(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 阿笠博士 灰原哀 高木刑事 佐藤刑事 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 鈴木園子 与田治 小倉ミキ 女の子 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 巡査部長、目暮の部下 警部補、目暮の部下 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 ワゴンの男 ワゴンの女 中学生ぐらいの女の子 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 緒方賢一 林原めぐみ 声の出演なし 声の出演なし 岩居由希子 高木渉 大谷育江 松井菜桜子 小野坂昌也 鈴木麻里子 ??? |
今度の日曜日、朝10時にみんなで博士の家に来て欲しい─阿笠博士からの伝言を灰原哀から聞いたコナンと歩美・元太・光彦の少年探偵団たち。さてはまたキャンプかと元太は期待に胸を膨らませますが、実はつい最近いったばかりな上にキャンプだとするともっと朝早い時間に集合するはず…
そこで歩美は今まさに桜が満開の堤無津川沿いでお花見ではと、光彦はゲームソフトの新作を探偵団たちに試してもらいたいのではと予想したのですが、コナンはどうせまたろくでもないことを考えているのではと予想し…
博士が誘拐された…!? 迎えた日曜日の朝10時、阿笠博士邸に集まった歩美、元太、光彦の三人は灰原哀から衝撃の事実を知らされます。そして阿笠博士は灰原哀に次のような手紙を託したというのです。
「探偵団のみんなへ、ワシは悪い奴らにさらわれてしまった。米花町の三つの場所をまわって、ワシを助けだしてくれ。
一つ目の場所は帝丹小学校から歩いて5分、米花駅から歩いて10分、東都タワーから歩いて15分の、ミズナラの木の下じゃ。おなかを空かして待ってるぞ 阿笠より─」
手紙を読んだ元太と歩美は色めき立ちますが、光彦はすぐにそれが阿笠博士が探偵団たちに仕掛けたゲームだと見抜きます。そして安心した元太と歩美とともに三人は博士の出したゲームにさっそく挑戦することになったのです。
すると探偵団の三人、阿笠博士がせっかく楽しんで作ったゲームだからと自分で解くことは遠慮しヒントを出す役に回ったコナンのおかげもあって、次々と阿笠博士の作った暗号の解読に成功、3番目の暗号が示す場所へと意気揚々と向かったのです。
そしてその場所にはすでに阿笠博士も到着し、探偵団たちがやってくるのを今か今かと待っていました。ところが探偵団たちにご馳走するためにと手に持っていた洋食屋のチラシが折からの風に飛ばされ、それを慌てて取ろうと交差点に飛び出し、反対方向から勢いよく走ってきた黒いワゴンに危うく轢かれそうになってしまったのです…!
何とか間一髪の所でワゴンがハンドルを切ったため博士は何事もなく無事でしたが、ワゴンの方は道路脇の電柱に車体をこすりつけるようぶつけて何とか停止。車はそのまま動かなくなってしまったのでした。
乗員の安否を心配した博士はワゴンに近づき運転手に大丈夫かと声をかけようとしますが、ふと博士がワゴンの後部座席に目をやるとそこには何と……
とある日曜日の朝、阿笠博士の屋敷に集まった少年探偵団たちは、灰原哀から驚くべき事実を告げられます。それは阿笠博士が誘拐されたという何ともショッキングなものでした。
ところが実はそれは博士が探偵団たちに向けて作った暗号解読ゲームの演出の一環で、それを知った探偵団たちは元気よく暗号解読に挑戦、コナンの助言もあって次々に暗号解読に成功していきます。
しかし最後の暗号を解読し、博士が待っているはずの場所へと向かってみると、そこには博士はおらず…
すっかりお馴染みの「部屋を明るくしてテレビから離れて見て下さい」というお願いですが、今回は阿笠博士からのお願いという形になっていました。ただし文章だけで、阿笠博士にセリフはありません。
阿笠博士邸で暗号解読を始めた探偵団たちは最初米花駅周辺の地図を開いて推理を開始しました。
管理人の作で下記にそれと大体同じ地図を作成しておきましたので、参考にしてみて下さい。これで今回の事件の位置関係が大体分かるかと思います。
今回の作品は映画第11弾「紺碧の棺」の公開に合わせて製作された全員サービスのオリジナルDVDで、ここ数回はずっと映画でメインを務めるキャラがこの全員サービスも主役を務めてきましたが、今回は映画ではメインと呼べるキャラはいないためか、この全員サービスでも阿笠博士と少年探偵団たちがメインを務めました。
内容としては前半は少年探偵団たちが博士の作った暗号を解読しながら冒険をするジュヴナイル型のミステリーで、後半ではそれが本当の誘拐事件に発展してしまい、博士を助けだそうとするサスペンス型のミステリーになっています。
そして評価としてはどちらも謎解きのスリルが十分堪能でき、暗号解読も現実にある暗号のスキュタレーを登場させるなど非常に丁寧に作られていて大人から子供まで楽しめますが、一方で大がかりなトリックや舞台設定ではなかったため、強烈な印象を残すほどの傑作とまで言い切ることもできないと思います。水準作といってよいレベルではないでしょうか。
それ以外で私が印象に残った点についていくつか挙げさせて頂くと、米花図書館での暗号の推理がかなり笑えました。ちなみに出てきた四文字は天才、有名、金持ちと最初は良かったのですがその後独身、貧乏、偏屈、近眼、老眼、イケ面(てことはない)、丸顔、鼻デカ、不細工、出っ腹、眉デカと散々(苦笑)で博士は形無しでしたね。
それから犯人の男、一瞬服部平次かと思いました。服装が初登場時に着ていたあの帽子と服に似ていましたので。
そして最後は知る人ぞ知る隠れた名店で小五郎がまたやってくれました(笑) コナンによりとりあえず蘭に報告は入るそうですが(苦笑)、本編ではまったく登場がなかったですから最後に出てくるとは思っていなかったので小五郎ファンの私としては嬉しかったです。このあたりの脚本の巧みさは、さすがに私の好きな古内氏ならではという所ですね。
1番目の阿笠博士邸での暗号を解く際に用いられた知識。大体時速4~5キロメートル。不動産の広告では80メートルを1分と考えているそうです。
2番目の米花公園での暗号を解く際に用いられた知識。古代ギリシャで実際に使われていた暗号の一つで、スキュタレーとは一定の太さの棒のことで、皮ひもに一見ランダムに書かれている文字列が、皮ひもを棒に巻きつけるとと一つの行に暗号の文字列が現れるという方式の暗号です。
ウィキペディアの暗号史というページに詳しく紹介されていますので、参照下さい。
米花神社にいた博士がやはり予約しておいた方がいいかと迷いながら歩いていた際に持っていたのは、この名前のチラシでした。
春に鳴くセミで、10時から2時頃の日が照っている時に鳴き、一匹がなくとその周りのセミも泣き出すという合唱性を持ち、更に松林とその周辺にのみ生息するのがその特徴なのだとか。
ウィキペディアのハルゼミのページに詳しく紹介されていますので、参照下さい。