名探偵コナン624「初恋のビデオレター」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File624 初恋のビデオレター
英題
Video Letter of First Love
放映日
2011/7/16
原題
第71巻
File1「思い出のVHS」
File2「13年越しの想い」
ジャンル
サスペンス
事件現場
帝丹小学校 視聴覚室倉庫
管轄
 
登場人物
江戸川コナン
灰原哀
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
白鳥警部
千葉刑事
宮本由美
小林澄子先生
沖矢昴
三池苗子
婦警
千葉(少年時代)
ガイコツ国上
仮面バイヤー
本編の主人公、正体は工藤新一
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
警視庁捜査一課警部
捜査一課刑事、目暮の部下
交通課の婦警、佐藤刑事の親友
帝丹小学校1年B組担任
工藤邸に居候する謎の大学院生
千葉刑事の帝丹小学校時代の同級生、放送委員
交通課の婦警
千葉刑事の少年時代
帝丹小学校理科教師、放送委員顧問「死神先生」
子供達に大人気の特撮ヒーロー?
高山みなみ
林原めぐみ
高木渉
岩居由希子
大谷育江
井上和彦
千葉一伸
杉本ゆう
加藤優子
声の出演なし
田中理恵
永澤菜教
愛河里花子
声の出演なし
声の出演なし
あらすじ
「えぇ!? 13年前のラブレターの返事を探してた!?」

 こども防犯プロジェクト─それは最近都内で子供の誘拐事件が多発していることから、防犯の心得5か条を定め学校に徹底を求めていくというもので、帝丹小学校の1年B組担任である小林先生の下にも白鳥警部と千葉刑事によりチラシが届けられていたのでした。

 通常なら交番のお巡りさんが届けるような類のチラシでしたが、白鳥はたまたま近所で事件の聞き込みをしていたついでだと弁解しますが、その表情を見れば小林の顔見たさにウソをついているのは明らか…。
 一方白鳥についてきた千葉刑事の方はというと……実は千葉は帝丹小学校のOBで小林先生の2つ下の学年だったらしく、せっかく母校を久しぶりに訪れたということで、校舎の中を見て回ることにしているというのですが…

 それからほどなくして、帝丹小学校に通うコナンたち少年探偵団は小林先生にあることを頼まれている所でした。その頼みというのはビデオテープ探し─小林が帝丹小学校の生徒だった頃に見せてもらったという防犯ビデオで、警察から防犯のチラシをもらった事を受けて明日の道徳の時間に視聴覚室でそのビデオを流すつもりだというのです。
 しかし視聴覚室の倉庫のどこかにあると分かっているのに、なぜわざわざ探偵団たちに探して欲しいと頼むのかといえば…。

 小林先生の依頼を受けて探偵団たちが視聴覚室に向かうと、小林の言う通りビデオの数はとんでもなく多く、ラベルの字が色あせて消えかかっているものや後から重ね撮りでもしたのかラベルが重ねて貼ってあるビデオもあってどれがどれだか分からない有り様でした。

 しかも年度別にも整理されていないため、片っ端からビデオを再生して内容をチェックするしかなさそうにも思えたのですが、そこはコナンが持ち前の推理力を発揮して問題のビデオがVHSではなくβ(ベータ)だと見当をつけ、棚の一番下に置いてあったダンボール箱の一つを調べはじめます。するとコナンの推理どおりに運動会や合唱コンクールのビデオなどと合わせて防犯ビデオが無事発見されたのです。

 β(ベータ)とは昔ビデオが発売されはじめた頃にVHSと企画争いを繰り広げたもののVHS側が勝利したため消えてしまったというビデオの規格でした。
 ただVHSに負けたといっても性能が劣っていた訳ではなく、画質も音も良くサイズも小さくてマニア受けしたものの、録画時間が劣っていたため販売戦略で負けてしまったのだ……まだ小学生でβ(ベータ)のビデオテープにまったく縁のない少年探偵団たちの前に突如姿を現し熱く語りはじめたのは、冒頭で白鳥と一緒に学校を訪れ母校の構内を探索すると言っていた千葉刑事でした。

