(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 高木刑事 白鳥警部 佐藤刑事 千葉刑事 宮本由美 小林澄子先生 三池苗子 重井徳子(36) 福地明歳(41) 名和武朗(22) 和田太郎 佐藤良男 鈴木祐樹 千葉の友人 エモ ゴメラ 妖精エメラ 仮面バイヤー |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 巡査部長、目暮の部下 警視庁捜査一課警部 警部補、目暮の部下 捜査一課刑事、目暮の部下 交通課の婦警、佐藤刑事の親友 帝丹小学校1年B組担任 交通課の新人婦警、千葉刑事の初恋の人 主婦、追突した車の持ち主 会社員、追突された車を運転 フリーター 車上荒らしの被害者、新宿区和田35在住 車上荒らしの被害者、新宿区七日町2-2-2在住 車上荒らしの被害者、新宿区新宿町1-6-14在住 千葉刑事の友人 魔法JK48 大怪獣 ゴメラのパートナー、指輪の妖精 子供達に大人気の特撮ヒーロー? |
高山みなみ 緒方賢一 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 高木渉 井上和彦 湯屋敦子 千葉一伸 杉本ゆう 加藤優子 田中理恵 江森浩子 金尾哲夫 佐藤美一 声の出演なし 声の出演なし 声の出演なし 山田義晴 声の出演なし 声の出演なし 声の出演なし 声の出演なし |
もうちょっとで国会議事丼が潰されちまうトコだったぜ!!─大怪獣ゴメラの「野望篇」を見終わり興奮しながら駐車場へと戻ってきた少年探偵団たち。ところがその途中プラモやフィギュアの箱でいっぱいの車があるのを発見し興味深そうに眺めていると、その扉の鍵穴の周辺にひっかき傷があるのを発見したのです。
まさか車上荒らし!?…そう思いコナンが扉に触れてみると扉は鍵がかかっておらず開き、中は強烈なシンナーの臭いが充満していました。いったいどこからこの臭いがするのかと車内を見渡してみると……何と車の天井の所には赤いスプレーの文字で「死ね」と大きく落書きがされていたのです!!!
ちょうどその時その車の持ち主と思われる若い男二人組が現れたのですが、何とその一人というのが…警視庁捜査一課の千葉刑事だったのです。
車は千葉刑事のものらしいのですが、フィギュアの箱などは連れの男がやっと買えたものを見せびらかしてやろうと思い千葉に断りなく袋から出して勝手に並べたものでした。警察を恨む者の犯行なのか、それとも千葉刑事本人を恨んでいるのか、とにもかくにも千葉刑事は交通課の宮本由美婦警を呼ぶことにしたのです。
ほどなく由美婦警が事件現場に現れますが、彼女の話では同じ手口の車上荒らしが今月既に3件も発生しているというのでした。赤い油性スプレーでシューッとするからなのか、一連の事件は「赤い油性のシュウ事件」と呼ばれているらしく……
非番の日に友人の買い物に付き合っただけなのに、自分の車にひどい落書きをされた上に由美からはオタク扱いされ散々な千葉刑事でしたが、そんな彼にひそかに熱い視線が注がれていることを、この時はまだ知る由もなかったのです。
しかしその様子を遠くから見ていた少年探偵団たちは、由美婦警の背後から千葉刑事のことを見ている新人婦警の存在に気がつきます。そして彼女が初恋のビデオレター事件でビデオの最後に映っていたツインテールの千葉刑事の初恋の人だ気づき…
千葉刑事本人は同窓会にも来ずフラれたと言っていたものの、彼女の様子からすると千葉が勝手に勘違いしてるだけのようでした。更に彼女を目の前にしても初恋の人三池苗子だと気づいている様子もなく、灰原哀からは高木刑事といい白鳥警部といい奥手で鈍感な刑事ばかりだと呆れられてしまいます。とはいえまずは自分たちが下手に口出しするよりも、彼女が真実を告げるか千葉刑事が思い出すのを待つことにしたのですが、肝心の千葉はというと…
その後も由美婦警の聴取が続き被害に遭った車の写真を三池苗子が千葉に見せますが、相変わらず彼女に気づく様子はなく、また事件についても1件目は俗に「イタ車」と呼ばれる萌えキャラプリントを車体にプリントした痛々しい車なものの2件目はゴルフ帰りのサラリーマン、3件目は派手に改造している走り屋の車と共通点がない上に3人の被害者の名前と写真にも千葉には見覚えがないらしく…
そこでコナンが提案したのが、千葉刑事も車上荒らしの捜査に付き合うというものでした。どうせ非番で暇だろうからと由美婦警も賛同、更にコナンは自分たちも手伝うからと「お邪魔虫」の由美婦警と米花町内の西側の駐車場で話を聞いて回ることにし、一方千葉刑事には三池苗子と東側の駐車場を見て回るようにまんまと仕向けたのです。
