル
本格
事件現場
米花町内 花火大会へ向かうとある通りの路地裏
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
灰原哀
目暮警部
高木刑事
白鳥警部
佐藤刑事
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
千葉刑事
宮本由美
小林澄子先生
隅田晶
鍵谷菊奈(25)
滝本両子(31)
児玉柳介(27)
女性警官
刑事
刑事
刑事
刑事
刑事
男性教諭
白鳥警部(少年時代)
本編の主人公、正体は工藤新一
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
警視庁捜査一課警部
警部補、目暮の部下
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
捜査一課刑事、目暮の部下
交通課の婦警、佐藤刑事の親友
帝丹小学校1年B組担任
質店店主、事件の被害者
容疑者、フリーターで元レディースのリーダー
容疑者、小料理屋の女将で資産家のお嬢様
容疑者、ホストクラブ店員で元高校球児
警視庁 女性警官
警視庁 佐藤美和子絶対防衛線の刑事
警視庁 佐藤美和子絶対防衛線の刑事
警視庁 佐藤美和子絶対防衛線の刑事
警視庁 佐藤美和子絶対防衛線の刑事
警視庁 佐藤美和子絶対防衛線の刑事
帝丹小学校 教諭
白鳥警部の少年時代
高山みなみ
林原めぐみ
茶風林
高木渉
井上和彦
湯屋敦子
岩居由希子
高木渉
大谷育江
千葉一伸
杉本ゆう
加藤優子
沢海陽子
芝原チヤコ
神代知衣
石野竜三
沢海陽子
魚建
斉藤次郎
渋谷茂
石野竜三
柳沢栄治
渋谷茂
本田貴子
あらすじ
「でもさ…『放っとけない』っていうのは…『好き』の仲間だと思うよ!」

 あの2人ならなるようになっているんじゃないですか? 両想いのようですし…最近警視庁内でも大胆に振舞うようになった高木刑事と佐藤刑事を見て苦々しく想う「佐藤美和子絶対防衛線」の刑事たちの一方で、最高責任者だったはずの白鳥警部はその任務は別の人間に譲ったとまるで他人事のよう…

 いったいどうしてしまったのかといぶかる刑事たちでしたが、そこは日々凶悪犯を追いかける刑事たち…まだ裏は取ってはいないものの、佐藤刑事にそっくりで、どこかの学校の先生で、会ったり電話したりでかなり頻繁に接触しているという情報をつかんでいたのでした。

 一方その白鳥警部はというと、警視庁の刑事の噂どおりにコナンたち帝丹小学校1年B組担任である小林澄子先生に電話をかけているところでした。米花町周辺で最近ひったくり事件が多発しており、21時以降の外出は極力控えるようにというものでしたが、頻繁に電話をかけてくる白鳥警部に対して小林先生も顔を赤くして応えていたのです。その様子に教室掃除が終わったことを報告しようと職員室に来ていた少年探偵団たちもなかなか声をかけることができず…。

 ようやく自分たちの存在に気づいた小林先生に白鳥警部からちゃんと告白されたのかと尋ねる探偵団たちでしたが、白鳥警部が小さい頃書店で小林先生を万引きした連中から助けたという話は自分でするといっていたこともありまだの様子。もっとも小林先生も白鳥警部と最初に会った時何か初めてではない、心の奥の方で不思議な引き出しが開いた感じがしたというのです。

 それから探偵団たちは夕方6時半に毛利探偵事務所で待ち合わせて花火大会に行く予定でいたのですが、阿笠博士は友人の引越しの手伝いのため、小五郎は近所の人たちと花火を見ながら飲むという約束のため、蘭は空手部の夏合宿のために探偵団たちだけで花火大会に行くと知ると、小林先生は夜に子供だけで出歩くのは危ない、特に最近この辺りでひったくり犯が出没するからと言って付き添いを買って出てくれることになったのですが…。

 ところが小林先生はその日発売の「怪人二十面相の20の犯行ミス」という本を買うのに手間取ってしまい約束の時間に遅れてしまった挙句、少し目を離した隙に探偵団たちには置いてけぼりにされる始末…。花火の上がっている方向に向かって走り探偵団たちを探そうとしたのですが…

 「警部、事件です…子供が5人煙のように消えました…」などと白鳥警部にメールで相談しようかと小林先生が迷っていると、路地裏を挟んだ向こう側の通りから聞こえてきたのは「いいからそれをよこしなさいよ!! 殺すわよ!!」という何とも物騒な言葉…。

 誰かと誰かが言い争っている…まさかひったくり犯!? ひょっとしたら少年探偵団たちが巻き込まれているかも…そう考え意を決して路地裏に小林先生が入っていくと、向こう側の通りに見えたのは走り去る何者かのシルエットでした。