 突然姿を見せた千葉に探偵団たちは驚きますが、懐かしさで校内をブラブラしていたはずの千葉刑事がなぜ視聴覚室にいたのかというと……

 13年前のラブレターの返事を探していた─小学生の時千葉は放送委員を務めていて、その際最初は普通に学校のニュースやリクエストされた曲を放送していたらしいのですが、ある時試しに委員たちで録音したミニドラマを流した所これが大好評…そこで今度は実写で特撮ドラマを撮影し学芸会で流すということになったらしいのです。

 その後ドラマは6年生の夏に無事完成したらしいのですが、その時同級生のとある委員の女の子が大いに活躍したらしく、最初千葉はその女の子が特撮のコアなファンだと思い色々と話しかけたらしいのですが、全然反応がなかったため本当に特撮が好きなのかと聞いたというのですが、すると女の子から返ってきた返事というのが何と……

 その言葉を女の子に赤い顔で言われたことから、次の日思わずその女の子にラブレターを出してしまったという千葉。しかしその後問題の女の子は急に転校することになり、千葉が慌てて渡したラブレターの返事は郵送で届けられたというのでした。そしてその中身はというと…。

 「私の気持ちを手紙に書くのは簡単だけど、千葉君に伝わらないかもしれないから、いったん視聴覚室の倉庫に保管しておきます。この想いが直接千葉君に刻み込まれるように─」

 手紙にはそう書いてあったのですが、千葉がすぐに倉庫の中を隅から隅まで探したものの結局その「私の気持ち」を見つけることはできず、その後13年間女の子とは一度も会っていないというのでした。

 ところが先日、何とその女の子から電話があり、来週開催されるという同窓会に行くのか訊ねられたというのです。千葉が行くつもりだと返答すると、女の子は昔のことだから忘れたかもしれないがと前置きした上で「私の返事のビデオ」を見たかと聞いてきたというのです。

 千葉は正直に見ていないと答えるしかなかったのですが、すると女の子は「そう…」とつぶやいて電話を切ってしまったらしく……

 「ビデオ」ということは、女の子は視聴覚室のビデオのどれかにダビングしてビデオレターにして残した可能性が高い…そこで千葉は女の子が残したと思われるそのビデオを探すため視聴覚室にいたというのですが、何しろビデオの量が多いため苦戦していたのでした。

 そこで小林先生の防犯ビデオを探すために視聴覚室を訪れたコナンたち少年探偵団たちは、今度は千葉刑事に協力して問題のビデオレターを探すことになったのですが……

今回の見どころ
13年前のラブレターの返事を探しに母校・帝丹小学校を訪れた千葉刑事でしたが…

 小林先生に子供防犯プロジェクトのチラシを渡すのを口実に帝丹小学校を訪れた白鳥警部に付いてきた千葉刑事は、小林先生から防犯ビデオを探して欲しいと頼まれたコナンたち少年探偵団と視聴覚室で鉢合わせとなります。

 千葉刑事は帝丹小学校の卒業生らしく懐かしさから校内をブラブラしていたというのですが、実は13年前のラブレターを探すため視聴覚室にいたのでした。

 小学6年生の放送委員だった時に同じ放送委員だった女の子に思い切って出したラブレター…その返事に書かれていたのは視聴覚室に自分の気持ちを書いて視聴覚室に残しておくというもの。

 一生懸命探したものの結局返事は見つからず、すぐに女の子も引っ越してしまったため今もって見つかっていないというのですが、果たして今回コナンたちの力も借りてその返事を探し出すことができるのでしょうか!?

