(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 小野田恵太(7) 恵太の母 千明 千明の父 オートサービス オートサービス |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 杯戸小学校1年3組 恵太の母親 別荘の主人の娘 千明の父親、別荘の主 レッカー車の係員 レッカー車の係員 |
高山みなみ 緒方賢一 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 小林由美子 滝沢ロコ 名塚佳織 声の出演なし 松本大 小田敏充 |
「おい、やべーぞ!! まだ犯人いるじゃんかよ!!」
「と…とにかく、ここから逃げましょう!!」
「で、でも…その男の子助けなきゃ!!」
「おい、オメーら!! オレのそばから離れるんじゃねえ!!」
「そう…バラバラになったらアウト…その男の子の二の舞になりかねないわよ…」
「うわあああ…」
3時間前のこと、阿笠博士とコナンたち少年探偵団は博士のビートルでタケノコ狩りに出発していましたが、オイル漏れでエンジンが焼け付き車がストップ…車はレッカー車が来て街まで運んでくれることになったものの、レッカー車には人一人ぐらいしか乗れないため、博士だけ街まで送ってもらい後からレンタカーで往復1時間をかけて探偵団を迎えに行くという手筈になっていたのでした。
そのためその場でしばらく待つことになった探偵団たちでしたが、1時間半ほど経過しても博士は戻ってくる気配がなく、疲れと空腹が顔を出しはじめます。
そして更に悪いことに傘を持っていないのに雨が…仕方なくさっき車で通り過ぎた別荘地まで引き返して雨宿りさせてもらうことに決めたのでした。
しかし、シーズンオフということもあってか別荘地は人影がなく雨に加えて徐々に空は暗くなっていきます。
そして阿笠とは何度かけても携帯の電源が入っていないという返事が繰り返されますが、ようやくの体でコナンの携帯に阿笠の自宅から電話がかかってきます。
何でもタケノコを掘る時に落としたらいけないということで、財布と携帯を灰原哀のデイバッグに入れておいたのを忘れていたというのです…。
結局自宅まで戻ったという阿笠博士が今からレンタカーでコナンたちのもとに到着するまでには更に2時間かかると聞き、探偵団たちの不満は頂点に…
とそこへ向こうの方からピアノの音が聞こえてきたのです。プロ並みの腕前で曲はドラマの卒業式でもよくかかるバッハのG線上のアリアでした。
とにもかくにも雨宿りさせてもらおうと、探偵団たちは雨宿りをしていた別荘の軒下から音のする方へと向かっていきます。
ところが問題の別荘の所まで来ると音楽はすでに止んでおり、優しい人だといいなあと話しつつ探偵団たちがインターホンを鳴らしても何の応答もありませんでした。
変だと思いつつ元太が入口のドアに手をかけると、鍵がかかっておらず扉が開いたのです。中を覗くと明かりもついておらず真っ暗…おそるおそる足を踏み入れていく探偵団たちでしたが……
すると元太が何かを踏んづけたらしく「パキ」という音が。コナンが入口の電灯のスイッチを見つけてつけると室内はパッと明るくなり、元太が踏みつけたのがポテトチップスだったことが判明します。しかも行儀でも悪い子供でもいるのか、ポテトチップスは廊下にたくさん散らばっており…
一方歩美は奥の部屋にピアノが置いてあるのを発見。コナンが調べると調律の具合からCDなどではなく先ほどの音がそのピアノからの音だと確信したのです。
そして一刻も早く家主を見つけなければと考えていると、今度は光彦がドアのの真ん中についたガラス窓からこちらを覗く背の高い人影を目撃。コナンは家主に違いないと扉を開けようとしますが、扉の向こう側にはドアを塞ぐ形で台車が置かれていたのでした。
閉じ込めようとしている訳ではないと思いつつも何とか家主を見つけそうと声を出して別荘の中を探します。
すると今度はキッチンと思しき部屋に明かりがついているのを発見。部屋の中に入ってみるとテーブルの上には唐揚げやパンやハムの食べかすが一杯でワイングラスも倒れており……まるで犬が食い散らかしたような有り様だったのです。
更にテーブルの上には手帳が置かれており、コナンが気になって中を開いてみるとどうやら日記らしく、次のように書かれていたのでした。
3月20日 晴れ…話してみると なかなか いい子だ よく笑うし よく遊ぶ…今、自分が置かれている立場を理解しているかどうかはわからないが、この子も相当抑圧された日々を過ごしていたのだろう…とにかく、あと2日、それまでの辛抱だ…
3月22日 曇り…バッハ、モーツァルト、ショパン、ベートーベン…心を震わす旋律…同じ時代に生まれた天才よ…その才能が恨めしい…この状況で奏でる曲には相応しくないが、時を忘れる事はできる…あと1日、何事もなく過ぎてくれ…
3月23日 雨…まずい…どうやらこのボウヤは私が誰だか知っているようだ…この事を口外されたら将来の妨げになる…かわいそうだが殺すしかないようだ…
誰かが小さな男の子を誘拐してその別荘に閉じ込めたとも取れる内容で、コナンたちは続きが気になり次をめくろうとしますが、ページが貼りついていてめくれませんでした。
ところがその刹那、雷がピカッと光りゴロゴロと音がしたかと思うと、それに驚いた勢いでページがめくれたのです。同時に停電して真っ暗になりますが、「ボウヤ すまなかった 許してくれ」という文言とページにベットリ付いていた赤い物体がはっきり見て取れたのです。
そしてここで再びピアノの音が……それは先ほどと同じG線上のアリアで……
「おい、やべーぞ!! まだ犯人いるじゃんかよ!!」
「と…とにかく、ここから逃げましょう!!」
「で、でも…その男の子助けなきゃ!!」
「おい、オメーら!! オレのそばから離れるんじゃねえ!!」
「そう…バラバラになったらアウト…その男の子の二の舞になりかねないわよ…」
「うわあああ…」
その時慌てて逃げようとした元太が何かにつまずきます。それは子供一人入るような大きさの棺で、フタの上にはなぜかスコップが乗せられていました。
日記の男の子のようになりたくない探偵団たちでしたが、コナンは果敢にも棺を開け中を検めようとします。そしてそこでコナンが見たものとは…!?
