映画「迷宮の十字路」聖地巡礼の旅 山能寺(本能公園)

物語では何度も登場する主要な舞台の一つで、このお寺の依頼で小五郎を京都を訪れることになりました。
そのためか寺院自体は架空の設定で、実在するお寺ではありません。

ただし作中に登場する水尾邸の場所が夷川児童公園であるように、この山能寺の場所も実在の公園の位置に定められているようです。
その公園というのが「本能公園」で、これは千賀鈴が水尾邸を出て平次とコナンと話しながら御池方面に向かう際に発した「山能寺さんは六角通どしたな?」というワードと「作中に出てきた周囲の映像からも断定してもよいかと思われます。

まずこれは冒頭に山能寺から依頼を受けて京都を訪れた小五郎たちがタクシーに乗って山能寺を初めて訪問した際の一場面です。
この通りは小川通で、写真の左奥が南側にあたり、こちらから緑色のタクシーが走ってきて、まっすぐ右手の方、北側へと抜けていきます。

目の前のビルの外壁のデザインから右手前の植え込み、真ん中の裏を向いている「とまれ」の標識の形から、左端の電柱の位置まで、まったく忠実に再現されていますよね。

次のカットでは北側を向き、引き続き小川通を進んで左側に見える山能寺の白壁の横を通って奥の方で停車します。
車が停車した場所は山能寺の正門にあたるであろう山門(東門)で、ここから門をくぐると正面に立派な本堂が見え、住職や竜円たちが会話をしていました。

ちなみに中盤で水尾邸を出て千賀鈴と御池通まで歩いていき、その後山能寺へ到着した平次とコナンがくぐったのは、こちらの東門ではなく六角通沿いにもう一つある南門であると推測されます。
門をくぐって目の前には本堂ではなく平次が幼い頃に見た桜の木がありました。

上記の写真は作中と同じ構図ですが、作中では左側に山能寺の白壁がずっと奥まで続いていますが、架空お寺であるため、現実にはご覧のように駐車場になっています。この駐車場の左手に実際にあるのが本能公園という公園です。

また駐車場の奥に茶色の家が見えますが、この手前に本能公園の東側の入口があり、この付近が山能寺の山門(東門)という設定になっているのではないかと思われます。

一方右手はご覧のようにタイル調の壁のマンションになっていますが、作中ではこちらに駐車場があります。
ただその奥に見える白っぽい家と、更に奥の茶色のマンションは作中では忠実に再現されています。

これがその本能公園の東側の入口です。
両脇には雪柳っぽい白い花がきれいに咲いていました

これは小五郎たちが門前でタクシーを降りた際のカット
ここにタクシーが停まったと想像してください(笑)

そして本能公園の南側、六角通に面した入口になります。
こちらは前述の平次とコナンが水尾邸から山能寺へと戻った際に、平次が門の向こうにある枝垂桜を見て驚くシーンで登場する方の門になります。
訪問した当時はご覧のようにソメイヨシノの桜が見事に満開近くになっていました。

公園自体は子供たちが遊具で楽しく遊ぶ市民憩いの場です。

そして本能公園の南側入口の六角通を挟んで向かいにあるのが、この「齋造酢店」というお店なのですが、このお店の外観があるからこそ、問題のシーンがここだと断定できます。

作中で桜を見て驚いた平次は、しばらくその場にたたずんで桜をじっと眺めているのですが、そのシーンの背後に映っているのがこのお店の外観です。

それが上記の写真と同じ構図です。
濃い青のタイルと4つある窓の木枠、左側の看板とどれをとってもそっくり忠実に再現されているのが分かるかと思います。

そして上記はその直後、少年探偵団たちが平次とコナンを見つけ、歩美が「コナン君、何してるの?」と声をかけるシーンです。
場所的にはここで間違いないのですが、建物の細かい部分で一致する点が少ないです。

この後、一行は迷子になった元太を探して、六角通を歩いて東の六角堂を目指します。

最後にこの「山能寺」のモデルについて検証したいと思います。

まず名前については場所は「本能公園」のそばであることからも分かるとおり、「本能寺」が関係していることは間違いないでしょう。

本能寺といえば、名前は日本人で知らない人はいないであろうというぐらい日本で一番有名な寺院かもしれませんが(苦笑)、御存じのとおり、戦国時代の1582年に天下統一間近だった織田信長を家臣の明智光秀が襲って自刃に追い込んだ歴史上の大事件「本能寺の変」が起きたことで知られていますよね。

本能寺は日蓮宗のお寺で、その信長が京都に滞在した際の宿所としていた場所で、現在はお寺自体は京都市役所前の寺町御池の寺町商店街を入ってすぐの所で現存しています。

しかしこれはその後信長の後を継いで天下統一を果たすことになる豊臣秀吉の時代になって移転・再建されたもので、元々あったのがこの本能公園のある周辺です。

北は六角(三条とも)、東は西洞院、南は蛸薬師、東は油小路に及ぶ広大な寺地を有していたといい、油小路蛸薬師と小川蛸薬師の交差点には本能寺跡の石碑も建っています。

そして伽藍については
龍安寺と天龍寺をモチーフにしたともいわれているようですが、これについては検証できていません。
ただ本堂については正面が赤い色で彩色されており、これはかなり特徴があります。醍醐寺の金堂ないし鞍馬寺の金堂が似ているといわれていますが、個人的には写真で比較してみても醍醐寺の金堂は否定しようがないぐらい細部までそっくりな気がしています。

上記がその醍醐寺の金堂の写真です。(後日追加します)

そして作中冒頭をはじめ何度も出てくる平次が幼い頃に見た桜と山能寺のお堂の構図についてですが、これも残念ながら明確なモデルがあるかどうかははっきり検証できていません。

ただ京都のお寺にはこういったお堂と見事な枝垂れ桜が楽しめるお寺がいくつかあります。
個人的に一番オススメなのが西陣にある千本釈迦堂(大報恩寺)です。
ここの枝垂桜は「おかめ桜」と呼ばれ大変見事なもので、しかも本堂の目の前にあって構図としては似ています。

アクセスは阪急京都線の「大宮」駅ないし「烏丸」駅から徒歩で10分程度、地下鉄東西線の「二条城前」駅からでも同じぐらいの距離にあります。
周辺は7月には京都三大祭の一つ「祇園祭」で山鉾が立ち賑わう、まさに京都らしい風情のある場所です。

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