千葉刑事と三池苗子を二人きりにすることに成功した探偵団たちは、西側の駐車場を回るのではなかったのかという由美婦警の言葉に耳を貸すことなく二人の尾行を開始。すると二人はとあるデパートの地下駐車場へと入っていったため、中で鉢合わせにならないように阿笠博士をその場に残しつつデパートの中から駐車場に入ることとなります。
しばらくして地下駐車場へ到着した探偵団たちでしたが、そこに千葉刑事と三池苗子の姿はありませんでした。もっとも上で待機している阿笠博士から連絡がないということはこの駐車場のどこかにいると、探偵団たちがとある車の陰に隠れて様子を伺っていると……
そこへ現れたのは重井徳子という名前の中年の主婦で、ここは遊び場じゃない、かくれんぼなら公園でやれとすごい剣幕で探偵団たちを叱りつけます。その後そばを通りかかった福地明歳という名前の中年の会社員の男性が仲裁に入りますが、すると今度はコナンたちのすぐ横に停めてあった改造車の持ち主らしい名和武朗というフリーターの若い男が現れて自分の車のそばで何をやっているのだと因縁をつけてきたのです。結局探偵団たちは駐車場の中で様子を伺うのを諦め、博士と合流して地上の出口から二人を待つことにしたのですが…
しかし探偵団たちが戻ってから30分経過しても千葉刑事と三池苗子が戻ってくる気配はありませんでした。もしかして千葉刑事が彼女のことを思い出し今頃ラブラブな話で盛り上がっているのでは……探偵団たちがそう思い始めたその時……
突然駐車場の方から「ガアン」という大きな音がして、驚いたコナンは音のした駐車場へと駆け下りていきます。すると駐車場の奥の方で煙が上がり、二台の車が衝突事故を起こしていたのでした。
現場には千葉刑事と三池苗子が先に到着していて、追突された車のそばで倒れている人を介抱している所でした。そして追突した側の車の方を見てみると中には誰も乗っておらず、代わりにフロントガラスには例の車上荒らしがいつも書き残していた「死ね」という赤い文字が内側からスプレーされていて……
ゴメラの映画を見た帰りの駐車場で車上荒らしに遭い天井に赤いスプレーで「死ね」と落書きされ車を発見した探偵団たち。車は何とこの日非番で友人の買い物に付き合わされていた千葉刑事のものらしく、現場で千葉とバッタリ出会った少年探偵団たちはその後交通課の宮本由美婦警の事情聴取にも付き合うことになります。
ところが探偵団たちはその時由美婦警の後ろで千葉刑事に熱い視線を送る新人婦警の姿に注目、彼女が初恋のビデオレター事件の際に知ることとなった千葉刑事の初恋の人三池苗子であることに気づいたのです。しかし当の千葉本人は彼女だとまったく気づいていない様子…。
そこで「赤い油性のシュウ事件」と名づけられた一連の事件と関係があるらしいものの、3件の被害者の名前や写真にも見覚えがないという千葉刑事に、探偵団たちは捜査に付き合うように提案。お邪魔虫の由美婦警を自分たちと一緒に捜査させることで千葉と三池苗子を二人きりで捜査させることに成功し、その様子を尾行することとなったのですが…
その途中デパートの地下駐車場で衝突事件が発生。更に追突した側の車のフロントガラスには、一連の車上荒らし事件とも共通する赤いスプレーで書かれた「死ね」という文字が残されていて……。624「初恋のビデオレター」に続く千葉刑事版本庁の刑事恋物語の第2章。
まず冒頭はお約束かもしれませんが(笑)、ゴメラの映画「野望篇」の映像が原作では1コマだけですが、アニメでは戦闘機がミサイル放ったり、ゴメラが車と踏み潰したり光線を吐いたりとやりたい放題派手な演出になっています(苦笑)
その後千葉刑事の車の天井から「死ね」の文字が発見される所でオープニングに入り、オープニング後の前半ではまず千葉刑事の友人が「何だこのガキ」と怒鳴り込んでくる前に阿笠博士たちが何かあったのかと車の方に注目するシーンが少し挿入されています。
それから車上荒らしの被害者の名前と写真を由美に見せられる千葉刑事ですが、この時千葉が見ている資料がアニメではしっかり作られていて3人の被害者の名前や住所もバッチリと書かれています。どうでもいい所ではあるのですが、よく見ると面白い箇所でもあるんですよね(笑)
その後原作1話目の最後まで進んでいき、追突事件の追突した側の車のフロントガラスに「死ね」の文字がスプレーされているのが発見される所でCMとなりますが、ここまでは細かいセリフの変更などあるもののほぼ原作どおりの構成となっています。