 長い髪を後ろに束ね帽子を被っていて、女性なのかかなり胸があるように見えたその人影が走り去った位置まで来てみるとそこには人が倒れていて、刃物で一突きにされたのか路上には大量の血が流れていたのです。小林先生の悲鳴を聞いたコナンはただちに現場に駆けつけますが、コナンが到着するその直前まで通りの向こうの方には小林先生をじっと見つめる不気味な人影が……

 それから数日後、小林先生は事件の重要参考人として少年探偵団たちに付き添われて警視庁を訪れていました。ところが通路を歩いていると宮本由美婦警や千葉刑事から佐藤刑事だと間違われ…

 それが最近白鳥警部と噂になっている小林先生だと聞き驚く由美たちを尻目に、小林先生は白鳥警部に案内されて探偵団たちとともに先日の事件について話を聞かれます。誰かと誰かが言い争う声…路地裏に入った途端見えた何者かのシルエットと、血まみれで倒れている被害者を発見したこと…そして言い争いが聞こえる前には路地裏から走り去る引越業者っぽい、車体に大きく「09」と数字の入ったトラックが見えたことも小林先生は証言します。

 一方事件の被害者は名前を隅田晶といい、質店を営んでたらしいのですが、そのあくどい経営に怒っている人間はたくさんいたというのでした。そしてこの被害者を恨みかつその日アリバイのない容疑者が3人いてちょうど事情聴取をしているらしく、小林先生は彼らの声を聞き犯人のものかどうか確かめることになったのですが、その前にトイレに行くために聴取室を出た小林先生は、偶然通りかかった高木刑事や佐藤刑事それに捜査一課の刑事たちがしていた白鳥警部に関する話を耳にしてしまい……

今回の見どころ
花火大会に向かう途中通りの路地裏で小林先生が遭遇した殺人事件

 阿笠博士や小五郎たちが用事で行けない代わりに少年探偵団たちの花火大会に付き添いで行くことになった小林先生。ところがその途中で探偵団たちとはぐれてしまい、花火の方向へ走りながら彼らを探しているとある通りを通りかかった時に路地裏の方から誰かと誰かが言い争いをしている声を耳にします。

 ひょっとしたら探偵団たちが巻き込まれているかも…と意を決して路地裏に入っていく小林先生でしたが、路地に踏み込んだ途端前方に見えたのは路地裏を走り去るシルエット。そして路地裏には人が倒れて血を流して死んでいたのです。

 それから警察の事情聴取を受けるために警視庁を訪れた小林先生でしたが、そこで最近頻繁に電話をかけてきて密かに気になっている白鳥警部について同僚の刑事たちが噂話をしているのを耳にして…。

今日は24時間テレビ

この日は夕方17時半からの放送で、この後毎年この時期恒例の24時間テレビが放送されました。コナンでも最後にこれについての言及があり、今回のテーマは「ありがとう」ということで、コナンと蘭と小五郎の三人の24時間テレビ試用のカットが追加されています。

コナンが黄色、蘭がピンク、小五郎が緑色の、ありがとうにちなんでアリのイラストがプリントされたTシャツを着ていて、コナンと蘭は駆け足ですが、小五郎は地球を重そうに支えている微笑ましいカットになっていました。

原作との相違点
小林先生の恋

 まず冒頭高木刑事がだらしない格好で警視庁を歩いていた際に女性警察官とすれ違いクスクス笑われるというシーンがアニメでは挿入されています。その後白鳥警部がすっかり変わってしまったと感じた佐藤美和子絶対防衛線の刑事たちが話をしている部分のセリフが最後若干カットされています。

 その後少年探偵団たちが教員室に小林先生を尋ねますが、この時のコナンのセリフが「教室」の掃除から「ウサギの飼育小屋」の掃除に変わっています。これは放送時期が夏休み中だったため、時期の設定を変更し少年探偵団たちが夏休み中に学校に来る口実を作るためにこのように変更されたのだと思います。そして花火が始まるった直後、小林先生とはぐれた後のコナンの「まあいくら方向音痴の先生でも…」という部分がカットされています。

 後半に入ると警視庁で小林先生が白鳥警部に連れられて会議室に案内される際に歩きながらしている会話にきちんとセリフが追加されています。

 それから小林先生と哀と歩美がトイレに向かった後に元太と光彦が白鳥警部をからかうセリフが追加され、その後原作では被害者の写真が出てきて容疑者3人の取り調べへと移るのですが、アニメではこの部分が次週に持ち越され、最後の小林先生がトイレから出て来た後に佐藤・高木刑事が廊下を通り過ぎ、続いて佐藤美和子絶対防衛線の刑事たちが会話しながら歩いていくシーンへと続いてエンディングを迎えます。

白鳥警部の失恋

 第2話はまず前半については目暮警部たちによる容疑者3人の事情聴取のシーンからはじまり、その後小林先生が高木&佐藤刑事や佐藤美和子絶対防衛線の刑事たちと遭遇するシーンへと続いていくのですが、ここまでの流れは多少セリフの追加・変更等ありますが、原作どおりです。刑事たちに遭遇するシーンは第1話の最後にも挿入されていますが、この第2話でも原作の流れどおりに続いていきます。その後も若干セリフのカットと変更は見られるものの原作どおりです。

