(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 生田目龍太郎(52) 矢部慶(27) 池田周平(50) 本橋刑事(45) 藤井刑事(27) 岩永巡査(55) おばさん 夫 奥さん |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 村の住民、阿笠博士の友人 村の住民、パチンコ好きの若者 村の住民、生田目と土地のことで揉める 山梨県警 刑事 山梨県警 刑事 村の巡査 道の駅のフラワーショップの店員 道の駅のフラワーショップの客 道の駅のフラワーショップの客 |
高山みなみ 緒方賢一 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 藤城裕士 白石稔 荒川太朗 田中亮一 徳本恭敏 浦山迅 大塚みずえ 声の出演なし 瀧本富士子 |
ある日のこと、コナンたちが通う帝丹小学校1年B組の教室ではデパートで父親に買ってもらったというカブトムシを見せびらかす男の子の周りに人がたくさん集まっていました。ウチにはクワガタもいると自慢げに話す生徒に対し、その様子を遠くから眺めていた元太はああいうのは自分で獲らないと意味ないんだと光彦に力説します。しかし、そうはいってもやっぱり欲しい気持ちは強く…
そこで阿笠博士の家に集まった際に元太たちはカブトムシが欲しいと博士に相談したのですが、すると何と博士はカブトムシならいくらでも獲れると豪語…何でも博士の古い友人が山梨におり、いつでも遊びにきてくれと言われているというのでした。
そんな訳でその博士の古い友人というのを訪ねて博士のビートルに乗り山梨県を訪れることとなった探偵団たち。周囲は豊かな緑に囲まれこれならカブトムシやクワガタがザックザック獲れそうと期待も膨らみます。
ほどなくビートルは土古架駅という名前の駅前に到着。よく田舎に行くと見かける緑の中にポツンとあるのんびりとした無人駅の雰囲気で、コンビニ一つどころか自販機もない有様でした。
そしてどうやら阿笠博士はこの駅前で約束していたらしく、迎えにくると言っていたのに誰もいないとしばらくあたりをキョロキョロしていましたが、すぐに向こうの方から博士を呼ぶ男の声がします。生田目(なまため)龍太郎という名前で彼こそ阿笠博士の古い友人でこの日探偵団たちがお世話になる人物だったのです。
挨拶を済ませると山のふもとにある彼の家まではが車で1時間ばかりかかるらしく、喉の渇きもあったことから一行は途中、生田目の白い軽トラックでの先導により道の駅の名産品直売場へ立ち寄ることになります。
光彦がコーラ、元太がソフトクリーム大盛りを注文し、歩美が何にしようか迷っていると、突然生田目の怒鳴り声が。見るとクワガタのプリントシャツを着た矢部慶という名前の若者が昼ご飯にラーメンを食べている所で、またパチンコにでも行っていたんだろと説教されている所でした。
矢部はそれを否定し、家で作ったスイカを直販所に持ってきただけだと説明しますが、生田目は二度と借金作っておふくろさんを泣かすんじゃないぞと矢部に対し説教を続け…。
一方その頃元太と光彦はカブトムシとミヤマクワガタの入った昆虫ケースが近くに置かれているのを発見し、羨ましそうに眺めていました。ところがそんな二人を突然怒鳴り散らす男の声が…。
男は名前を池田周平といい、「お前らのオモチャじゃねえ、触るな」「これから東京のデパートが買い取りにくる、弱ったら売り物にならねえ」と子供相手に感じの悪い態度。見かねた生田目にたしなめられると、カブトが欲しいからってウチの山に入るんじゃねえぞと吐き捨て、昆虫ケースを台車に載せて探偵団たちのもとを去っていったのでした。生田目の話によると、池田は子供の頃からケチで疑り深く、生田目とは土地の境界で揉めているというのですが……
それから生田目に案内された探偵団たちでしたが、彼の家は古いものの部屋の数は多く広々としていました。また座敷の床の間には絵や仏像などの骨董品もたくさん置かれていて、先日生田目の家を訪れた骨董屋は床の間に転がっていた仏像を鎌倉時代のものじゃないかと言っていたというのです。円山応挙の絵や運慶の仏像があるかもしれんと得意気な表情の生田目でした。
その後スイカをご馳走になると探偵団たちは山の方へ歩いて登っていきます。そしてカブトやクワガタはクヌギやナラの木が好きなんだとコナンが得意の知識を生かして場所を決め、元太が父親に強盗ごっこやるのかといわれたという家から持参の古いストッキングにバナナを入れて木の枝に吊るすと準備は完了。本当にこんなんで獲れるのかと半信半疑の光彦でしたが、夜になってのお楽しみだとコナンは自信たっぷりの様子でした。
仕掛けを終え引き返すと、途中道に停まっている緑色のトラックを発見します。荷台には青いシートが敷かれその上に何かの道具が置いてありました。車のキーも挿しっ放しでこんな所で何をしているのかと訝る探偵団たちでしたが、何と荷台の下から現れたのは先ほど道の駅で会ったパチンコ男・矢部慶だったのです。
ところが矢部は妙にそわそわした素振りで少し見ていただけの探偵団をさっさとどこかへ行けと怒鳴ります。あんなに怒らなくても…何か見られて困るものでもあるんですかねと光彦が言うのももっともなように思えたのでした。
それから生田目の家に戻り夕食を済ませると時刻はやがて22時を回り、再び昆虫採集へ出かけることに。周辺にはヘビもいるらしく心配した阿笠博士も探偵団たちに同行することになったのですが…。
昼間仕掛けをした場所に到着した探偵団たちでしたが、するとその場所にはたくさんの虫たちがいて大興奮となります。カブトムシがいて…オオクワガタもいる…ノコギリクワガタも…別の木には7匹も止まっていて、こんなの初めてと光彦も大興奮。互いに得意げに見せ合うなどカブトムシとクワガタ獲りは大成功を収めたのです。
ところが探偵団たちは自分たちが昆虫採集に夢中になっているその横を、道の駅で会った池田周平が懐中電灯を片手に不機嫌そうに歩いていくのを目撃します。龍太郎の奴、油断も隙もありゃしない…姑息な手を使いやがって…今度こそ許さんぞと息巻く池田だったのですが…
それから大漁の昆虫を手土産に満足げに歩いて生田目の家に戻ってきたコナンたち。すると生田目の家の灯りはまだついていて生田目はまだ起きているらしい様子でいました。
しかし障子が開いているのを不審に思ったコナンが小走りに中へ入っていくと…何と部屋の中で生田目が頭から血を流して倒れていて、そばには血痕のついた壺が落ちていたのです。
コナンたちが駆け寄ると生田目はまだかろうじて意識があり、やがて力を振り絞るように「ミヤマクワガタ」という言葉を残して意識を失ってしまいます。ミヤマクワガタとは一体…!?