後半についてもほぼ原作に忠実な作りで大きな変更などはなく原作第2話目真ん中あたりの三池苗子の帽子が風に飛ばされるシーンまで進みますが、最後のこのシーンが胸がキュンとなってしまうような素晴らしい演出になっていて雰囲気たっぷりですね。
まず前半ですが冒頭は前編でもあった原作2話目の真ん中あたり、由美婦警の「では発表しまーす」といって犯人が3人に絞られることになるシーンの所から再度スタートとなります。それからはひたすら原作どおりの構成で進んでいき、場面が警視庁に切り替わる直前の所までで前半は終了となります。
後半は事件解決編ですが、こちらも原作に忠実な構成で特筆すべきところもありません。今回はあえて書くことが少なくです(苦笑) 本当に原作に忠実な流れとなっていましたね。
今回放映されていたのは「野望篇」。更に半年後には「革命篇」も予定されているのだとか。ついこの前「ファイナル」をやっていたばかりなのによく続くと灰原哀は呆れていましたが(苦笑)
ちなみにファイナルは63「大怪獣ゴメラ殺人事件」の事件の際に放映されていて、「ゴメラ最期の決戦」というタイトルでした。
これって質問するの怖いのですが、やはり機動戦士ガンダムに登場する「赤い彗星のシャア」のもじりですかね(苦笑)
今回の事件はデパートの地下駐車場が舞台になっていますが、原作ではデパート名はまったくでてきていません。
アニメでも確認した限りなかなか登場しなかったのですが、原作2話目の真ん中あたり、由美婦警の「では発表しまーす」といって犯人が3人に絞られることになるシーンの所で「米花デパート」という表記があるのを発見することができました。
今回は昨年の2011年に放映された624「初恋のビデオレター」の続編ということで、いよいよ千葉刑事と三池苗子婦警との距離が縮まっていくかという注目の回です。
いい所まで行くとコナンやら由美婦警に邪魔されたりと、見ている方もジリジリやきもきする展開でしたが(苦笑)、あの帽子が風に飛ばされてそれが千葉刑事に飛んでくるあたりの演出は何か甘酸っぱい青春ドラマを見ているようで胸がキュンとさせられた方も多いのではないでしょうか。
ただラストはやはりというか、まだまだひと山もふた山もあるぞという感じで簡単には完結とはいきませんでしたね。このあたりが灰原哀が冒頭で言っていた「どうして私達の周りの刑事って、奥手で鈍感で世話の焼けるクソバカ野郎ばっかりなのかしら?」というセリフに象徴される気がしているのですが、個人的にはナルシストの勘違い野郎よりはよっぽど純粋でいいのではないかと思います。ただ灰原哀のこのセリフには正直爆笑させられました(笑)
あとは由美婦警が、最初は「阻止せねば」と猛烈に焦っていたのが最後にはやっぱり二人に気を利かせてくれるあたり、性格悪い人じゃないというのがはっきり出てましたね。でも最初の「阻止せねば」という気持ちも、一人だけ取り残されていくのがしんどくてすごく分かるんですよね。ただその後に車の件で佐藤刑事に激怒されていましたが(苦笑)、今回は彼女のキャラクターが存分に活かされた回で楽しめました。
他にも元太の「国会議事丼」、千葉刑事の友人に対する灰原哀の「大人しく歩いてお家に帰りなさい」など、細かなセリフの中にも笑い所が多くて楽しい前後編だったと思います。
最後にミステリー部分についても触れておくと、非常に悲しい事件で事故の被害者が理不尽な犯行をその後犯してしまうという非常に考えさせられるテーマでした。つい最近も京都の亀岡で発生した未成年の無免許で居眠り運転が危険運転致死傷罪にならかった事件があったりと、首を傾げるようなことって現実にありますからね。もっと市民が納得して従える法律であってもらいたいものです。
そして謎解き部分については被害車の共通点についてはさすがにあれだけヒントが転がっていると後部ウインドウが塞がっていたのだということはすぐに分かりました。それで追突された福地明歳の車も人形で後部のウインドウが塞がっていたので犯人が激怒して犯行に及んだのだろうと想像できたので、残る二人のどちらかであるという所までは推理できたのですが、そこから先のチャイルドシートについてはちょっと思いつかず、なるほどという感じでしたね。
更にこのあたりの事実にも主人には言及しているのに子供のことは触れていない点や、なぜ今回だけ天井ではなくフロントガラスに文字が書かれていたのかなど、微妙なセリフにきちんと伏線と答えが用意されていて、相変わらずよく考えて作られた完成度の高い作品だったと感じました。ただ予想もしない大きな意外性というものはなかったので最高得点とまではいかない内容なのかなという感想です。