(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 毛利小五郎 服部平次 遠山和葉 沖野ヨーコ 岩爪一真 布川貴文 森脇 井上 アナウンサー 精肉店の男 精肉店の女 声が平次に似た男 声が平次に似た女 中森警部 怪盗キッド |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 西の高校生探偵、新一のライヴァル 平次の幼なじみ 人気アイドル 宝石ブローカー 脅迫者、電話の男 会社員、TM商事勤務 毛利探偵事務所と良く似た電話番号の主 ニュース30 アナウンサー 岩室精肉店 主人 岩室精肉店の女 八百屋の主人 八百屋の女 東京警視庁 捜査二課警部 神出鬼没の大怪盗、通称怪盗1412号 |
高山みなみ 声の出演なし 山崎和佳奈 神谷明 堀川りょう 宮村優子 長沢美樹 稲葉実 堀川りょう 小伏伸之 ??? 岡田佐知恵 後藤史彦 きのしたゆうこ 北島淳司 三浦雅子 石塚運昇 山口勝平 |
その日コナンと蘭は夕食の材料を買うため、米花商店街を訪れていました。まず最初に買い物をしたのは岩室精肉店という肉屋で、豪勢にすき焼きにでもしたい所でしたが、最近小五郎への事件の依頼が少ないため生活を切り詰めなくてはいけないと、蘭は結局牛挽き肉を100gと卵を注文します。ところが店の主人の好意で蘭は20gおまけしてもらい、結局120gの肉を買うことができたのです。
その次は八百屋でじゃがいも、玉ねぎ、キャベツ、トマトを買いますが、ここでもリンゴ3個をサービスしてもらい、更にその次に訪れた魚屋でも明日のお昼にと鮭を買うとお味噌汁にすると美味しいしじみをサービスされ…コナンになってから初めて商店街を訪れコナンが「蘭の弟」だの「小五郎の隠し子」だの言われて散々な目に会う一方で、どうやら蘭はこの商店街の人たちにこよなく愛されているようでした。
それもそのはず、蘭はまだ小さい頃から高校生になるまでこの商店街でずっと買い物をしてきた訳で、そんな蘭を見てコナンはまだ小学生の頃から高校生になりコナンになる前まで蘭に付きあってこの商店街に買い物に来ていた事をしみじみと思い返していたのです。
買い物を終えて探偵事務所に戻ると、小五郎はいつものように以前自分が沖野ヨーコと共演した「沖野ヨーコの4分クッキング」のビデオを見ている所でした。同じビデオを何度も見て楽しいのか、そのうちテープが擦り切れる…と蘭とコナンに皮肉られても、どうせ客は来ないと開き直る小五郎。ところがそこに宅配便が訪れ、すると小五郎はなぜか一目散に荷物を受け取りに向かったのです。
気になった蘭が誰からの荷物か尋ねると、小五郎は適当にごまかそうとし…その小五郎の態度が怪しいと睨んだコナンでしたが、小五郎の態度からしてどうやらその荷物、小五郎が自分で注文したもののようでした。
まさかいかがわしいものなのかと蘭に突っ込まれるとそれは即座に否定した小五郎でしたが仕事に使うものだと言いつつ3階の自宅に持っていってしまうなど態度は一貫せず…一体小五郎は何を隠しているのでしょうか?
絶対何かある、怪しいと蘭とコナンが二人で考えていると、そこへ探偵事務所の電話が鳴り響いてきます。小五郎が3階に戻り不在のためコナンが電話に出ると、電話の主はいきなり次のような言葉をコナンにぶつけてきたのです。
「金は用意できたか? 『え』じゃねえ、金は用意できたか…お前誰だ?」
まさか脅迫電話? そう直感しコナンは録音ボタンを押そうとしますが、次の瞬間受話器から「おはよう」という女の声が聴こえてくると、電話の主は「くそっ」と舌打ちをしてすぐに電話を切ってしまいます。
番号も非通知で、自分の名前はもちろん、かけようとした相手の名前も言わなかったため、毛利探偵事務所と似たような電話番号にかけようとしたこと以外に手がかりはまったくなく、話を聞いた小五郎にもそれでは警察も相手にしてくれないだろうと、案の定取り合ってもらえませんでした。
それどころか小五郎はただの借金取りかもしれないと言い残すと、麻雀の約束があるからと言い残してさっさと事務所から出ていってしまったのです。
確かにまだ誘拐と決まった訳ではないが、もし本当だとすると一刻の猶予もない…そこで独自に捜査をしようとするコナンでしたが、よくよく考えてみると電話の主の声、前にどこかで聞いたことがあるような気がしたのです。しかもつい最近…それだけでなく「おはよう」という女の声も…
そこでコナンは蘭との商店街での買い物などその日の出来事を頭の中で思い返し、電話の主の声と良く似た人物を特定。その足で再び米花商店街に向かったのですが…