更に灰原哀が救急車を呼ぼうとしたその時、座敷の床の間に飾られていた生田目自慢の仏像がなくなっているのに気づいて……
クラスで自慢げに見せられたカブトムシを見て自分も欲しくなった元太と光彦は、探偵団たちの面々とともに阿笠博士の友人が住む山梨県にカブトムシとクワガタ獲りに向かうこととなります。
山梨に到着すると阿笠博士の友人の生田目龍太郎の出迎えを受け、道の駅に寄ってから彼の家に到着。その後スイカをご馳走になってから山に向かい、捕獲のための仕掛けの袋をセットして後は夜を待つばかりとなったのでした。
夜10時を回ったころ阿笠博士も同行して再び山へ向かった探偵団たちは、昼間仕掛けた袋にたくさんのカブトムシやクワガタが近寄ってきているのを見て大興奮。大漁の虫たちを捕獲して夢のような気分で生田目の家へと戻ります。
ところが家に戻ると中では生田目龍太郎が頭を殴られて血を流して倒れていて、更に座敷の床の間に飾られていた年代物の仏像もなくなっていたのです。そして被害者は意識を失う間際、「ミヤマクワガタ」という謎の言葉を残し…
その後山梨県警の捜査がはじまると、真っ先に疑われたのは昼間道の駅で生田目とやり合っていた池田周平という男でした。なぜなら彼はコナンたちが昆虫採集をしている時、生田目の名前を出しながら不機嫌そうに歩いているのを目撃されていたからで…
博士のビートルに乗っていた光彦が緑豊かな場所でカブトムシやクワガタがたくさん獲れるかもという話になった際に、もしかして獲れるかもと名前を挙げたカブトムシの名前。
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスに由来する名前を持つ世界最大のカブトムシ。生息するのは中央・南アメリカの熱帯地域なので、コナンがいないと言った通り、野生のは日本にはいません(苦笑)
阿笠博士が山梨に住む友人の生田目龍太郎と待ち合わせをしていた駅の名前。「どこか」と読むんでしょうかね(苦笑)
ノコギリクワガタとともにクワガタの代表として知られていて、日本全土に生息しています。
江戸時代中期に活躍した絵師で現代にまで続く「円山派」の祖としても知られています。代表作は「雪松図屏風」。
また幽霊というと足がないのが定番ですが、これは彼が最初に描き始めたとも言われているそうです。
平安時代から鎌倉時代初期にかけて活躍した仏師。鎌倉時代に入ると東国武士たちの結びつきを強め、快慶とともに鎌倉時代を代表する彫刻家として活躍しました。代表作は何といっても奈良県にある世界遺産・東大寺南大門の金剛力士像(仁王像)ですよね。
高山植物の一種で、深山とは山奥を意味し、また果実にがくがついている様子が兜の鍬形に似ているためこの名前がつけられたそうです。
今回はTVオリジナルの30分作品ということで、カブトムシとクワガタを題材にした作品でした。探偵団たちの姿が生き生きと描かれていて個人的には好きな作品です。
また舞台となったのは山梨県ですが、調べてみると山梨県が舞台となった作品ってアニメでは557「危険な二人連れ」、File577「ホタルが灯した真実」ぐらいで意外と少ないんですね。そして個人的には小説の第1作品目である「甲州埋蔵金伝説」が一番印象に残っています。
それにしても男の子っていうのはカブトムシとかクワガタって大好きで話していてもすごく盛り上がると思いますが、女子はどうなんでしょうね。なぜこんな話をするかというと、以前人気バラエティー番組の「世界の果てまでイッテQ」の最高視聴率と最低視聴率がどの企画かというのがやっていた時に、一番悪かったのがカブトムシかクワガタの対決のやつで原因が初期企画だった以外に女子にまったく受けないというのが挙げられていたので、今回の話もつい同じことを心配してしまったという訳です(苦笑)
ミステリーとしてはこれまた珍しく登場人物のテロップのない奴が犯人という半分反則な結末でしたけど、あまりにも道の駅でのフリがわざとらしかったのですぐに分かった方も多いのではないかと思います。私は以前コナンとは全然関係ないミステリ作品でこの形でしてやられたことがあるのですが、この手のパターンって一度やられてしまうと二度はひっかからないですからね(苦笑)
ちなみに全体的にはまずまずの出来だったと思うものの、結局被害者は死んでおらず、犯人の姿もちゃんと見ていて花を買ったカップルだと被害者は認識していたのですから、後々犯人はどちらにしても分かってしまうという点は指摘しておかなくてはいけないですよね。まあだからといって殺してしまえばよかったのにとは言いませんが(苦笑)