(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 灰原哀 目暮警部 高木刑事 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 トメさん 西田聡史 井村幸輔(32) |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 鑑識員 アクアリウムデザイナー 西田のアシスタント |
高山みなみ 緒方賢一 林原めぐみ 茶風林 高木渉 岩居由希子 高木渉 大谷育江 中嶋聡彦 声の出演なし 飛田展男 |
ある日の日曜日、少年探偵団たちは 阿笠博士に連れられてアクアリウムデザイナーとして知られる西田聡史の家を訪問することになります。アクアリウムデザイナーとは水族館を作っている人のことで、いったいどんな家なのか興味津々で彼の家を目指して歩いていました。
ところが約束の12時に到着した阿笠がインターホンを鳴らすと応答がありません。困惑する一同でしたが、とそこへグアムの文字の書かれた紙袋にキャリーケースを持ち、陽に焼けた肌をした赤と黄色のシャツに半ズボンの若い男が現われます。彼は井村幸輔といい西田のアシスタントを務めている男性で、事情を知った井村の持つ合い鍵を使って探偵団たちは何とか家の中に入ることができたのです。
屋敷の中に通された阿笠と探偵団たちの目を引いたのは、入って右手にある5つの柱状の水槽でした。カリビアンロングスナウトという口先のとがった熱帯魚が泳ぐ沈没した海賊船の入った水槽、元太いわく変な模様の魚だというインド洋に棲むフグの一種は泳ぐもののさすがにインドのうなぎは泳いでいないインドの宮殿タージ・マハルが入った水槽、色とりどりに魚たちが泳ぐエジプトのピラミッドが入った水槽、そして光彦がオーストラリア産だという黒いカクレクマノミがいるのを珍しがっているオーストラリアのシドニーのシンボルとして有名なオペラハウスの入った水槽と、更にもう一つは水草と砂だけの水槽でしたが、それ以外は灰原哀が珍しくロマンティックに”生きる宝石”だと形容するような美しい光景が水槽の中に広がっていたのです。
その後元太が室内の作業机の上に置かれていたミニチュアの家の時計台部分の屋根を誤って取ってしまうというハプニングはありましたが、井村が注射針のような接着剤を使い直してくれて事なきを得ます。それから彼からグアム土産のチョコレートを勧められたため、食べる前に手を洗おうと元太と光彦は浴室へと向かうことになったのですが…。
ところがそこで元太と光彦が見たものは、何と浴槽の中で身動きしないこの家の主・西田聡史の姿でした。すぐに救急車を呼ぼうとしますが西田はもう亡くなっており、代わりに警察が呼ばれることになります。一方コナンは西田の首筋に虫刺されのような跡があるのを発見し…。
ほどなく目暮警部以下捜査一課の刑事たちが到着し捜査が始まります。元太と光彦により遺体が発見されたのは日曜日の午後0時半でしたが、死後硬直の状況から金曜日の夜に亡くなったというのが鑑識のトメさんからの報告でした。目立った傷はなく作業机の上にはブランデーのボトルやグラスが残されていたことから、酒を飲んで泥酔した後に入浴し眠り込んで溺死したのではというのが目暮警部の見立てだったのです。
ところがコナンは被害者が夜に風呂に入ったのに電気がついていなかったこと、そして泥酔しているのに細かい作業を必要とする模型用の接着剤が指先についていた点などから事故死という結論に不審を持ちます。それを聞いた目暮警部も直ちに被害者の血中アルコール濃度の調査や、唯一合い鍵を持つ西田のアシスタント・井村のアリバイを確認する作業に入りますが、すると井村は金曜日の夜も土曜日の夜もグアム旅行で射撃場にいたと告白。
旅行は木曜日の夜出発で日曜日の今朝成田空港に着いたばかりらしく、被害者が金曜日の夜に溺死したとなるとアリバイは鉄壁のように思われたのですが……。
水族館を設計するアクアリウムデザイナーとして知られる西田聡史氏の家を訪問することになった阿笠博士と少年探偵団たち。ところがインターホンを鳴らしても中から応答がなく、偶然現場を訪れた西田氏のアシスタントをしている井村幸輔という若い男性の手により中へと入ることができたのです。
それから探偵団たちは屋敷内にあった柱状の5つの水槽の中を優雅に泳ぐ魚たちに目を奪われますが、水槽の鑑賞が終わり井村のグアム旅行のお土産のチョコレートを食べようとした時、浴室に入った所で変わり果てた姿となった西田氏を発見したのでした。
すぐに警察による捜査がはじまりいったんは酒を飲み過ぎて泥酔した状態で風呂に入ったことによる溺死という結論になりかけますが、現場の状況を見たコナンは西田氏の事故死という結論に大いに疑問を感じたらしく…。
カリブ海に棲む熱帯魚でチョウチョウウオの一種。黄色い色をした体長10センチほどの魚で、口先が尖っているのが大きな特徴です。
インド北部にある17世紀に建てられた宮殿で、1983年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録、2007年には新・世界七不思議に選出されたインドを代表する建築物です。
太平洋のオーストラリアやフィジーやトンガなどのオセアニア地域のサンゴ礁で見られる熱帯魚。鑑賞用として飼育されることが多く、特に映画「ファインディング・ニモ」で主役のモチーフとなってから大変な人気を集めたそうです。
作中でも登場した黒いカクレクマノミはオーストラリアのダーウィン周辺のサンゴ礁で見られるそうで、これは黒色の色素が多いことからそう見えるのだそうですね。
オーストラリアの中心都市シドニーにある建築物で、シドニー港に突き出した岬に位置する歌劇場・コンサートホールとしても世界的に有名な建物です。シドニーの写真が出てくると決まって見えるあの建物です。
コナンたち少年探偵団が一番最後に訪れた水族館の名前。コナンではこれまで結構水族館は出てきていまして、おさらいすると、4「大都会暗号マップ事件」と65「カニとクジラ誘拐事件」に登場した南部水族館、37「サボテンの花殺人事件」に登場した海の見える水族館、169「ビーナスのキッス」に登場した米花町水族館、554-555「こうのとりミステリーツアー」に登場した実在する城崎マリンワールド、それから映画では何といっても第2弾「14番目の標的」で登場したアクアクリスタルが思い出されますよね。
今回は30分もののオーソドックスな本格ミステリーでしたね。評価としては結構楽しめたので高めにつけさせて頂きました。
まあ犯人当てについては容疑者一人なんですから間違えようがなく事故かどうかで警察は迷う訳ですが、5つの水槽のうち一つだけ魚のいない水槽があって、それが机の上に置かれた札幌の時計台だから水が冷たくて、それで死亡推定時刻をずらしてとよく考えられたトリックだったと思います。接着剤が水の中でも固まる特殊なものだからと灰原が何気に言っているのがヒントになっていたんですよね。このあたりの推理の導きが今回は上手かったと思いますね。
そしてグアムで銃を撃ってきたという話もちゃんと硝煙反応という決定的な証拠に繋がっていたんですね。ただこれはちょっとヒントがなくて気づきようがありませんが、今回は一つ一つの話がきちんと結末に繋がっていてよく練られたプロットだったと感心しました。
そしてやっぱり何といっても嬉しいのは鑑識課のトメさんの大活躍でした。何かトメさんが登場するといつも書いている気がしますが、相変わらず渋い働きを見せてくれています。あまりたくさん出てくると有難みがないのでこれぐらいのペースでちょうどいいのですが、出てくるとついつい熱狂してしまいます(苦笑)