博士のビートルで山奥にタケノコ掘りに出かけたコナンたち少年探偵団たち。ところがまたしてもビートルがトラブルを起こしてレッカー車のお世話に…結局博士がレンタカーを準備して戻ってくるまで探偵団たちは山奥で待機することとなります。
ところが博士はなかなか到着せず、そうこうしているうちに天気は雨模様となり、仕方なくコナンたちは近くの別荘地に移動。ところが雨宿りの最中に聞こえてきたバッハの名曲G線のアリアに誘われてやって来たとある別荘には人がいた形跡はあるもののなぜかその姿がなく、キッチンには誰かが小さな男の子を誘拐してこの家に閉じ込めたと思われる不気味な文書の書かれた日記が残されており…。
「この電話番号に電話して、スペシャルメッセージを聞くと応募したことになるよ!」というメッセージとともに前編では「特別編集コミックス(2冊セット)ファン投票セレクション&メインキャストセレクションを20名様」に、後編では「限定生産品 名探偵コナン15周年記念公式ウォッチ『白銀の時刻(ホワイト・タイム)定価24,500円』を10名様」にプレゼントのキャンペーンが開催されていました。昨年の映画公開時同様にエンディングテーマの際にはエンディングテーマの画面が少し小さくなって空いたスペースにキャンペーンの応募方法などが明記されていました。
前編では原作2話目の途中音楽一家の写真が見つかるあたりまでストーリーが進みますが、前編については前半後半ともに細かいセリフの修正・カット・追加はありましたが、ほぼ原作に忠実な作りになっています。
強いて挙げるとすれば冒頭の原作では「3時間前─」となっている部分が4月24日に変わっている所、また日記の日付が3月20日が4月20日、3月22日が4月22日と1ヶ月ズレている所、それからピアノの部屋に入ったコナンたちが入口のドア越しに誰かが覗いているのに気づき部屋を出ると台車が置いてあるのですが、そこにさっき明かりをつけたはずだろという元太のセリフが追加されているぐらいでしょうか。
後編はまず音楽一家の写真を歩美がコナンに見せる所から再度スタートし、その後は解決編のトリックで説明を補うセリフが若干追加されたり、その他わずかなセリフの変更・カットはあったものの最後まで原作にほぼ忠実な構成・ストーリー展開となっていました。
18世紀に活動したドイツの作曲家で「音楽の父」とも称されるヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)の作曲した作品の一つ。
1717年から1723年の間に作曲され管弦楽組曲第3番ニ長調のうち第2楽章アリアに付けられた愛称です。様々な作品の伴奏音楽として使用されたり、作中にもある通り卒業式のBGMとしてもよく使用されています。
アニメのみ名前が登場で、子供部屋に散乱していたお菓子です。
携帯ゲーム機で遊べるゲームソフトの名前。こちらも子供部屋で発見され部屋には誰かが広告チラシの裏に書いたこのゲームの宝の地図が落ちていました。
今回のお話は少年探偵団たちがキャンプではありませんが阿笠博士のビートルでタケノコ掘りに向かった先で恒例のマシントラブルで立ち往生するというスタートになりましたが(苦笑)、お話はとても心温まるエンディングで個人的にはとてもよかったと思います。
ミステリとしては完全なサスペンス作品で、最終的には殺人事件も起きず解決編を聞いてみると何てことはない話に思えるかもしれませんが、少年が日記のページを1ページ抜き他のページの順番を入れ替えたことによって犯人の心理過程がまったく違うものになってしまい、元に戻してみると実はこれから殺そうとしているのではなくて後悔の念にかられていたという結論になるという実に面白いプロットでした。このあたりミステリ作品としてはかなりよく出来ていたと思いますね。
またサスペンス部分もハラハラドキドキ感を煽るのが大変上手くて、一級のサスペンスとしても楽しめると思います。正直皆さんの評価が少し低めなのが意外なぐらいでした。
ただ阿笠博士についてはちょっと苦言を言いたいですね(苦笑) 子供たちだけで見知らぬ山奥で待たせることになるのに携帯や財布を持っているか確認せずにレッカー車に乗るというのは本当に保護者としてけしからんです。もう少ししっかりしてもらわないと困りますよね(苦笑)
3月末(アニメでは4月末)に開催される予定の音楽コンクール。