原作との相違点

 今回は原作で1話完結という普段あまりないケース。このタイプの構成の時は大体細かいセリフのカットや変更が目立つのですが、今回もその通りとなっています。

 まず前半は原作1話目に相当しますが、冒頭こども防犯プロジェクトのチラシを白鳥警部が小林先生に届けますが、ここで原作では小林先生がチラシに書かれている防犯の心得5か条を読み上げるのですが、残念ながらアニメではカットされてしまっています。

 他にも大きな所では原作では視聴覚室ですがアニメでは視聴覚準備室となっているなどの違いはありますが、構成には大きな変更点はなく原作に忠実なストーリー展開となっています。

 後半は原作2話目ですが、まず冒頭のコナンの推理が外れておかしいとコナンが頭の中でつぶやくシーンの大半がカットされているほか、女の子の映像を見る直前の千葉刑事のセリフが半ページぐらいごっそりカット、その後も若干セリフのカットが目立つものの、構成には大きな変更はなく原作に忠実な作りとなっていました。

豆知識
防犯の心得(こども防犯プロジェクトより)

 1 知らない人にはついて行かない
 2 危ないと思ったら大声を出してすぐに逃げる
 3 何かあったらすぐに大人に知らせる
 4 出かける時は家の人に「誰とどこで何時まで遊ぶか」を伝える
 5 人のいない所ではなるべく1人で遊ばない

βとVHSとビデオ戦争

 β(ベータ)とVHSはどちらも家庭用ビデオの規格。1980年代のビデオデッキの最初期には2つの陣営による規格争いが起きたことは有名です。

 結局VHS側が勝利した訳ですが、作中ではβがVHSに負けたといっても性能が劣っていた訳ではなく、画質も音も良くサイズも小さくてマニア受けしたものの、録画時間が劣っていたため販売戦略で負けてしまったと千葉刑事が力説していましたよね。

 現在はDVDが主流となりVHSの方もすっかり影を潜めましたが、DVDの登場まではテレビの録画といえばVHSというぐらいの大活躍でした。

仮面バイヤー

 千葉刑事が小学校の放送委員時代に撮った特撮ドラマのタイトル。元太からも仮面ヤイバーのパチモン(偽物)じゃねえかと厳しい評価でしたね(苦笑)

 フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale 1820-1910)はイギリスの看護婦で「看護婦の母」とも呼ばれる近代看護教育の礎を築いた女性です。アンリー・デュナンの赤十字の創設者にも影響を与えたと言われています。

 フランスやオスマン帝国とともにロシアと戦ったクリミア戦争のとき、多くの看護婦を率いて傷病者の救護にあたり死亡者を半減させた功績から「クリミアの天使」と呼ばれ、その後も病院・看護施設の創設・改善に努力し、看護婦の教育制度を整えました。

 そしてナイチンゲール症候群とはそのナイチンゲールにちなんで、世話する者とされる者との間に愛が生じる心理のことを意味します。入院中の負傷兵たちが、自分たちを看護するフローレンス・ナイチンゲールの影に接吻したという言い伝えから来ているのだとか。

NEXTコナンズヒント
ひっかき傷
コント
千葉「どうしたんですか、その傷?」
高木「???の猫に???されて…」(聴き取れず)
哀「怪しい」
高木「イヤ、ホントに…」
OP
Don't Wanna Lie」(B'z)
ED
月夜の悪戯の魔法」(BREAKERZ)
監督
於地紘仁
構成
金崎貴臣
絵コンテ
金崎貴臣
演出
鎌仲史陽
作画監督
キーアニメーター 牟田清司
岩井伸之
ビデオ
-
DVD
PART20-5
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

 今回は何と千葉刑事がメインでしかも初恋の話というのだからちょっとビックリですね。千葉刑事というと色気より食気、花より団子というイメージでしたからね。それにしてもコナンキャラって初恋とか幼なじみが本当に好きだなあ…と思いつつも微笑ましく読んでおりました。

 ミステリーとしては子供らしい隠し場所ということもあってコナンもちょっと苦戦したりといつもと違う感じでしたが、面白い隠し場所だったと思います。しかし当時小学6年生だった千葉少年にはちょっと難し過ぎたのではないかと(苦笑)

 そして高木&佐藤、白鳥&小林と2組のカップルはもう方向性は決したといってもいいと思うので、今後は千葉刑事の恋物語が描かれていくのでしょうか、楽しみに待ちたい所です。

豆知識
杯戸署

 千葉刑事の初恋の相手・三池苗子が本庁に転属前に所属していた警察署。交通課の婦警さんになっていたとはビックリでしたね。そして宮本由美婦警と同僚になるということで、これからどうなるのか注目ですね。

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