(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 山村刑事 立里三可 徳備六朗(42) 荒岩一揮(21) 沼山伴蔵(51) 野平坊介(45) 沼山辰彦 番頭 刑事 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 群馬県警のヘッポコ刑事 小五郎に依頼の手紙を送りつけた謎の人物 画家、元小学校教師、菊の間に宿泊 辰彦の同級生、徳備の教え子、桜の間に宿泊 辰彦の父、光羅旅館の主人 宿泊客、ルポライター、梅の間に宿泊 11年前の1月24日に溺死した小学生 光羅旅館 番頭 群馬県警刑事、山村の部下 |
高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 古川登志夫 ??? 石井康嗣 巻島直樹 亀井三郎 矢田耕司 声の出演なし 田口昂 三戸耕三 |
1月24日の早朝のこと、11年前にかけられた殺人の嫌疑を晴らして欲しいと手紙で依頼され、群馬県朽橋村の光羅旅館へ向かうことになった小五郎と蘭、コナンの三人。
小五郎の元に送られてきた手紙の主は「立里三可」と名乗っていましたが、小五郎が群馬県警の山村刑事に調べてもらった所、11年前にその旅館近くで殺人事件など起きてもいなければ「立里三可」という指名手配犯もいないということ。
本当に指名手配されているのなら偽名ということもありえるものの、山村刑事が言っていた通りおそらく質の悪いイタズラであろう…小五郎は内心はそう思いつつも手紙と一緒に送られてきた依頼料を前日に中華料理屋で派手に使ってしまったらしく、仕方なくイタズラかどうかだけ確かめに行くことになったのです。
小五郎がそのような経緯を蘭に話しつつレンタカーを運転していると、突然車の前に眼鏡をかけあごひげを生やした中年の男が現れ止まるように求めるポーズをします。何とか急停車させて事なきを得ますが、事情を聞いてみるとその男性も同じ旅館に宿を取っているらしく、一緒に乗せていくことになったのでした。
男の名前は徳備六朗といい、以前この近くの小学校で教師をしていたらしいのですが、生徒数の減少で廃校となった今は画家として活動しているということでした。
それから小五郎たちは徳備の頼みで墓参りに同行することになります。何でも10年ぐらい前に徳備の教え子の一人だった沼山辰彦という少年が川に流されて溺死し、下流のため池で発見されるという不幸な事故あったというのです。
小五郎たちが徳備について向かった先はとある川べりで、そこには徳備のよく知る人物が先に来ていて墓参りをしていたのでした。名前を荒岩一揮といい亡くなった辰彦の同級生で、彼の話によると11年前のちょうどこの日に事故は起きたらしく目の前に積み上げられたクラスの仲間で作ったという墓に手を合わせている所でした。
その墓には川底の岩の間に挟まっていたという辰彦の靴のほか彼との思い出の品も埋められているというのですが、ほどなくするとそこへもう一人の人物が現れ、姿を見せるやいなやその墓を足で蹴飛ばしたのです。
その人物は名前を沼山伴蔵といい辰彦の父親でしたが、小五郎たちの姿を見つけるなり息子は11年前に死んだ…早く忘れろと怒鳴り散らすとさっさとその場を立ち去ってしまいます。沼山は小五郎たちの泊まる光羅旅館の主人でもあり、どうやら高台にあるその旅館の屋根裏部屋の小窓から双眼鏡を使って小五郎たちの様子を監視していたのでした。
それから問題の光羅旅館にようやく到着した小五郎たちは、さっそく旅館のスタッフに事情を説明。ところが返ってきた返事は「立里三可」などという人物は泊まっていないというものでした。
更に食い下がって11年前に殺人事件はなかったかと訊ねる小五郎でしたが、するとそこへ野平坊介という名前のチリチリ頭の中年男が姿を見せ、犯人は河童だが殺人は確かにあったと何やら恐ろしげな話をはじめたのです。
どうやらこの朽橋村の辺りには河童の言い伝えが根強く残っており、12~13年前には河童を見たという人まで現れてTVや雑誌の取材も来ていたほどだというのですが、とそこで小五郎へ当てた依頼の手紙を見ていた蘭が「立里三可」の名前を見てあることに気がつき……
それから夜になりますが、小五郎たちは再びレンタカーで先ほどの川べりに戻ってきていたのでした。昼間の騒動の際に蘭が携帯電話を落としたのを探すためで、携帯電話自体は呼び出し音のおかげで暗い中でもすぐに発見することができたのです。ところが蘭が落ちていた携帯電話を拾ったその時…
岸の反対から「バシャッ」という音がして、何事かと蘭が音のした方に懐中電灯を向けると、川の中からは何とムクッと立ってこちらを見る河童の姿が!!!
