(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 千葉刑事 トメさん 猪俣裕司(56) 金田昌夫(27) 野島剛志(36) 村瀬直樹(48) 館長 作業員 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 捜査一課刑事、目暮の部下 鑑識員 スパ・リゾートチェーンを経営する現場のオーナー 猪股の運転手 現場監督 建築家 遊戯施設Fan Fanの館長 Fan Fanの改装現場の作業員 |
高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 茶風林 高木渉 千葉一伸 声の出演なし 声の出演なし 鳥海浩輔 坂口侯一 加門良 玉野井直樹 矢嶋友和 |
「えーっ…まさか無くなっているとは…」
「マンション建ててるんだって」
「美味い定食屋だったのにな…」
「残念だったね」
「しゃーねー、行くか」
とある日の正午頃、米花建設株式会社がビルを建築している現場の前で立ち尽くしていたのは、おなじみ小五郎、蘭、コナンの三人でした。せっかく定食屋に昼ご飯を食べに来たのに、すでに閉店となっておりガッカリしながらその場を後にする所だったのです。
そういえばこのあたりで新築工事が多いね─そう蘭が気づくと、小五郎もあそこは団子屋だった、あそこは古いアパートだった、あそこは本屋だったと、昔の姿を思い出しながら懐かしそうに振り返ります。更にある工事現場の前に差しかかると、ここは古い銭湯で何度か来たことがあるとしみじみと話す小五郎でしたが…
スパ・リゾートになると蘭から聞き、だったら銭湯のままでいいじゃねーかと残念そうにその場を後にしようとしたその時でした。突然大きな、何かが崩れるような音がして三人が振り向くと、先ほど目にしていた建設現場で大量の鉄パイプが地面に崩れ落ち、現場一面に砂煙が舞い上がっていたのです!
突然の出来事に驚く小五郎たちでしたが、すぐに救急車を呼んでくれという男の声で我に返ると、小五郎は蘭に救急車を呼ぶように指示し自分は鉄パイプの崩れた方へ駆け寄ります。
現場には他に男が二人いて、三人で協力しながら鉄パイプをどけていきますが、すると山のようなパイプの下からは男性が一人無残な姿で発見されて…
ほどなく目暮警部ほか警視庁捜査一課の捜査陣が駆けつけて捜査が開始されます。パイプは工事現場の足場に使用するもので、崩落事故の被害者は猪俣裕司という名前のこの建築現場のオーナー、そして死因はパイプの下敷きになったことによる全身打撲で、ほぼ即死とみて間違いないとのことでした。
更にパイプを固定するバンドに人為的に切られた痕跡が発見されたため、殺人事件と判断するのが妥当と考えた目暮たちは、事故発生時に現場にいた三人から話を聞くことになります。
三人は猪股の運転手を務める金田昌夫、現場監督の野島剛志、そして建築家でマンションの設計をしている村瀬直樹で、三人ともそれぞれ大きな音がしてから現場に駆けつけたらしく、誰もパイプが崩落した所は見ていないとのことでした。
しかし金田には被害者に借金があり、野島には建築費を下げる下げないで被害者と揉めていた、更に村瀬にも設計のコンセプトを被害者に何度も蹴られて頭に来ていたと、被害者を殺害する動機を持っていたことが判明したのです。
ところがそこへ鑑識が現れ、現場から発見されたナイフからパイプを固定していたバンドと同じナイロンが検出されたこと、そのため事件に使われたものと断定されたことが伝えられると、小五郎はナイフに刻印されていた名前から犯人は金田だと断言し…。
しかしコナンは崩落したパイプが被害者の真上にあったものであることから、被害者に気づかれずにバンドを切るのは無理な上、下手をすれば自分も巻きこまれることから、バンドを直接ナイフで切る方法には実現性は乏しいと小五郎の説に真っ向から異を唱えます。
それからコナンは外に出てパイプの崩落現場をチェックしますが、そこでパイプに付いた何かの跡を発見します。更に現場付近を捜索するとすぐそばのゴミ置き場に銭湯のタイル絵が捨てられているのを見つけて……
ひいきにする定食屋がマンションに建て替えられていることを知り、ガッカリしながら帰り道を歩いていた小五郎と蘭、そしてコナンの三人は、更に小五郎が何回か行ったことがあるという銭湯の跡地に建てられるスパ・リゾートの建設現場で起きたパイプの崩落事故に偶然遭遇します。
パイプを固定するバンドが人為的に切断されていたためすぐに殺人事件として捜査が進み、現場から発見されたナイフの所有者に容疑がかけられますが、コナンはナイフでバンドを切れば自分も巻き込まれる可能性が否定できないことからその説に疑問を持ち、独自に捜査を開始します。犯人はいったいどうやってパイプを崩落させたのでしょうか?
冒頭定食屋を訪れた三人がマンションの建設現場に変わっていたことに呆然としているシーンで、そのマンション建設を請け負っていた会社の名前。
建築中のマンションの一つを請け負っていた建設会社。
今回の事件現場の隣りにある遊戯施設。事件当日は改装中でした。
今回はオーソドックスな30分ものの本格謎解きミステリーでしたが、ハウダニット(どうやってやったか?)としてはまずまず楽しめたのではないでしょうか。
それと捜査陣が現場に到着した冒頭のカットでトメさんの姿がチラッと見えたのに思わずニヤリとしてしまいました。後でナイフの鑑識結果で目暮たちの前に登場したのは別の鑑識員でしたが、そういう所はいつも重点的にチェックしているので見逃しません(笑)
それからトリックについてはピッチングマシーンという切り口は非常に面白くていいとは思いましたし、他の2人にも気づかれないように確認して犯行に及んでいるのはいいのですが、ただ小五郎たちが現場を見た時に工事現場の中が丸見えだったので、下手をすれば第三者にボールがパイプに当たる所を見られてしまうのではないか…細かい所ですがそこだけがちょっと気になりましたかね。
それと気になったのは最後の犯人の「言い訳」とそれに対する小五郎(コナン)のセリフですが、これは別に必要ないのでは?と個人的には思いました。逆にスカッとしないというか、気分がモヤモヤするだけで、どうせなら今流行の「半沢直樹」のように、勧善懲悪で悪役が懲らしめられる終わり方の方がたぶんスカッとする気がします。
自分は勧善懲悪の典型ともいわれる「水戸黄門」などの時代劇も大好きなので、そういう分かりやすい方が好きですし、あの「半沢直樹」が日本だけじゃなくてなぜか中国でもヒットしている(らしい)のを聞くと、古今東西誰しもみんなスカッとしたいんだと思ってしまいますよね(苦笑)
あとは今回の作品のテーマでもある、蘭が言ったセリフの中の「でも昔のものがなくなっていくのは、何だか寂しいね…」というのには妙に共感しました。自分もたまに実家に帰った時に昔よく目にしていた建物とかお店とかが別のものに変わっていると、妙に寂しくなることがよくあるんですよね(苦笑)
それと関係する訳ではないですが、このサイトもよく更新間隔が開くと大変心配して頂きメール頂くことがあり本当に申し訳なく思うのですが、いろいろと事情があり更新間隔が開くことはありますが、サイトを更新する意欲がなくなったことは一度もありませんので、その点はどうかご安心ください。
特に2013年はいろいろなことに挑戦していて時間が取られてしまい、本人的にはそんなに間隔が開いているという意識はなかったのですが、気がつけば9月で時間の経つのは本当に早いものです。年末にはルパン三世とのコラボ映画の公開がありますので、それはいい形で迎えられるように頑張りたいと思います。