 後半に入ってからは白鳥警部が帝丹小学校の小林先生を訪ねる所まではほぼ原作どおりにストーリーは進行します。それから原作では最終話に入りますが、アニメ第2話ではその最終話の小林先生に電話がかかってきて音楽室に行こうとするシーンが、一番最後に挿入されていて、緊張感を高める構成になっています。

時を超える桜の恋(前半)

 解決編にあたる部分ですが、こちらは最後まで原作どおりでした。第2話最後に挿入されていた小林先生が音楽室に向かうシーンはこの3話目にも原作の流れどおりで入れられています。最後に千葉刑事の「高木さんファイト」というオリジナルのセリフが追加されているのが何気に楽しいですね。

豆知識
「怪人三十面相の30の犯行ミス」

 この事件があった日に発売予定で江戸川乱歩マニアの小林先生が買おうと思っていた本の名前。原作では「怪人二十面相の20の犯行ミス」になっています。

ヤジマ電気

 アニメのみ、探偵団たちとはぐれた小林先生が言い争う声を聞いた場所の背後にあった電機店の名前。ヤマダ電機なのか、はたまたコジマなのか不思議な名前です(笑) 今回はまた街中を歩くシーンがかなり多かったので、いろいろと看板の名前をチェックしてみると面白いかもしれませんね。

大阪ニコニコ運輸

 阿笠博士が事件当日友人の引越しの手伝いをした際に、引越し来た車はこの会社のものでした。

NEXTコナンズヒント
File583 どなり声
File584 キリン
File585 雀(すずめ)
コント
File583
コナン「今夜の『世界一受けたい授業』にボクも出てるよ、絶対見てね!」

File584
光彦「来週は24時間テレビのため、5時30分からの放送です」
元太「間違えんなよ」

File585
元太「オレがキッドを捕まえる」
歩美・光彦「はーあ?」
哀「フッ、頑張ってね」
OP
SUMMER TIME GONE」(倉木麻衣)
ED
Hello Mr. my yesterday」(Hundred Percent Free)
監督
於地紘仁
構成
File583 山本泰一郎
File584 山本泰一郎
File585 山本泰一郎、大宙征基
絵コンテ
File583 山本泰一郎
File584 山本泰一郎
File585 山本泰一郎、大宙征基
演出
File583 山崎正和
File584 戸澤稔
File585 山本泰一郎
作画監督
File583 宮井加奈、石井ゆみこ
File584 佐々木恵子、広中千恵美
File585 岩井伸之、神谷友美
ビデオ
-
DVD
PART19-5
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★

 今回は本庁の刑事恋物語の番外編というか白鳥警部編というか、今年の3月に放送された568-569「白鳥警部、桜の思い出」の続編となっています。そしてこれでめでたくハッピーエンドということでいいのでしょうかね。それともまだまだここから波乱があるのかもしれませんが、それにしてももう少し長くこのエピソード引っ張るのかと思っていましたので、意外に早く決着が着いたという印象です。白鳥警部おめでとうございます。

 ただミステリーとしては今回の話は大傑作というほどの出来栄えでは残念ながらなかった気がします。トラックの「09」という表記に見えたという部分については、自分には最初から「OS」にしか見えませんでしたし、言い争う声が「殺すわよ」という方が被害者の声だったというのもそんなにじっくり考えなくても思いつくことができました。そしてそこが分かってしまうと犯人は男とすぐ分かりますので、今回は難しくなかったです。

 あとは小林先生はもっと注意して子供たちを見ないと(苦笑)、あれでは保護者の役割果たせていませんので、天然とはいえしっかりしてもらいたいですね。まあでもあのキャラクターだから見ていて楽しいのですが。

 それから余計なお世話だと思いますが、もしこれで白鳥警部と小林先生がすぐにゴールイン→寿退職ということになると、1年B組の生徒は1年の間に2度も寿退職が原因で担任交代ということになるんですよね。そもそも1年B組の担任は戸矢先生という女性の先生でしたが、この方が結婚して退職したため、小林先生が代わりにやって来たのでした(112「帝丹小7不思議事件」)

 それもあって小林先生には結婚退職するにしても何とかもう少し勤め上げてからにして欲しいと勝手に思ってしまうのですが、なぜなら実は自分も小学2年生の時に同じように1年生の時からの担任の先生が結婚退職して代わりの先生が来たということがあったのですが、その時妙に悲しい思いをした記憶があるんですよね。子供たちにとっては先生というのは非常に大事な存在ですから、その時の経験もあってかあまりこういう交代は望ましいものではないとついつい思ってしまうのです。

 もう一点、今回の2話半で完結というこの史上稀に見る非常に中途半端な構成についてですが、これについての苦言は次のキッドの事件の際に触れたいと思います。

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