蘭の叫び声を聞いた小五郎とコナンはすぐに現場に駆けつけますが、するともうすでに河童の姿はなく……
そして翌日、朝食をとりながら昨日の夜の河童の話をしていると、旅館の男性スタッフが食堂のドアを開け慌てふためいた様子で入ってきたのです。
旦那様が大変だというので小五郎たちが旅館の主人・沼山伴蔵のいる屋根裏部屋に駆けつけてみると…薄暗い部屋の中にはまるで河童に魅入られて沼の底に引きずりこまれたかのような、鼻をつく生臭い液体に塗れ、懐には息子の遺品のシューズを抱きながら息絶えた沼山の姿が……
「立里三可」と名乗る謎の人物から11年前にかけられた殺人の嫌疑を晴らして欲しいと手紙で依頼され群馬県朽橋村にある光羅旅館を訪れることになった小五郎と蘭、そしてコナンの三人。
いつもどおりレンタカーを借りて現地に向かいますが、その途中徳備六朗と名乗る画家の男性を車に乗せたことから、11年前に起きた沼山辰彦という少年の溺死事件の存在を知ることになります。
旅館に到着した小五郎たちは早速「立里三可」なる人物について尋ねますが誰もその人物に心当たりはなく、代わりにこの付近には河童の言い伝えが根強く残っていて沼山辰彦少年は河童に殺されたと考えられていることを知ります。
そしてその言葉は本当なのか、三人が夜遅くに蘭が昼間落としたという携帯電話を探すために川べりに戻った際に蘭が河童の姿を目撃。更に翌日の朝には辰彦少年の父親で旅館の主人でもある沼山伴蔵が旅館の屋根裏部屋で溺死させられているのが発見され…
この作品の前編で何と放送600回を突破しました。オープニング冒頭でコナンが600回と触れた以外は特別何かあった訳ではありませんがめでたい数字ですね。
「この電話番号に電話してスペシャルメッセージを聞くと応募したことになるよ!」というメッセージとともに前編では「劇場版名探偵コナン 銀翼の奇術師・迷宮の十字路 Blu-rayディスクをセットにして10名様」に、後編では「15周年記念限定TVアニメオリジナルカード(非売品)を100名様」にプレゼントのキャンペーンが開催されていました。昨年の映画公開時同様にエンディングテーマの際にはエンディングテーマの画面が少し小さくなって空いたスペースにキャンペーンの応募方法などが明記されていました。
まずオープニング前の序章では事件の日付が原作では1月24日早朝ですが、アニメでは12月19日早朝となっています。
そして前半部分に関しては細かなセリフのカットや変更が若干あるもののほぼ忠実に原作どおりの流れで原作の第1話までストーリーは進行していきます。
CM挟んで後半についても若干のセリフのカットが目立ちましたがほぼ忠実に原作どりの流れで3人の容疑者の荷物荷物チェックが済む所まで進んでいきます。
後編についてはほぼ前半後半ともに原作に忠実なストーリー進行で特記することはありません。
鬼や天狗とともに妖怪の一種で日本に伝わる伝説上の生き物の代表格で、実在するかどうかは分からない未確認生物であることから、日本全国各地に伝承・言い伝えが残されています。
そのため形態も様々ですが、一般的にいわれているのは子供のような体格で全身が緑色、口には短い嘴があり、背中には亀のような甲羅、頭には皿を乗せていて皿が乾いたり割れたりすると生命力を失います。
今回は河童伝説を題材にした作品で、内容的にはオーソドックスな本格謎解きでした。トリックは自分は山村刑事の小さい中にギュウギュウに詰めたと聞いて某ミステリ作品のように汚水の水分だけ飛ばして濃縮した固形物を持ち込んで後で旅館の水で溶かして汚水を作ったのかと思ったのですが、カラーインクというものはそういう特性もあるんですね。結構面白いトリックだったと思います。
そして今回の作品では1年ぶりに山村刑事が登場し今回は大いに笑わせてくれました。山村刑事が登場すると本当に楽しく大笑いすることが多いのですが、ただあまりしつこく毎回毎回出てくると鬱陶しい部分も確かにあるので(苦笑)、たまに出てきてかき回すぐらいが丁度いいバランスなんだと思います。ただそんなこと書こうとしたら何と新年早々次の回にもTVオリジナルで登場するようですが(笑)
もう一つ山村刑事に関連して、今回は山村刑事がコナンの麻酔銃で眠らされた訳ですが、小五郎がいるのにコナンが他の人を麻酔銃で眠らせて小五郎が眠りの何某の推理を聞くことになるというのは今まであったかなと思い返してみたのですが…正直思い出せませんで、そのせいか今回の推理の披露の仕方は妙に新鮮でした。
そして犯人当て以外に今回は蘭が見た河童の正体ももう一つの謎として最後に残されますが、これがまた予想外の結末でかなり笑えました。このために風邪を引いてマスクをしたりとかいろいろと伏線が張られていて、それを一つ一つ見てその巧妙さに苦笑いさせられました。このあたりは本当に上手いです。
ストーリー自体が犯人と被害者のすれ違いによる悲劇というかなり重い話なのですが、オチが明るく笑えるものだったので読後感は悪くさせていない所が良かったですね。