(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利小五郎 阿笠博士 目暮警部 高木刑事 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 榎本梓 児島乾史(28) ルトガー・ハイネン(42) 稲垣大将(35) 玄田辰造(44) アナウンサー ウェイトレス ラジオ音声 坂口愛 赤木英雄 上村直樹 |
本編の主人公、正体は工藤新一 蘭の父親で私立探偵 新一の家の近所に住む自称天才科学者 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 毛利探偵事務所下 喫茶店《ポアロ》店員 デパートの客 デパートの客、ドイツのスポーツメーカーの社員 デパートの客 デパートの客 サンデーカップ準決勝の実況アナウンサー チーズケーキ店〈イケナカ〉の店員 競馬中継の声 稲垣が追っかけをしている新人アイドル プロサッカー選手、東京スピリッツのFW 英雄の親友で同僚のプロサッカー選手 |
高山みなみ 神谷明 緒方賢一 茶風林 高木渉 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 榎本充希子 森久保祥太郎 荒川太朗 うえだゆうじ 大川透 蓮池龍三 新井里美 横尾博之 声の出演なし 声の出演なし 声の出演なし |
サンデーカップ準決勝、東京スピリッツの試合を観戦し終え、評判のチーズケーキを食べにとあるデパートへとやって来たコナンたち少年探偵団。しかしスピリッツがPK戦の末敗退してしまったために、地下駐車場で車を降りた少年探偵団の三人はため息をつき、どこか浮かない様子でいました。
「PKを外す事ができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」─そんな元気のない探偵団たちをコナンはそう言って励ましますが、それでもヒデとナオキの2人が揃い目下6連勝中と向かう所敵なしだったスピリッツだけに、元太は納得がいかない様子。悔しさの余り目の前に転がってきたコナンのサッカーボールを力任せに思い切り蹴飛ばしてしまったのです。
すると元太の蹴ったボールは近くに停めてあった車に直撃し、中にいたタバコをくわえた茶髪の男に怒鳴られてしまいます。更に勢いよく飛んで行ったボールは中年の外国人男性の乗る車にも泥とキズをつけてしまったらしく…。
ところが外国人男性の方は人あたりの良い紳士的な人物だったため、ボールをぶつけられたこともさほど気にしていない様子でした。それどころか名前をルトガー・ハイネンというその男性は、妻が日本人であるため日本語も堪能らしく、コナンたちにフレンドリーに話しかけてきたのです。
ここでコナンはまた敬愛する名探偵のシャーロック・ホームズを彷彿とさせるようにハイネンとの会話をヒントに彼がドイツ人であり、更に彼の別れた妻がイギリス人であることまで推理してみせて周囲を驚かせますが、ほどなく灰原の一言で人気のチーズケーキを買いに急がなくてはいけないことを思い出し、慌てて地下駐車場を後にしようとします。
するとハイネンもコナンたちと同じく評判のチーズケーキを買いに来たのだという事が分かり、阿笠たちはちょうどその時かかってきた携帯電話での会話に手間取っていた彼の分も買ってくる事を約束。更にスピリッツが負けたのにケーキなんか食べていられないとどこか不機嫌そうな元太をも地下駐車場に残し、デパートの3Fにある”イケナカ”というチーズケーキの店に向かったのです。
阿笠博士やコナンたちがいなくなると、元太は一人駐車場に残り、壁に向かってサッカボールを蹴り始めます。自分がヒデやナオキよりも上手くなり、東京スピリッツを無敵のチームにしなければいけない…と、どうやら元太はスピリッツの敗戦に誰よりもショックを受け、自分が何とかしなければいけないと思い詰めていたのでした。
ところが元太が壁に当たって跳ね返ってきたボールを思い切り蹴ろうとしたその時でした。突然駐車場のどこかで「ガゴ」という鈍い大きな音がして、驚いた元太はバランスを崩して後頭部を地面に強打。そのまま気を失ってしまったのです…。
それからいったいどれ位の時間が経ったのか…元太が目を覚ますと前方にはゲートの故障で足止めを食っている車が停まっているのが見えました。しかし元太はすぐに我に返るとサッカーボールが失くなっていることに気づき、慌てて周囲を探し始めます。
ほどなくしてボールは見つかりますが、ホッとしたのも束の間、今度は元太の目の前にとんでもない光景が飛び込んできたのです…!
