(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 阿笠博士 灰原哀 目暮警部 高木刑事 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 保科瑠華子(50) 青梅岳道(42) 軽辺定悟(45) 周防知秋(39) 古垣倫作(64) 周防時計技師 時の番人 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 保科家当主 保科家執事 建築家 内装デザイナー 時計職人 4年前に亡くなった時計技師、周防知秋の兄 2年前から手紙で保科瑠華子を脅迫する謎の人物 |
高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 緒方賢一 林原めぐみ 茶風林 高木渉 岩居由希子 高木渉 大谷育江 上村典子 志村知幸 長克巳 佐藤智恵 平野稔 小田敏充 ??? |
我は時の番人…時の流れを冒涜する愚かな女よ…その罰として、お前がこの世に受けたその時刻に…姿なき剣でお前の時間を止めてやろう…時の番人より…
それは2年前から毎年誕生日が近づくと送られてくるという差出人不明の手紙でした。立派な殺人予告の脅迫文に思われましたが、幸い去年も一昨年も何事もなく誕生会は終わったというのですが、年々誕生会の客数も減ってきており、今回50回目の誕生日に屋敷に来てボディーガードをすると同時に手紙の主を突き止めて欲しい…そのように依頼され、保科家当主・保科瑠華子の屋敷へ招かれた小五郎と蘭、それにコナンの三人。
狙われているのは瑠華子自身でしたが、これがまたひと癖ある人物で、14時の約束に雨もあってわずか2分17秒遅刻した小五郎がいきなり咎められたかと思うと、小五郎に事件の依頼をするため毛利探偵事務所を訪れた執事の青梅岳道には書斎の時計が0.5秒近く遅れていたと叱責……どうやら彼女は時間に異常なまでに厳しい人間のようで、まるで神様のように時間を支配しているかのようだったのです。
その後小五郎たちが到着してほどなくして、屋敷にはパーティーの出席者たちも顔を見せ始めます。館を設計したという建築家の軽辺定悟や内装デザイナーの周防知秋、そして館にある大時計を作ったという時計職人の古垣の三人が小五郎たちに続いて館に到着。大時計の具合を見るという古垣以外の面々は皆、瑠華子の案内で屋敷の奥へと通されることとなります。
すると屋敷の中には至る所に時計が飾られていて、昨年病死したという瑠華子の夫が自分は時計と結婚したようだとよく愚痴をこぼしていたというのも頷ける有り様でした。
そしてちょうどその頃時刻が3時を回り邸内の時計が一斉に鳴り出しますが、それだけの数の時計が一度に鳴り出す様は壮観で、まるで賑やかな遊園地にいるかのような、瑠華子のこのチクタクする可愛い音と長針が真上を向いた時に奏でられる音に魅せられたというのも分かる気がしたのです。
ところがその時計たちの音を耳にした瑠華子はなぜか大いに不満げな様子…どうやら書斎の時計がまだ直っていないことに気づいたらしく、自分が生まれた時刻、午後ちょうど6時に全ての時計が揃って音を奏でなければクビにするからと、執事の青梅を厳しく叱り飛ばします。
ちなみに屋敷の時計のメンテナンスは現在3人も雇っているというのですが、古垣の作った大時計以外は週に1つや2つは必ず遅れるものが出てくるらしく、瑠華子にはそれが許せない様子。しかも4年前に事故で亡くなるまで管理を任されていたという内装デザイナーの周防知秋の兄がとても優秀だったこともあり、尚更粗が目立つらしいのですが…
それから小五郎たちは古垣老人が作ったという自慢の大時計を見物するため時計台の時計の裏側を登ることとなります。すると古垣老人は不在で裏庭側の文字盤横の小窓から蘭とコナンが下を見ると、古垣老人は目の前にある井戸に向かい手を合わせている所でした。
そしてその井戸、実は時計職人だったという周防知秋の兄が4年前の今日時計の修復中に風に煽られて落ちて亡くなった事故の現場らしく……つまりその日は保科家当主・瑠華子の誕生日であると同時に、周防知秋の兄の命日でもあったのです。
その後小五郎は瑠華子の部屋で脅迫の手紙の件で自分を恨む人物について話を聞くこととなりますが、瑠華子は周防知秋の兄の事故のことは何も話そうとはしませんでした。そしてそんなで誕生パーティーは幕を切って落とされることとなったのですが……
パーティーがはじまるとコナンは脅迫文の主が「時の番人」を名乗っていることから、3人の時計技師が怪しいのではと疑いをかけますが、その一方で瑠華子は以前持っていた銀の懐中時計の代わりに新たにスイス職人に特別にオーダーして作らせたという金時計のことで建築家の軽辺や内装デザイナーの周防知秋と談笑している最中でした。
ところがそこで突然会場のライトがフッと全て消えて真っ暗に……停電かと一瞬うろたえた小五郎とコナンでしたが、すぐにハッピーバースデーの合唱がはじまり、それが誕生日のケーキのローソク消しのセレモニーの一環だと知ってホッと胸を撫で下ろします。
そしてお祝いの歌が終わると瑠華子は満足げにローソクの火を消そうと息を吹きかけますが……
ちょっと、どーいう事!?……瑠華子がそうつぶやいたかと思うと時計の針はちょうど夕方6時を指しますが、次の瞬間「ぎゃあああっ」という瑠華子の悲鳴が会場内に響き渡ったのです。
瑠華子の異変に気づきコナンもそばに駆け寄ろうとしますが、その時「キーン、コーン、カーン」という時計の音が鳴る中で何かがヒュッと動く気配とバンと窓が勢いよく開く光景がコナンの目の前に飛び込んできたのです。