今ではすっかりどのアニメ番組でもおなじみになった冒頭での「TVを見る時は部屋を明るくしてテレビから離れてご覧下さい」という告知。
今回のこのDVDにももちろんそれが冒頭にありますが、全員サービスの特別版ということもあり、今回のものは怪盗キッドからの予告状の形で告知されます。
最後の怪盗キッドという宛名にコナンがビックリするセリフまでなかなか凝った作りでとてもGOODでした。
小学生、中学生、高校生とそれぞれの時代の蘭が見れてとても興味深いです。ただ新一はつねにサッカーボールを蹴っていましたが(笑)
冒頭で蘭がコナンと一緒に買い物に訪れていた商店街。蘭はあんなに小さい頃からずっとここで買い物をしていたんですね。
妃英理が出て行ったのが10年も前のことだけに当然といえば当然ですが、その当時から家事を一人で頑張っていたというのにはちょっと驚きでした。
米花商店街にある店。蘭はこの商店街で小さい頃からずっと買い物しているらしく、どの店に行ってもサービスしてもらったりで人気者のようです。
作品最後でコナンが読んでいた新聞の名前。トップ記事は作品を見てのお楽しみですが、左横には「今年で10周年 名探偵…」の文字がありました。映画10周年記念を意識してのものと思われます。
今回の作品はまず小五郎が宅配便を受け取ってから急に態度が怪しくなった原因、次に探偵事務所にかかってきた電話の声の正体、それからひょんなことから一緒に捜査することになったコナンと平次がしばらく気付かなかった大きなミスとは何か、そして「おはよう」という女の声の正体と、いろいろな謎があってとても楽しい作りになっています。
しかもそれぞれが微妙に絡み合って事件を複雑にしている所がとても上手いなと感じました。「会員限定沖野ヨーコエプロン目覚まし時計」を小五郎が2万円も出して買ったことが事件解決の重要な手がかりになる上に、冒頭で蘭が商店街で生活費を切り詰めるシーンがここにきて重要な意味を持ち蘭が激怒する所まで、ここまでの一つ一つのエピソードがきちんと意味を持ち、ラストの事件解決へと繋がっていきます。
このようにストーリー構成がきちんと練りに練られている所は、さすが名探偵コナンのメイン脚本家の古内氏だなあと感心してしまいましたね。
そして沖野ヨーコに熱狂する小五郎や、商店街で楽しそうに買い物していたのが一転して小五郎の買ったフィギュアに激怒しいくらか使ったのか問い詰める蘭、大阪弁全開の平次、相変わらずそそっかしい和葉など、キャラクターたちの個性も如何なく発揮されていましたし、一方で蘭と新一のエピソードもさりげなく盛り込まれていてコナンファンにはたまらない楽しい作品だったと思います。
個人的には蘭が小五郎がフィギュアにいくら使ったのか問い詰めるシーンが、二人のやり取りが絶妙でしたし、そのシーンでBGMとして流れている小五郎のテーマが何ともいい感じでもう大爆笑でした(笑) やっぱり小五郎と蘭はこうでなくては面白くないですし、以前のコナンを思い出させてくれて何だかとても嬉しかったですね。
また堀川りょう氏(今回は犯人役との一人二役)の「ヨーコちゃん!」というセリフも今までになく新鮮で、これもツボにはまりましたね。
最後にキッドが締めて美味しい所を持っていき、平次とコナンが「アホくさ」とさっさと現場を去っていく所までとにかく楽しい30分でした。
この作品は犯人当ての要素はないに等しいですし、複雑なトリックも皆無なのですが、その分キャラクター同士の会話や、物語進行のテンポ、間の取り方などが絶妙でした。
作画も安心して見ていられましたし、何度見返しても楽しめるコナンファンにはたまらない作品です。そして個人的には全員サービスの作品中一番の出来栄えだと思う反面、逆に全員サービスでしか見られないのはもったいない気がするほど素晴らしい作品でした。
小五郎が買い、事件のあった日に宅配便で探偵事務所に届けられたフィギュア人形。値段は何と2万円もするのですが、限定200名でシリアル入りということもあって小五郎はどうしても欲しくてつい買ってしまったのでした(ちなみに小五郎のフィギュアのシリアルナンバーは”000125”番)
小五郎がこのフィギュアを買ったことが偶然にも今回の事件の解決に大きな役割を果たす訳ですが、しかし小五郎への事件の依頼が最近少なく、そのために米花商店街で生活費を切り詰めながらの買い物を余議なくされている蘭は事実を知り大激怒(笑) あえなく小五郎はしばらくタバコは当面禁止、ビールは一日一缶を言い渡されてしまいます(苦笑)