それは先ほど阿笠博士やコナンたちと親しそうに話をしていたあの外国人男性のルトガー・ハイネンが、頭から血を流し壁にもたれかかるようにして倒れているという、何とも衝撃的なものでした…。
それを見た元太はたまらず悲鳴を上げますが、その声はちょうどチーズケーキを食べ終えて地下駐車場へ向かっていたコナンたちの元にも届きます。そして悲鳴を聞いたコナンたちは慌てて声のした方へと駆け寄っていったのですが…。
するとハイネンにはまだ意識がかろうじてあり、救急車と警察を手配するとコナンは一体何があったのか必死に聞こうとします。しかしハイネンは右前頭部を殴られているらしく言語障害は出ており、上手く喋ることができない様子でした。
そしてやっとのことで彼は「はんにん…」と声を絞り出し、それから震えるような感じで左手の人差し指を”ある人物”の方に向け……
サンデーカップ準決勝の観戦を終え、都内のデパートに評判のチーズケーキを食べにやってきた阿笠博士と少年探偵団たち。ところが試合の結果が彼らの応援する東京スピリッツのPK戦での敗北ということもあり、意気消沈して浮かない様子。
それでも人気のチーズケーキだけに早く行かないと売り切れてしまうことから一行は先を急ぎますが、スピリッツの敗戦に納得のいかない元太はチーズケーキを食べに行くことを拒否し、自分がもっと上手くなってスピリッツを最強のチームにしなければ…と、思いつめた様子で一人地下駐車場に残ってサッカーボールを蹴っていたのです。
ところがそこへ突然鈍く大きな音が聞こえてきて、驚いた元太は足を滑らせて後頭部を床で強打、しばらく意識を失ってしまったのでした。
いったいどれくらいの時間が経過したのか…ようやく意識を取り戻した元太は転がったままのボールを拾いに行ったのですが、そこでとんでもない光景を目にします。阿笠たちが地下駐車場を訪れた際に仲良くなったドイツ人の紳士が、何と頭から血を流して倒れていたのです!
元太の悲鳴を聞いてコナンたちも地下駐車場に駆けつけますが、すると被害者にはまだ意識が残されており、最後の力を振り絞って犯人を指差します。ところがその犯人というのが何と…
すぐに現場には警察も到着して捜査が進められますが、現場の状況から容疑者は三人に絞られます。ところがこの三人の名前、いずれも元太に関係のある言葉が含まれており…
今回は久し振りのサッカーが絡んだ話ということで東京スピリッツとそのエースストライカーのヒデこと赤木英雄選手も姿を見せてくれました。そして冒頭のサンデーカップ準決勝のPK戦も原作ではヒデが蹴ったボールが枠に当たるシーンで始まるのですが、アニメ化に際しては蹴る直前から始まり、緊張した雰囲気がより一層伝わる演出になってます。
この点原作では対戦相手のチームの名前はないのですが、アニメではビッグ大阪とはっきり名前が出ていますし、スコアボードには両チームの選手の名前も何人か確認できます。
スピリッツの方はタナカイチロウ(GK)、スズキカズオ(DF)、サトウマサアキ(DF)、カワカミダイスケ(DF)、アカギヒデオ(赤木英雄)(FW)、サワキタコウスケ(MF)、カトウコウタロウ(MF)、タカヤナギハジメ(MF)
一方ビッグ大阪の方は名前の方は画面右に隠れて名字だけしか確認できないのですが、アイカワ(GK)、ミタ(DF)、テラシマ(DF)、コバヤシ(DF)、ヤスヒラ(MF)、エビナ(MF)、タカダ(DF)、モモイ(MF)
といった選手の名前が見えます。またスコアは前半が1対2でビッグ大阪がリード、後半2対1でスピリッツが追いつき、合計で3対3でした。
そして試合が終わって探偵団の三人が深いため息をつく訳ですが、アニメではその直前に「ああ、景気よくいこう…」という博士のセリフが追加されています。これから食べに行くチーズケーキとかけている訳じゃないのでしょうが、これがかなり笑えます(笑) またため息も原作では三人同時ですが、アニメでは光彦、歩美、また光彦、そして元太と三人が順番にため息をついていき、車を降りてとどめで三人同時にため息をつきます。
それ以外ではチーズケーキを食べに行った際、元太の分をちゃんと買ってあることに光彦と歩美が安心した直後、原作ではすぐに地下にいる元太に場面が切り替わるのですが、アニメではコナンがそれに気づかずに美味そうにチーズケーキを頬張り、哀に白い目見られるシーンが追加されている点と、
前編の一番最後でコナンが目暮に稲垣大将の免許証を見せてから稲垣の行動について少し説明するシーンがあるのですが、そこが丸々カットされている点などが大きな変更点でしょうか。
後編は細かなセリフの変更やわずかなカットはあるものの、ほぼ原作どおりに映像化されています。