窓から誰かが逃げたのか…小五郎はすぐに明かりをつけるように指示し、執事の青梅が会場内の電灯のスイッチを入れると……
2年前から「時の番人」を名乗る差出人不明の手紙が毎年誕生日に合わせて送られてきているためその送り主を突き止めるとともにボディーガードもお願いしたい…そう依頼されて保科家当主・保科瑠華子の屋敷を訪れることとなった小五郎と蘭、そしてコナンの三人。
保科瑠華子は限りある人生1秒も無駄にしたくないと語る大変時間にうるさい人物で、屋敷の中には大時計をはじめとする無数の時計が部屋に飾られて長針が真上を向く時間になると一斉に音を出すまさに時計に支配された館でした。
館では4年前に転落事故で時計技師が一人亡くなる悲劇もあったらしいのですが、瑠華子はそれについては何も小五郎に教えてはくれず、そうこうしているうちに彼女の生誕50年を祝うパーティーがはじまります。
まさかこんな大勢の前で殺人をする訳はない…そう思っていた小五郎でしたが、誕生日ケーキのロウソク消しで照明が落とされたその一瞬を突いて瑠華子は無残にも凶器で胸を一突きにされて惨殺されてしまい…
まず冒頭は原作どおりに小五郎たちが保科邸に到着する直前まで忠実に進み、それからオープニングを挟んで前半のしばらくは忠実に進んでいきますが、3時になり館内の時計が一斉に鳴り出した時、保科瑠華子が「書斎の時計がまだ直っていない」と原作では発言するのですが、アニメでは「時計が一つ0.5秒(笑)遅れている」というセリフに変わっています。
それ以外は小五郎たちが大時計を見に行く時の瑠華子の「よろしかったら見てみます?」付近のセリフや、誕生日ケーキが運ばれる際に招待客たちによって歌われるハッピーバースデーの歌が省略されているなど若干のセリフのカットが見られますが、ほぼ原作に忠実に原作1話目最後の事件発生の所までストーリーが進行していきます。
後半は原作2話目の警察による捜査開始からはじまりますが、多少細かいセリフの変更やカットなどがあるものの、ほぼ原作どおりに執事以外の3人の容疑者たちが事情聴取される所までストーリーが進行していきます。
まず前半は前編で既に流れた目暮たちによる建築家・軽辺定悟の事情聴取の所から再開されますが、その後パーティーに来た客の数が原作では42人なのですが、アニメではなぜか65人になっています。
その後眠りの小五郎の態勢が整う時にアニメでは過剰なぐらいすごい眠り方しますが(苦笑)、それ以外は若干セリフやシーンのカットが目立ちますがほぼ原作どおりにストーリーが進んでいきます。
後半についても細かいセリフのカットが若干目立ちますが、ほぼ原作どおりに忠実にストーリーが進行していきます。
アニメのみの登場で、物語冒頭に執事の青梅が小五郎に依頼料として渡した小切手に、アニメではこの銀行および支店名が書かれていました。ちなみに金額は300万円で、小五郎でなくてもそれは引き受けたくもなりますよね(笑)
今回は時間にうるさい女主人が衆人環視の誕生パーティーの会場で大胆にも殺害されるという事件でしたが、しかし本格ミステリーとしてはまさしく正統派、実に美しい、見事過ぎるぐらいの完成度でしたね。
とにかく今回は伏線の張り方が見事というか、実に無駄なく違和感なく随所に散りばめられていました。犯人が大時計に上がった際に一番最後に小窓を閉めた所から井戸にお参りに行った所、そして女当主の金時計を犯行直前に見せてもらった所といった一つ一つの行動がちゃんと意味があって実に見事な伏線になっていましたし、大時計や井戸も犯行の動機となった4年前の事故の現場としてだけでなく犯行の道具として巧みに使っています。
そして2年前から脅迫状を送っていたのに今年になって犯行が行われた理由と雨との関係もよく考えられていますし、雨については傘を持ち込みトリックに使うのみならず足跡を消すためという理由にもなっていて、一つ一つ丁寧に検討していけばいくほど実に本格推理モノとしては練りに練られていることが分かりました。
実は犯人については折りたたみ傘を執事に渡さなかった時点で妙に違和感を感じ、更に事情聴取を皆が嫌がったのに彼が人が一人殺されたのだからと客全員に受けるように説得したのとの合わせ技で犯人だと確信しました。そして傘が凶器として使われて井戸に凶器が移動したのだということも見事に当てられたのですが、最初は「たかが単なる物理トリック」と侮っていたものの解決編を聞いてなるほどと感心せざるを得なかった、そんな通好みの本格ミステリーだったと思いますね。
ということで伏線やトリックについて熱く語ってしまいましたが、お話としては被害者のような人間を人間と思わない自分の事しか考えない人というのはすごく嫌いなのでまったく同情はできなかったのですが、その一方で限りある人生1秒たりとも無駄にはしたくないという言葉には共感できました。
まあ遊んだりバカやったりするのも決して無駄な時間だとは思いませんし、人生を豊かにしたり人間関係を築いていく上で大事だと思うのでそういった時間も作るべきですが、普段の生活には少し気を使って無駄な時間を極力減らしたいですよね。
このサイトも他にいろいろとやるべき事があり限りある時間の中で更新しているので、なかなか思うようなペースで更新できないこともあるのですが、できるだけ有効に時間を使って少しでも更新の間隔が開かないように頑張っていきたいと改めて思いました。
そして最後には予想外に阿笠博士と灰原哀と少年探偵団も登場していましたが、コナンが寝坊している姿が何気に可愛らしくて思わずホッとするようなシーンでしたね。