印象的だったのは、アニメでは最後の最後に真犯人がとある人物にぶん殴られるシーンが追加されている所と、
あとこれが一番笑ったシーンなのですが、物語の最後に元太が事件当時の心境を原作では「生きた心地がしなかったぜ」と表現しているのですが、アニメでは「まな板の上のうなぎだったぜ」と表現している所(正しくは”まな板の上の鯉”)ですかね(苦笑)
今回の作品冒頭でまた東京スピリッツの試合を観戦しにいった探偵団たちですが、東京スピリッツの試合が開催されていた作品というと下記のようなものがあります。
10「プロサッカー選手脅迫事件」(サンデーカップ決勝 vsビッグ大阪)
130-131「競技場無差別脅迫事件」(天皇杯決勝 vsビッグ大阪)
279-280「迷宮のフーリガン」(リーグ戦の東京ダービー vsノワール東京)
ちなみに今回の作品は第10話と同じサンデーカップの”準決勝”なのですが(苦笑)
他にもサッカー絡みでは─
238-239「大阪”3つのK”事件」(新一の尊敬するGKレイ・カーティスが登場)
301-302「悪意と聖者の行進」(スピリッツのJ1初制覇を祝う優勝パレードが開催)
390-391「本庁の刑事恋物語6」(ヒデの海外プレミアリーグ移籍話が持ち上がる)
などの作品もありましたよね。
これは「イタリアの至宝」と呼ばれた名プレーヤーで、ユベントスやACミランなどで活躍したロベルト・バッジョの残した名言です。原作でもかなり小さいですが、背中に「R. Baggio」と名前があるのが分かるかと思います。
ちなみに実際にバッジョは1994年のアメリカW杯のブラジルとの決勝戦、W杯史上初のPKでの決勝戦の決着となった際、最後にPKを蹴ってこれを外してしまい、ブラジルの優勝が決まったという経験をしています。
サッカー観戦を終えた阿笠博士と探偵団たちは、この店のチーズケーキを食べようとデパートを訪れ、事件に遭遇しました。
こちらもサッカー選手の名言として有名なもので、これは1974年に西ドイツがW杯で優勝した際に、「皇帝」と称されたフランツ・ベッケンバウアーが残した言葉です。
ちなみにベッケンバウアーは選手としてだけでなく、1990年に監督としてもドイツをW杯優勝に導いています。
容疑者の一人である稲垣大将が追っかけをしていた新人アイドル。当日デパートの6階で撮影会が開催されていて、稲垣はそれに参加するためにデパートを訪れたと証言していました。
作中では稲垣が歩美たちと駐車場の入口でぶつかり転倒するシーンがありますが、その際アニメのみですが、”AI SAKAGUCHI”と名前の入ったCDが床に散乱するシーンがあり、そのCDのジャケットで彼女の素顔を見ることもできます。
小五郎が作品の最後で使っていた言葉ですが、これは”鉄板のように硬い”という所から派生した言葉で、競馬などのギャンブルやお笑いなどの世界で「絶対間違いない」とか「100%確実」という意味を表します。
今回は元太が犯人扱いされるというお話でしたが、これまでにも元太が「自分が犯人?」と勝手に思い込む話というのはありましたよね、そしてそれがかなり笑えました。
ちなみに私が一番印象に残っているのは119「仮面ヤイバー殺人事件」ですね、この回の元太のセリフというのが元太役の高木渉氏の絶妙な演技もあって何ともおかしくて仕方なかったです。内容に関しては作品のネタバレになるので省略させて頂きますが、アニメオリジナルですがなかなか面白い作品ですので、機会があれば是非どうぞ。
さて話を今回の作品に戻しますが、ドイツ語を知らないと今回はまったく手も足も出ないですから、いわゆる知識問題ということで推理についてはあまり議論しても仕方ない気がします。
あと容疑者たちの名前も元太に関係する名前がついていて面白かったですが、これも被害者が犯人の名前を知っている訳がないでしょうから(知っていたらエルなどと言わずに名前を言えばいい訳ですから)、その時点で事件と無関係で考えなくてもよいことになってしまうのが残念といえば残念ですよね。
それからこれが一番肝心なのですが、結局ルトガー氏は命は助かった訳で、犯人がいくら確たる証拠を見せろとほざいた所で、被害者が存命な以上阿笠(コナン)の推理がどうこう言う以前にその時点でもうどうにもならないでしょう(苦笑)
それと作画ですが、今回はちょっと厳しかったです。作監の方見慣れないお名前でしたが、もう少し努力して欲しいですね。
とはいえ今回登場したルトガー氏にはとても好感持てましたよね。人当たりがよくて度量が広く、なおかつ笑顔の素敵な紳士という感じでした。こういう風に年齢を重ねていきたいと思わずにはいられませんでした。